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暇人、魔王の姿で異世界へ ~時々チートなぶらり旅~  作者: 藍敦
六章

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五十二話

(´・ω・`)六章スタート

 ナオ君の訓練に付き合い、意味があるんだかないんだか分からないアドバイスをしているうちに朝食の時間が迫ってきた。

 今日は昼前には火山洞窟へと向かい、そこで出現する魔物の強さを調査し、今後の活動方針を決める事となるそうだ。

 基本的に攻略の指揮を執るのはあの女性の騎士"スティリア"さんだと言う。


 彼女はナオ君が召喚されたセカンダリア大陸を治める王国に所属する近衛兵で、その実力は王国内でも五本の指に入るのだとか。

 セカンダリア大陸から態々こちらへ来ている以上、恐らくその危険度はここより高いのだろうし、となると彼女の実力はこちらのギルドの白銀持ちより上の可能性もある。

 まだまだそちらの大陸へ向かうのは後になるだろうが、想像以上に良い情報が集まりそうだ。


「はいそこまで。剣を収めて柔軟してー」

「はい! なんだか凄いですね、理に叶ってるというか、僕でも余り疲れないというか」

「いやぁ、だっていきなり剣を振るって言ってもね? まずは体作りと戦闘に必要な呼吸とか身につけさせないと」


 このナオ君、やはり召喚されただけはあり、ステータスは中々に恵まれているように見える。

 この場で奪剣を取り出し能力を盗み見るのも問題がありそうだから控えているが、後でしっかり確認しないと。

 だが、いくら強い力を持っていても、それで戦い、ひいては命のやり取りをいきなりしろと言っても無理ってもんだ。


 ん? 俺の場合はどうなのかって? 物には限度があるんです。

 小さな蟻と命のやりとりなんて成り立たないじゃないですか、それと同じです。

 そもそも、俺は一年間リュエという先生がつき、魔術を教わり少しずつ実戦経験を積んできましたし。


「って、そうだよな。俺は恵まれてんだよな」


 今更ながら実感する。

 最近リュエへの感謝が足りない気がしてきた。後で日頃の感謝を込めたプレゼントでも贈ろう。


「柔軟終わりました! じゃあ帰りましょうか」

「ああ、行こうか」


 プレゼントであれなんであれ、何はともあれ金がいる。

 とりあえず試験期間で俺の価値を知らしめ、少しでも契約金をふんだくらなければ。

 きっと物語のお約束通り、王様から旅の支度金を貰っているんですよね!?




「じゃあ俺は先に出るよ。帰りは何時になるかわからないから、もし遅くなったら二人で先に寝てて大丈夫だから」

「わかりました。気をつけて下さいね。ではいって――」

「いってらっしゃいカイくん」

「あ!」


 いってらっしゃいが言いたかったんですね、わかります。

 なるほど、確かにこれも夫婦的なシュチエーションだ。

 さすがに欧米文化に染まっていないので、いってきますのキスなんてものはしませんが。


「い、いってらっしゃいませ」

「いってくるよレイス、リュエ」


 二人に見送られながら、ナオ君達が既に向かった火山洞窟へと向かうのだった。





 火山洞窟は街の裏手、丁度俺たちの泊まる温泉宿の裏山を迂回した所にある、岩山のトンネルの先にあるそうだ。

 手前が緑溢れる山にもかかわらず、すぐ奥が岩肌の目立つ山だなんて、少々不自然だ。

 これもダンジョン化の影響なのだろうか?


 トンネルを抜けると、気候が一気に急変した。

 肌にまとわりつく熱気と湿気、少々息苦しいと感じてしまうほどだ。


 さすがにマグマが流れていたりはしないが、それでも硫黄特有の腐卵臭や、水蒸気もそこらじゅうから噴き出している。

 やはり温泉はこの火山のおかげで湧いているのは間違いないだろう。


 ……どこか丁度いい感じの温泉とか湧いてないかね? 生卵でも入れておいて温泉卵を作りたい。


 なんて事を考えているうちに、洞窟の入り口が見えてきた。

 既にナオ君とその仲間、そして入口を管理しているであろう、ギルドの係員の姿も見える。

 向こうもこちらに気がついたのか、ナオ君が手を振っている。


「おまたせ。この暑い中悪かったね」

「いえ、こっちも今来た所ですから」


 やだ、このやり取りデートの待ち合わせ見たいなんだけど。

 ナオ君、君『実は女の子なんです』とか……ないな、温泉で確認済みだったわ。


「斥候が遅れるとは言語道断です。ダンジョン内では決して後から来る等という事は無いようにお願い致します」

「了解了解。なら今度から正確な集合時間を教えておくれ」

「あ! ご、ごめんなさい僕が曖昧に伝えたせいです……」

「そ、それならば仕方ありませんね」

「ほっほっほ、ではカイ殿に先頭をお任せしようかの」


 彼らの先頭に立ちつつ、剣を抜く。

 そしてアビリティをセットしていく。



『悪食』

『結晶化』

『弱者選定』

『修行』

『攻撃力変換』

『護剣』

『ソナー』

『詳細鑑定』

『気配察知』

『幸運』



『刀背打ち』を外してしまったが、現状俺の攻撃力は大体前衛職がLv120程度と同じくらいしかない。

 もちろん、武器込みでだ。

 なので、このまま戦っても全力を出さなければ即死なんて事態にはならない。

 そもそも、ゲームと違ってこっちで力を加減すれば幾らでも威力は抑えられるのだし『弱者選定』で更に綿密な、全力を出しているにもかかわらず、ある程度まで自由に抑える事が出来る。


 ただ、攻撃力の代わり魔力と防御がかなり高くなっているが。


『五感強化』も外し、代わりに『詳細鑑定』をセット。

 これにより、ある程度離れていたり身体の一部が隠れていても、相手の詳細な能力を見ることが出来る。

 いやはや、随分とアビリティ構成も仕上がってまいりました。

 ではまず、一行の能力を見てみましょうか。




【Name】  藍堂ランドウ 那央ナオ

【種族】  異世界人

【職業】  軽戦士 解放者

【レベル】 7

【称号】  ※※※※※の使徒

      お姉さんキラー


【スキル】 裁縫 採掘 鑑定 メニュー画面表示




 うん、知ってた。

 大体予想通りでしたとも。文字化け部分も含めて。

 やっぱりこれはあれか、解放を唆す何かがいると見ていいんだな?

 使徒っていうくらいだし、神とかそういう連中なのかね。


 そしてこのレベルの低さよ。

 ステータスの詳細は省くが、ゲーム時代の同レベル帯の前衛職と比べると、確かに全体的に能力は高めだが、彼はゲーム時代のシステムを理解しているわけでも、ましてや死んでも復活出来るなんて事もない。


 レン君は魔法を覚えていたり、システムではなく、本当の意味で『剣術』を修めていたように見えたが、ナオ君はまったくの素人だ。

 万全に万全を重ねていくべきだろう。


 そして、彼の護衛と思しき二人の能力は――



【Name】スティリア・シェザード

【種族】人間

【職業】騎士 堅牢騎士

【レベル】88

【称号】王国の守護神

    鉄の女


【スキル】剣術 守護剣術 法術 料理 治癒能力強化



 彼女はどうやら、火力よりも防御力を重視にした前衛のようだ。

 リュエは防御と火力の両立、そして遠距離の攻撃も出来る構成だが、やはり本職の方々の構成に比べると若干防御面では劣る。

 まぁ、それをカバーする為に最高の装備を揃えたわけだが。


 そしてこのスティリアさんはガチタンクの構成だ。

 レベルも88と、今まで見てきた中ではトップだ。下手したらレイスと戦っても勝てる可能性が――ああ、レイスはあの弓があったか。

 しかし、この能力は相当な物だ。護衛としてこれほど頼もしい存在はいないだろう。

 さらに『治癒能力強化』もある。これは堅牢騎士だけが持つ能力で、通常よりも回復の効果が高くなるという物だ。

 最低限の回復薬さえあれば、一人で長時間守りを堅める事も出来てしまう。



【Name】フォレスト・マッケンジー

【種族】ハーフエルフ

【職業】魔導師 法術士

【レベル】69

【称号】森の守護者

    大魔導師

    救国の英雄

    魔の伝道師

    神域の癒し手

    スケベ爺


【スキル】 光魔導 土魔導 樹霊術 回復魔法



 …………すげぇ。

 御大層な称号の数々が、最後の一つで全部台無しになってる。

 しかしこの称号、どういう基準でつけられるかわからないが、少なくともそれがつけられる程の事をなしてきたと言う事か。

 人は見かけによらないとはまさにこの事。


 スティリアさんも持っていた『法術』だが、これはよくある『精霊魔法』のような、自分以外の力を使って行使する魔法の一種だ。

 場所によって効果が変わる反面、コストパフォーマンスに優れている。

 攻撃性よりもむしろ、戦闘のアシストや自己強化に使われる事が多い。



 しかしこうなると、この洞窟の魔物の強さ次第じゃただのパワーレベリングになってしまうな。

 能力だけ上がり、それに見合う技や戦い方を知らない状態になってしまう。

 それで戦えるなら問題ないが、いつか自分と同じ強さを持つ相手が現れた時、その勝敗を分けるのは本人の技量だ。

 まぁ、彼にはそれを補う優秀な仲間がいるわけだが。

 その辺りはスティリアさんも分かっているとは思うが……。



「では、参りましょうか」

「お願いします」

「くれぐれも、油断なさらないようにお願いします」

「ほっほ、怪我をしてもわしがなおしてやるぞい」


 んじゃあまずはコイツから。

 俺は背中から剣を引き抜き、それを勢い良く地面へと突き刺す。

 あたりに響く衝撃と、人の耳には聞こえない音の波。

 すると、メニュー画面に表示される詳細なマップ。


「……随分複雑な構造ですね」

「いまのは一体……それが貴方の魔法ですか?」

「ふむ、どうやら魔力の波を超音波で響き渡らせておるようじゃな。ふむ、素晴らしい魔法じゃ」

「ええと、つまりソナーみたいなものなんですか?」


 ナオ君正解。

 そしてマッケンジー老、略してマッケン爺さんは俺もわからない仕組みを解明してしまった。

 こりゃうかつな事は出来ないか?

 いや別に力が露呈しても問題ないが。


「この先に広い空間がありますが、そこまでは敵も目立った罠もないようです。ささっと移動しましょうか」

「ではその広間には魔物が潜んでいるのですね? 近くなったらもう一度今の魔法をお願い致します」

「了解」


 さてさて、一行の力はどんな物なのか、お手並み拝見と行こうじゃないか。


(´・ω・`)ぼんぼんたちのぼうけんは まだはじまったばかりだ!

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