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勇者の相棒は森のクマさん  作者: タローラモ
第1章 クマと少年
30/127

30 宴終わって

前半茶番回です。

「やっぱりミスリルの鎧は違うな!」

「あ~、このオリハルコンの輝き…夢じゃないんだな」

「この万能筆、以外と使えるなぁ」

「スゲェな、ミスリルの剣もお前が持つとナマクラにしか見えねぇ」


 ギルド内じゃ自分の新しい装備にはしゃぎまくってる冒険者で溢れていた。一部で殴りあいが起きてるけど。

俺たちのパーティーでも只今絶賛大宴会中だ。


「しっかし驚いたよなぁ。あの小熊、やっぱりアレかねぇ」


 パーティーメンバーの一人が俺に話を振って来た。酒が入ってるせいか少しウザい。


「基本俺たちは詮索しないのがルールだろ。…まぁ気にならないって言ったら嘘になるけどよぉ」

「でもよぉ、新人の3人組とも知り合いらしいし危険はないんだろ?」

「話したことねぇからわかんねぇよ」


 そんなことを話してたら当の小熊がやって来た。そのままカウンターに行く小熊。


「エヘヘ、リリンさん、今日もキレイですね♪」

「ありがとうトラン君。任務の達成ね?」

「そーなんすよ。これ、依頼主からのサインです」

「はい。…確かに受理されました。お疲れさま。あら、新しい服ね」

「気づいてもらえました?この間のポイントでゲットしたんですよ~」

「ウフフ似合ってるわよ」

「おふぅ!…俺に惚れると火傷するぜ」


 惚れてるのオマエだろ!と突っ込んでやりたい。

 小熊は壁に手をつき、足を組んでキザな台詞をいっている…つもりかもしれない。

 俺たちから見れば壁に寄っ掛かって片足をちょこんと膝にのせてるだけ。

 …もはやギャグにしか見えない。気を良くしたクマは嬉しそうに出てった。

唖然とする俺たち。


「なあ、黒刃熊(ニグレドラベア)ってさ。」

「ああ」

「「「「しゃべるとあんなバカなのか?」」」」


 アレは無害だわ。何故か安心した俺達だった。


……


 リリンさんに褒められてしまった。それだけでオレのテンション最高潮!

 いつものフルーツジュースを飲んで一息ついてる時だった。


「あの()可愛かったなぁ」

「あの呼び込みの娘だろ?」

「そうそう、にしてもあの鎧もヤバかったなぁ」

「オマエ鼻の下伸ばしすぎ」(笑)

「でもあれ、ボードゥさんのところで見たぜ?」

「もしかして業物か?」


 通行人の会話は続いてる。しかし、オレの頭はそれどころではなかった。



▪トラン脳内分析▪


可愛い呼び込みの女の子

    +

おそらくセクシーな鎧

    +

ボードゥさんのところの鎧

    ↓

露出卿(ギルドマスター)のビキニアーマー

    ↓

脳内HDD 起動



 どこだ!そこはどこだ!

 通行人のルートをトレース、そこから逆算して彼らが通ったであろうルートを割り出す。僅かだが彼らの魔力の残滓(ざんし)を確認!こっちだ!

 …俺は駆け出した。これまでの戦闘、任務の経験により目標の補足はわけがない!待ってろよ!

只今(ただいま)タイムセールでーす!」


!!

 若い娘の声が聞こえる!

 確かこの先はポーションなんかを扱っている店だ。他にもヘンテコグッズを扱っていてこちらで言うディスカウントショップなのだろう。そこの看板娘も美人なのは知っていた。その子が…


予想通りの娘さんだった。

ボードゥさんの鎧だった。

ギルマスのビキニアーマーだった。


ただ…




(した)(ふく)を着ていた。


「「そうじゃないだろぉぉ!」」


膝をつき項垂(うなだ)れるオレたち。

ん?

オレたち?

ふと声の主を見ると、そこには


同じように項垂れるギルマスがいた。


「「アンタなにやってんの?」」


……


「いや~こんなところでトラン殿に会えるとは思いませんでした」


 今オレたちはギルマスの案内で一軒の店にいる。

そこは夜はバー、昼間は喫茶店の店で奥に個室があり商談などでよく利用する客が多いらしい。

 まぁ、ギルマスとはサシで話したいって言ったけどな


「あんなところで出くわすとは思わなかったよ」

「全くですなぁ。あ、トラン殿はコーヒーで良かったですかな?」

「こっちにもコーヒーあるのね」

「こちらでは歴史が古いようですなぁ」


 まあいいや。ありがたく頂こう。

一口飲み、そろそろ本題に入ろうかと思ったときだ。


「トラン殿にはストレートに言っても問題ないでしょうなぁ」

「余計な前フリは無しでか?」

「ええ、」

「トラン殿も《転生者》ですな」


も、ときたか。オレは頷く。


「そうでしたか」

「なあ、オレたち以外に転生者はいるのか?」


オレの問いにギルマスは力なく横に振った。


「トラン殿が初めてですよ」

「そっか」

「トラン殿は生前のことをどの程度覚えてますかな?」

「そりゃあ…住んでた街並みだろ?家具や家電だろ?流行りの漫画やドラマ…」


ギルマスは真面目な顔をして


「では、『過去の自分』については?」

「そんなもん…アレ?」


ギルドマスターは悲しそうに顔を伏せ、


「やはりですか…」


と項垂れた。

 おいおい!どう言うことだ?なんで自分のことが思い出せない!オレは軽いパニックにおちいってた。


「落ち着いてくださいトラン殿」

「あ、ああ」


 オレはコーヒーを飲むと軽く深呼吸した。


「落ち着きましたかな」

「悪いね」


 ごめん。全然落ち着いてないわ

そうも言えずギルマスをちらりと見ると彼も大きなため息をついて


「私も混乱したものです。それも思い出せないだけでなく、少しずつ忘れていくんですよ」

「…マジで?」

「はい…」


重い沈黙

なんて声をかけて良いかわからない。

それが自分もそうなるならなおさらだった。


「しかしですな」

「ん?」

「忘れる前に言葉にするなり書き写すなりで残すことにより忘却の防止にはなるかもしれません」

「マジで?」

「ええ、今まで書き起こした記録は消えておりませんので。ですのでトラン殿、日記などをつけられてはどうでしょう」


 それはもしかしたら《世界》に認識させたからって関係あるのか?わからないが…

「そうだな。そうさせてもらうよ」


その後、ギルマスと生前の話で盛り上がった。

ギルマスは今まで一人だったんだよな。そう考えるとオレは恵まれてるのかもしれない。


「素敵な嫁さんのお陰で前世に未練無くなりましたが♪」

爆発()ぜろ」(怒)




一気に書いたため修正するかもしれません。


記念すべき30話がこんなスタートになってしまいました。作者の趣味です。すみません。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

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