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勇者の相棒は森のクマさん  作者: タローラモ
第1章 クマと少年
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05 運命2 父親

 村の外れに大きな森がある。魔力が溢れた危険な森だ。深く入ると危険だが入口付近には魔除けが仕掛けられており魔物が来ることはまず無い。 

 息子のナバルに薬草の採取をお願いした。娘のナナイを連れていかせて。本当は危険な仕事はさせたくないのだが家にいるよりは安全だと思ったからだ。というのも最近噂になってる子供を狙った人拐いだ。

 いや、人拐いというとあまり良くないか…実際は教会関係者が子供を集めてるらしい。しかも帰ってくることはないとか。何かを呼ぶとかで協力を募ってるが胡散臭いとかもっぱらの噂だ。なのでいることを知られたくないから外に出していた。時間稼ぎにしかならないのはわかってるが…

 そんなことを考えてると案の定教会の人間がやって来た。服装を見て驚いた。あれは聖堂騎士団の制服ではないか。


聖堂騎士団

教会の守護者にして国家に束縛されない魔物狩りの精鋭だ。…あまり表にできないこともしてるらしい。


 私は一時期、王国の薬室に勤務してたからその辺の情報は知っているし、今でも何人かとは飲み友達だ。

 そんな精鋭の奴らがなんで辺ぴな村にまで…彼らの手には何らかの魔道具が握られていて


「この家ですね。光の属性を感じます」

「おい、お前、この家のものを全員出せ」


 随分上から目線だ。ここまでヒドイ騎士も珍しい…くはないな。


「…どういったことでしょうか?用件を言っていただかなければなんとも」

「…我々は教会関係者だ。早く出しなさい」

「いきなり出せと言われましても…妻には先だたれまして『今』は私一人です」

「貴様!口答えするな!この家に光属性の者がいるはずだ!さっさと出せ!」


 横の若い騎士が怒鳴りだした。光属性?内に魔法を使えるものはいないが…


「出せと言われましても…そもそも光属性なと知りません!」

「貴様!!」


 若い騎士が掴みかかってきそうなのをリーダー格が止めた。村人が集まりだしたからだろうか。バツがわるく感じたからか騎士たちはそそくさと引き返した。


「…隊長、あの子供…」

「測定器を…!」

「今は引くぞ」


 運悪くナバルたちが帰ってきてしまった。すれ違う騎士たちが話す内容は気になったが今は帰ってもらってホッとする。と同時にやな予感しかしない。ここを引き払うべきかもしれない。明日辺りに王城のアイツ等に相談してみよう。

 その日の夜だった。奴らが来たのは。

 玄関を蹴破るやいなや一斉に襲いかかってきた。剣で何度か切られて倒れたところ別の者が娘のナナイを抱えて


「この娘です。計器の数値が素晴らしい!」

「すぐに運び出せ」

「この男は?」

「すぐに死ぬ。時間が惜しい、急げ!」


「「「はっ!」」」


 奴らが出ていったあと、すぐにナバルが起きてきて私の姿を見るや驚き、泣きそうな顔をしたとき


「放して!やーなの!」


 娘の声だ。ナバルの目に怒りの火が点ったように見えた。一瞬私を見てためらったがすぐに外に駆け出した。

 不味い!7歳児では何も出来ない。下手すればなぶり殺しにされる!彼奴らは躊躇わないだろう。なのに私は意識が遠のく。こんなときに!

 玄関に別の足音が聞こえる。彼奴らが戻ってきた!?そう思ったのもつかの間、私は思わず見とれてしまった。

 長く美しい銀の髪、女神かと思うほどに美しくも凛々しい顔立ち、ホッソリしてるようなのに何故か逞しく感じる身体、溢れ出る覇気は王者の風格すら感じる。

 優しさを感じるその人に私はあらんかぎり叫んだ


「こ、子供たちを!『ガハッ!』…助けて下さい…」

「待っていろ!直ぐに回復を!」


 頼もしい声を聞きながら私の意識はそこで途絶えた。

 この人は信用できると、そう思わせるほどにその人は綺麗な瞳をしていた。





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