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ライザーとの出会い

 本を読みたいから、いつもより早足で帰った。

 周りには同じ学校の生徒や、通行人が見える。


 (どんな本なのかなぁ…)

 

 少し期待していた。自分は魔法に関する本で、読みたいと思わなかった本は今まで見たことがない。目に止まったらついつい読んでしまう。

 

 本屋を離れ数分経ったとき、ふと違和感を感じた。


 「……人が…いない?」


 さっきまでいた周りの人達はどこにも見当たらない。全員どこかで道を曲がったなんていう事で片付けられるほどの人数ではなかった。


 (……人払いの…結界……)


 いやな予感がする。こんなことは今まで経験したことがない。

 本能的に身構え、辺りを見回す。


 建物と建物の間の隙間から3人の男がでてきた。 


 服の上からでもよくわかるほど筋骨隆々で、ニヤニヤしながらこちらを見ていた。


 「これは中々の上玉だぜぇ。」

 

 「あぁ~、鍛錬サボってきただけの事はあるな」


 「連れてくぞ!」

 

 その声と共に3人の男は目にも見えないスピードで近づき、口を塞ぎ、手を縛った。

 とてつもなく速すぎて、私は何もできないまま捕まった。


 「俺が見つけたんだから最初もらうからな!」


 「…まぁ~、今回は免じてやるよ。」


 「いいだろう。」


 (強すぎる…。)


 口を塞がれ、助けを呼べない私はただそう思うしかなかった。

 そんな時だった、


 「こんな昼間から女漁りとは…」


 「誰だァ!」

 一人の男が後ろを振り返って言った。


 「邪魔をするなァ!!」

 

 もう一人の男がさっきよりも早いスピードで襲いかかった。


 「遅い…」

 

 ドォォン!と大きな音が響き、反射的に目を瞑った私はゆっくりとその目を開ける。


 襲いかかったはずの男が地面に倒れている。男が倒れてる地面にはヒビが入っている。

 私はただ驚くことしかできなかった。

 

 「仲間に何しやがるゥ!」


 残りの二人も襲いかかる。

 一人は右手で男の顔を殴るように…

 もう一人は拘束しようと手を大きく広げて…

 

 「ウヘァッ!」 

 「何故だ…」


 一発の回し蹴りで二人とも横に吹っ飛び気絶した。殴って来た男の脇腹に踵で蹴りを入れ、そのまま左にいた男も一緒になって吹っ飛んでいった。


 「もう大丈夫だ…」


 彼は私の手を縛っていたロープを解きながら尋ねた。


 「大丈夫です。本当にありがとうございました!」


 頭を深く下げ、久しぶりに大きな声を出した。


 「礼には及ばん。話を変えるが、あいつらは軍人だ。それもかなりの実力者だ。」

 

 彼は道端に放り投げられていた本を手に取り言った。 


 「……これは君の本か?」


 「…はい…。ありがとう…ございます……」

 恥ずかしい。タイトルがタイトルだけに頬を真っ赤に染めていたと思う。


 彼は表情を崩す素振りもなく、渡した。


 「あ、あの…お名前は?」


 「ライザー、アリステフだ。君は?」


 「ルシナ、ルージュです。」


 「そうか。ところで君は魔法を使わないのか?使えなくて不安なら家の近くまでなら同行しても構わん。」

 

 ライザーは転移魔法で軍人達を運ぶ準備をしながら言った。


 「さっきのようなことは経験していないし、急だったので不覚にも使えませんでした。」

 

 そう、ただの言い訳だ。 

 ライザーはピタと動きを止め、目線をこちらに向けていた。彼の目を見ても何と考えているのか、感じているのかがよくわからず、ただただキョトンとするしかなかった。


 「魔法を使うこと、つまりそれは急な事態にも対応できるようにしなければいけない。」

 

 彼の言うとおりだ。いくら学んでも使えなければ何の意味もない。 


 魔法を使う、それは呪文を唱え、精神に術式を送り、力を生み出し、それを解放することだ。詠唱速度や精度などが一番求められる。

 術式は技によって違う。種類は二つある。 

 全ての属性の魔術の基本である技の威力を高めたりする、『強化魔法』。


 基本の技がなく、単体である『応用魔法』がある。


 単純な違いを説明すると、


 風属性であれば、基本の魔法【エアーウィンド】があり、それを強くしたり加減するのが『強化魔法』である。エアーウィンドは自分より前に突風を起こす。


 風の衝撃を自分を中心にして飛ばしたり、体に纏わせて空を飛んだりするのは【応用魔法】だ。



 これらはいくつかの例ではあるが、【応用魔法】は自分で作ったりすることもできる。


 オリジナル魔法だって作れる。だが、そんなことができるのはとてつもないほど優れた者にしかできない。だから、【応用魔法】は使う多くの者は昔の偉人が作り、世に広めた魔法を習得して使っている。

 作るのは至難の技だが、簡単な魔法であれば学生でも習得できる。現に校内の成績優秀者には使えるものも少なくはない。

 

 話は戻って、

 「大丈夫です。一人で帰れます。」 

  

 これ以上助けられるわけにはいかないと、学園トップという意地が何よりもそう思った。


 「…そうか。」


 彼は去って行った。本当に感謝しているが、それと同時に一体何者なのか、そう疑問に思った。


 

 買った本と鞄を手にし、家へ帰った。

 


 

 

 つまらないと思いますが、読んでいただいたら、感想を述べてもらうと、参考になりますので、どうかよろしくお願いします。

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