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#4 好きなんだ。

 君だけを見てた。


 背中とーー笑顔を。


 ◆


 スキ…スキ…スキ…スキ……。


「そんなに好きなら、言っちゃえばよかったんだよ」

 三上 朝昼アヒルがドア越しに行って来る。


 ドン!

 

 そして、ドアに何かが当たった。

 ビクリと高松の顔が正面を向く。

 三上のいるドアの方へ。


「何なの? アンタ、何なの??」


 横の椅子を蹴飛ばし、床へと転がす。

 ドッゴン‼


 ガラン、ガラン‼


「何なのって言葉はないんじゃないの? 高松さん」

 落ち着いた声。

 大人のように。


 新垣に、ちっとも似ていない声。

(そりゃあ、そうだ)

 高松が苦笑交じりに、言葉を飲み込む。


「別にさ、いいと思ってたんだ」

 いきなり、何かを言い出す。

「な、何がだよ」

 高松も、どもってしまう。

「告白とかしなくたって、見れてるだけで幸せだしとか、一緒の学校だし、すれ違うし、とかね」

 しかも、よく分からないことを。

 まさに、告白されている。


「だから、誰かに告白されて持ってかれちゃったら、どうしょうとかさ」


 高松は、また体育座りの膝の上に顔を落とした。

(っはァ…どうでも、いい)


「それで、夜なんか眠れない日が合ったりして、寝不足で散々とか、ね」


 ぐすん。

(どうだって、いいし)


「だから、相手に聞いてみたり、さ」


 ドク!


 ドクドク‼


 バクバクバクバク!


「それで、安心したり」


 高松の心臓が暴れ始める。

「い、いつ…聞いた。そ、そいつ、その相手に」

 考えたくもないことが、否が応でもーー浮かんでしまう。


 だって彼がーー三上朝昼が好きなのは、好きなのは、好きなのは!


「…去年の、夏休み中かな? 偶然、街で会ったからさ」


 ガクガクー…!


「相手も悪いだろう? だって、知っても、振りもしないんだからさ」

 高松は耳を抑えた。


(もう、聞きたくない)


 ゴンゴン!


「お~~い? 聞いてる??」

「‼ 聞い゛てね゛ぇ゛よ!」

 

 涙声で言い返してしまう。


「俺、言ったよね?」

「聞きたくない! もうどっか行きやがれ‼」


 大きく声を荒げた。

 もう聞きたくもない。

 話したくもない。


 ◆


 吉原・炎上! 吉原・炎上‼


 どんなときもチックタック、チックタク!

 お主を待とうぞ。

 愛し愛されチックタック、チックタック!


 何も言わず、何も言えずに。


 時間だけがチックタック、チックタック!

 どうにもならんと思ってしまって。

 もがくことすらチックタック、チックタック!


 儂の心も体もお主の一部! 

 お主の心も身体も儂の一部だと思ってみたり。

 少し恥ずかしくも、


 吉原・炎上! 吉原・炎上!


 ◆


「ねぇ、聞いてよ。高ま…ーー文」


 ぶっる!

 高松の身体が震えた。


「名前、呼ぶ、ん、じゃあ、ね、ぇ…よ!」


 鳥肌が立った。粟立った。


「ねぇ、文」


 ゴーーッツン!


「うっさい! うっさい‼」


 ゴーーッツン‼


「--スキ、なんだ」


 ビリビリー~~~ッッ!

 改めて言われた告白に。

 高松もどうしていいのかすら、分からない。


 オロオロ、と狼狽してしまう。


「好き」


 さらに追い打ちをかけるように。

 三上は告白した。


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