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勇者の相棒は森のクマさん  作者: タローラモ
5章 禁忌の秘術
114/127

114 揺れる時代

めっちゃ短くてごめんなさい

『…であり、皆の愛した教皇猊下は…』


 聖国アクアリア。その首都聖都アクアの中央広場にてアクアリア聖堂教会本殿のテラスより演説が行われている。殆どの住人が集まり固唾を呑んで聞いている。

 スピーチの内容を要約すると、高齢の現教皇が過労のため倒れしてまい回復しても、このまま執務を続けていれば取り返しのつかないことになる。だから次期教皇選挙を開催すると、そういう事だった。

 民衆に愛された現教皇を心配する大衆、その外れに1人の男がいた。死の商人とも言われるダートである。


「…冒険者は『花の蕾』の回収に成功したとのことです」


「…そうですか。通信が出来なくなったということは…転移の衝撃で壊れましたかね。

 やれやれ、『ご老人』の作品は優秀ですが作り手と同じで手加減や常識を知りませんからねぇ…」


「その老人ですが、『群れの主』の捕獲を忘れ『巨人』にて『箱』ごと粉砕したと」


「…」


 薄ら笑いだったダートの顔は一気に渋くなる。「…あの老いぼれめ」と愚痴る姿を部下は見てみぬふりをした。

 見上げると教会本殿のテラスには、次期教皇の呼び声高いサンドラゴ枢機卿がまだ演説を続けている。その脇を固める聖堂騎士団、ふと見れば先日会った『同士』のそばには3人の、まだ若い『少年』たちが立派な鎧に見を包んでいた。


「…こっちの仕込みは上々ですね。

 ところで『舞台』の仕上がりはどうです?」


「そちらは問題なく。ただ、『影』からの連絡ですと『猪』はもう使い物にならないとの事です」


「そうですか。問題児でしたが居なくなると寂しいものですね。まぁ、アレ程度の代わりはいくらでもいるから良しとしましょう。

 『影』の方は休ませるかわりに『狩人』と『魔術師』を呼び寄せておいてください。これから派手な『お祭り』が始まりますからねぇ。多少表立って動ける者は欲しい。並行して『犬』と『仕込み』の手配も頼みますよ」


「かしこまりました」


 使いの者は群衆の中へと姿を隠す。ダートは視線を少年達に向る。常人には決してわからないが、彼らの姿は呪詛で色濃く覆われていた。


「古い屋敷を崩すなら、やはり柱からですかねぇ、そちらは上々。となるとやはり1番うるさい『騎士気取り』を黙らせるのが優先ですねぇ。どれだけの『犬』が集まるか楽しみだ」




 この演説の2日後、アルセイム王国の北西、魔の森と偉大なる山脈(グレート・ガーデン)の境目にあたる場所で魔物の軍勢が押し寄せたのだった。


 アルセイム王国東、聖国アクアリアとの国境を目指すカースとフォクロス辺境伯の精鋭数名。

 魔物の軍勢をいち早く察知し移動していた剣聖ミリエル・ディア・アースハイトとその一行。

 転換期を迎える聖国と暗躍する帝国、その配下の四天王。

 時代の急激な流れにナバルたちが飲まれるのは時間の問題だった。




第五章 禁忌の秘術 終



次回から新章始まります。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

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