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暇人、魔王の姿で異世界へ ~時々チートなぶらり旅~  作者: 藍敦
三章

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二十七話

(´・ω・`)ノ■ このもんどころが

 結論から言うと、疑いのある貴族が2名と商会が3軒がヒットした。

 その商会の中にカプルも含まれていたが、やはり今回は除外、結果4つの候補が上げられた。


 一つは街道の警備を担当している騎士を纏める家。

 ここは前々から冒険者の討伐依頼と騎士団の活動がぶつかり合うと言う事で度々衝突していた家だそうだ。


 もう一人の貴族は、ギルドへと引き抜きを試みたがオインクに咎められそれ以来何かとつっかかってくる家。

 ここは爵位こそ低い物の、私兵の規模が王家の許容する人数ギリギリまで揃えており、一人ひとりの力量も相当な物らしい。


 残りの商会は、仲が悪いと言うよりもお得意の様の意向に従っていると言った程度で正直余り疑う余地のない相手だ。


「引き抜き失敗した所が一番怪しいんじゃないですかね? 私兵の出入りも激しいみたいですし」

「"モネス男爵家"か……だが冒険者の引き抜きに失敗したからと言って、逆に殺してしまっては何の意味もないだろう」

「それなんですよね。動機が不明です」


 思い当たるとしたら、そうだな……自分の私兵の強さを見せつける、とかか?

 だが自分の存在を仄めかしては、そのままお縄についてしまう。かといって秘密裏に殺して回っても自己顕示欲は満たせない。

 ここも違うのか?


「返り討ちでなく、最初に殺害された冒険者達に共通点ってありませんか? 以前引き抜こうとした相手とかそういう」

「さすがにそんな分かりやすい事はしないだろう……共通点と言えば、皆女性だったと言うことだろうか?」

「なんだって?」

「皆、見目麗しい女性だったらしい。冒険者にしておくのがもったいないと一部の貴族たちも噂していた相手だったそうだ」


 ……まさかねぇ?

 実は殺すつもりがなくて、強引に連れて行こうとした挙句に仕方なく殺して逃げた――とかじゃあないよねぇさすがに。

 そんないきあたりばったりって事はないだろう。

 そもそも、最後に目撃されたのが2週間前で、その間ずっと大人しくしていたのだって……指示がなかったからとか?


「あの、初めの頃に殺害された女性、その人達が過去に受けた依頼って調べたり出来ますか?」

「ちょっと聞いてみよう」






 結果。

 依頼の履歴の管理はまさにギルドの仕事だった為、すぐに調べはついた。

 そしてその過去の依頼歴に共通していたある依頼者から、ほぼその犯人の後ろ立てを特定するに至る。

 ……これ俺出る幕ないんじゃないか、ヘタしたら。


「すみません、この依頼多分今日中に決着つくと思います」

「なんだと? 犯人の潜伏先が分かったのか?」

「というか、もう少ししたらここに連行されて来るんじゃないですかね」


 君、そういえば一人で城の方に観光行くって言ってたよね。



 俺の予想だが、殺人鬼を囲う……と言うよりも指示を出して冒険者を攫おうとしていたのはカプルだろう。

 最初の方の被害者が全員、過去にカプル商会の出す依頼を受けている。

 今回のような護衛任務は騎士団に欠員が出たためのイレギュラーだが、近場への採取依頼や式典等のボディガードの依頼は偶に出していたらしく、被害者の女性達を雇った事がある事が判明した。

 そして2週間前の目撃だが、カプルがこの街を出てソルトバーグへと向かったのも同時期だった。

 つまり、彼が不在の間は目立たぬよう大人しくしていたと考えると辻褄が合う。

 そして今カプルがご執心なのは、何を隠そう【バカ男ホイホイ】のリュエだ。

 彼女なら殺人鬼程度でどうにかなる事もないし、取り逃がすなんて事もしないだろう。

 これはもうやる事がない。


「まぁ、白銀持ちって事で相手が尻込みする可能性もあるか?」

「なんと……その話が本当ならば、確かに下手に動くよりは待った方良いのか……? しかし、万が一もありえる。君の友人だと言うのなら、助けに行くべきではないのか」

「いや、本当大丈夫ですから。保証します」


 だってもし俺がまだLv200だったら、防御性能だけはリュエの方が圧倒的に高いし。

 ましてや俺とは違い、リュエのいつも着ているローブは一流の品だ。ダメージを与えられるものなら与えてみろ。

 そして、釈然としない様子のホーク氏と時間を潰していると、ギルドの受付が俄にざわめき出した。


「来たみたいですよ。じゃあ行きましょうか」

「あ、ああ」


 受付まで行くと、やはりリュエが人を一人引きずってやって来ていた。

 全身黒づくめの、怪しさ爆発の男だ。

 見れば全身が血塗れになり、僅かに身体が凍りついている。


「リュエ、お疲れ様」

「む、カイくん! 聞いてくれ、観光をしていたらこの男に声をかけられてね、何やらカイくんの使いだと言うからついていったら突然魔法を使われたんだ」

「魔法使いだったのか……それで、怪我はないのか?」

「どうやら催眠の魔法だったようだけれど、このバレッタが反射してくれたんだ。これ、どうやらミスリル製で付与までされているらしくてね。まぁどのみち私に効果はないのだけれど」


 予想通り、返り討ちにしたリュエがここまで引きずってきたと。

 ホーク氏は信じられないような顔をしているが、これが現実です。

 この子を普通の尺度で見てはいけない。


「その男は俺の探し人でね、後は俺が引き継ぐよ」

「後でキチンと説明しておくれよ?」


 さてさて、尋問開始だ。





「やぁ、気がついたかい殺人鬼。君の取り調べを一任されたカイヴォンだ、宜しく」

「……」


 所変わって騎士団の詰め所。

 地下牢の一角に設けられた明らかに異質な部屋。

 鎖や拷問道具が並ぶここは、どうみても取調室には見えない。

 それに相手も気がついたのか、表情を歪める。


「一応目星は付いているんだけど、ね。君はカプルの所の人間だろう?」

「……」

「今のところ満足に拉致も出来てない所を見ると、君の専門は殺しであって拉致ではないと見た。カプルも馬鹿だね、明らかな人選ミスだ」

「お前は、何者だ」

「質問してるのは俺だ」


 唐突な暴力は相手を支配する第一歩。

 予め武器のアビリティには『刀背打ち』をセットしてある。

 即死はしないが、明らかに致命傷になりそうな攻撃を右足に食らわせる。


「ああああああああああ!!!!」

「で、カプルの依頼で今回は彼女を狙った訳だけど、拉致どころか返り討ちにあったと。君はターゲットの詳細を聞かなかったのかな?」

「……くそっ、そうだ! ただ氷の魔法を使うとだけしか!」

「なるほどなるほど、じゃあカプル指示だって認めるんだね? 彼女、この街に昨日来たばかりで氷の魔法を使う所を見たのって護衛対象だったカプルだけだったんだよね」


 実際には騎士団もいたのだが、ここは黙っておく。


「ほらほら、返事はどうした」

「ギャアアアアア!!! そうだ! だからもうやめてくれ!」


 離れかけていた右足を蹴り飛ばし、文字通り皮一枚でつながっていた足が千切れてとんで行く。


「よしよし、今の聞きましたかホークさん」

「……ああ」

「というわけでもういい、死ね」


 アビリティ解除。一思いに首を落とす。

 ……アビリティゲット。


「……確かに討伐依頼だが、すでに捕縛した者を殺すのは討伐ではない」

「罪に問われたりしますかね、これ」

「……そうだな。何故殺した」

「まぁ大丈夫だとは思ってましたが、ツレに手を出されて無事に済ますなんて気はさらさらありませんよ」

「事件が終わったら、少々時間を貰うぞ」

「それは遠慮しておきます。後で上に問い合わせてみてください」


 さてさて、じゃあ後は本丸を落としにいきますか。




 既に都内警護隊の一団が上層へと向かう用意を済ませていた。

 上層区の担当にも既に話が通っており、逃げ道を封鎖してくれているそうだ。

 だが、踏み込むとなると時間がかかってしまうらしい。

 まぁそういう時にこそ俺の出番な訳だが。


「なんと……まさか君、いや貴方が」

「最初にオインクの右腕って言ってたじゃないですか」

「しかし、まさかそんな人物が君のような……まさか創世記の?」

「あ、知っていましたか。オインクの古い友人ですよ」


 これから単独で商会に乗り込むと言うことで、俺の身分を説明した。

 するとどうやら既に一部の騎士や貴族には俺の存在が知らされており、すんなりと俺の単独先行が許された。

 本来強制捜査には王家、または宰相の許可が必要だが、俺ならばそれらを無視する事が可能だ。

 ビバ権力、ビバ特権。


「ではこれより先、抵抗する人間の殺害及び器物の破壊、全ての行為がギルド保証の下許された訳だ」

「……どうか、無益な血は流さないようお願い致します」


 それは相手の出方次第で御座います。



 既に夕闇に包まれた商会の前で、門番に声をかける。


「失礼。この書類を見てもらいたいのですが」

「ん、なんだお前は……強制捜査!? 一体誰の許可を得て――」

「通してくれるならば手出ししません。邪魔をするようならば何をしても良いと許可が降りていますので」

「ふざけるな! こんな書類で通すわけにはいかん! まずは確認を――」


 仕事だから仕方ないだろうと、顎を拳で軽く撃ちぬくに留める。

 見事顎の骨を破壊することなく意識を奪うことに成功した俺は、ちょっと自分の成長を感じながら門を蹴破って向かうのだった。

(´■ω■`) 目にはいったー


 合計文字数がゾロ目になるように頑張りました。

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