-2- いつも通り
次の日いつもより早めに学校へ来てみた
特に早く来た意味は全く無い
別に誰かと一緒に学校に来ている訳じゃないからこういうのも別に悪くない
クラスの駐輪場で同じクラスの山崎に会った
「おはよう」
「おはよう、なんかいつものより来るの早くね?」
「なんとなく」
「まだ暑いから太陽があんま上がってないときの方が涼しいしな」
「じゃあそういうことにしておくよ」
「なんだよそれ」
僕達は雑踏をかき分けながら教室に向かった
教室に入ると暑苦しい声が響いていた
声の主は斉藤をはじめとする運動部軍団だった
いつも騒がしいけど今日はいつにも増して騒がしい
だが山崎は全く気にせず席に座った
気になった僕はクラスメイトに聞いてみた
「なんかあったの?」
「なんか手紙が落ちてたらしいよ」
「手紙?」
「斉藤へのラブレターだってさ」
僕は忘れかけてた昨日の手紙を思い出した
気を利かせて机に入れるべきだったと何もしてない僕が凄く反省した
「なんか知ってるのか?あの手紙のこと」
「いや、何も知らない」
「あ、そう」
席に向かう間に斉藤を見ると運動部の奴らにどうやら手紙を自慢してきているらしい
運動部の奴らは高橋さんをチラチラ見ながら斉藤に「返事はどうする」など茶々を入れていた
僕はようやく自分の席に着くと、隣に座る高橋さんを少しだけ僕も見るといつものように授業の予習をしていた
女子って凄いな
僕だったら告った相手が周りに手紙を見せびらかしてたら今頃この場にいられなくなるくらい赤面しているだろうな
そんなことを思ってる間に35分の予鈴が鳴った
先生が教室に入ってきた途端、クラスはやや静かになった
斉藤はHR中も周りに手紙を見せびらかしていた
そんなに周りに見せびらかすなんて高橋さんの好意を踏みいじるようなものじゃないか
そんな高橋さんはいつまでもいつも通りだった