三百一話
(´・ω・`)フラグ
「ここが里長の部屋です。今、鍵を開けますね」
里長の屋敷。ゴシック調の、まるでドールハウスのような外観の美しいその姿からは想像出来ない、拷問器具がインテリアとして飾られているホールを抜け、彼女の部屋の前まで辿り着く。
今、ここで生活している人間はいない。リュエとレイスが里を出た後は、誰もこの屋敷を利用していなかったのだろう。
だからだろうか、この屋敷全体から生気が抜けたような、変わっていないはずなのに、何もかもが変わってしまったかのような、そんな寂しい空気をはらんでいるように思えた。
……昔から、家は人と生きているって言うからな。案外、この感覚は間違いじゃあないのかもしれない。
ならば、再びこの屋敷に命を灯す為にも、この部屋の主を絶対に――
「さてと……リュエ、出来れば全員に保護の結界かなにかを展開してくれるかい?」
「うん? いいけど、どうしてだい?」
「ちょっとね。出来れば物理的な防御に優れた術式で」
「あ! なら前に作ったコレにしよう。セミフィナルの訓練施設の術式を応用したの」
「あー……そういえばなんか前に作っていたね。何重にも展開出来るとかなんとか」
「なにそれ詳しく」
ダリア食いつくな。お前はそっちに集中してなさい。
そして食いつけれて喜ばないでください、もうアマミさんが早く早くと急かしています。
「あ、まだ名前つけていないや。とりあえず発動っと」
「おほー! すごいなこれ障壁術式じゃん。対象の表面にフィットしてるのか? なかなか珍しい術式の編み方だなこれ」
「ふふん、凄いだろう? まぁこれは元々の術式がすごくって、それを真似しただけなんだけどね」
「マネできりゃ十分だよ。んじゃ、準備出来たな?」
そしてダリアが里長の寝室の扉を開く。
明かりもなく、カーテンの閉じられたその部屋は、闇と一緒にどこか花のような香りを閉じ込めていて。
こんな闇の中に彼女が一人いるのだと思うと、少し悲しくて。
するとアマミが、足早に窓へと向かい、カーテンを開け放つ。
取り入れられた光が、ベッドを照らす。
無論、そこに眠る主の姿も一緒に。
『眠れる森の美女』そんなワードが咄嗟に浮かぶ。
黒と紫のレースで縁取られたシーツの上、彼女がただ静かに目を閉じ、横たわる。
分かっていたのに、こうしてまた再びその姿を見せられると、まるで死んでいるようで、否が応にもこちらの古い記憶を、苦い記憶を刺激してくる。
呼吸の音も心臓の音も、生命の痕跡や気配すら感じさせない、美しすぎるその姿。
確かに今の姿を見れば、彼女を『人ではないもの』と称されても違和感が湧かないだろう。
けれども俺達は知っている。彼女が誰よりも人らしくありたいと、そう振る舞ってきた事を。
誰よりも命を、生を、そして性を感じさせるその言動は、確かに一人の人間として俺達の記憶に残っているのだ。
そんな彼女が、冷たく物言わぬ姿で横たわっている。それが、まるで本当に死んでしまったかのようで、胸がえぐられそうになる。
「この“人”が里長か……随分と、綺麗な人だな。本当に、美人だ」
「ありがとう御座いますダリア様。あの……目が覚めたら直接言ってあげてください」
「ああ、そうする。さて……カイヴォン、防衛機構が発動する可能性についてどう思う」
「彼女は、俺が彼女の正体の、それも詳しい部分に気がついている事を知っている。その俺に託してくれたんだ。きっと俺が何らかの防衛機能に気がつくのを期待していた筈だ」
「あいよ。んじゃみんなちょいと離れてくれ、ちょいと解析の術式を試してみる」
ダリアの指示に従いベッドから離れ、未だ事態を飲み込めていない三人を背に隠し、背負っていた剣を構え、その何かに備える。
そしてダリアの手から光の帯が伸び始め、里長の身体に巻き付き始めた次の瞬間――
「伏せろ!」
キィンと甲高い音と同時にダリアの叫びが耳に飛び込み、その刹那、部屋全体に一筋の線が刻まれた。
それは、紛れもない焦げ跡、熱線が放たれた跡のようにも見える痕跡。
そして里長の方を見れば、両腕をだらりと持ち上げ、その先端が今も赤熱していた。
「ダリア、無事か」
「障壁のおかげで無事だが、こいつはすげぇな、まともに食らったら俺でもちょいと痛いぜ、これは」
「痛いで済むのかよ。障壁貼っといて正解だったな」
そんなやり取りをしていると、事情がわからないのか、リュエが必死な声で里長に語りかけ始めた。
「や、やめておくれ! 私達だよ、リュエだよ! 攻撃しないでおくれ!」
「そ、そうです! お願いします、落ち着いてください」
「里長! 私です、帰ってきたんです!」
……やっぱり説明すべきだった。
彼女達に、里長はまだ目覚めていないと伝えると、どこかホッとしたような、けれども残念そうな、どちらともとれる表情を浮かべながら黙り込む。
だが、これではっきりした。緊急用の予備エネルギーは彼女に存在している。
ならば、記憶のバックアップもされているはずなのだ。
一先ず、彼女の記憶は無事だろうと伝えると、一番心配していたアマミが膝から崩れるように座り込んでしまった。
「よ、よかった……じゃあ、後は本当に目覚めさせたら……」
再び里長に目を移す。そこでは、今も熱線を受け止めながら、里長の身体の至る所まで光の帯を纏わせているダリアの姿があった。
おそらく、あれで解析、そして防衛機構を停止させているのだろう。
額に汗を浮かべながら、黙々と作業を続けているその姿は、魔導師というよりも、一種の職人のようにも見える。
「……よし。一先ず落ち着いて作業が出来る状態まで持ってこれたが……カイヴォン、この里長が本来いるべき場所、分かるか? そこで修復に入った方が良いだろう」
「ああ、了解した。案内する」
彼女を台車に横たわらせ、里の人間に見られないように布をかぶせて森へと向かう。
そういえばまだクーちゃんや里の人間に挨拶を済ませていなかったな。
里の様子は、相変わらず長閑で平穏そのもの。以前よりも少しだけ伸びた畑の作物と、妙にカラフルになってしまった集落を遠目に見ながら、どこかホッとしたように息を吐く。
「アマミ、一先ず里のみんなに挨拶しておきなよ。里長の治療は俺とダリアにまかせてくれ。レイスとリュエは……」
「私も居たほうがよくないかい? 一応手伝えると思うんだけど」
「私も一応、魔眼で森の魔力の流れを見ることは出来ますけれど……」
必要になったら助けてもらう、という形の方が良い気がする。
もう既に知っているだろうが、それでも彼女の根底に関わる部分を、人ではないと明確に分かってしまうあの場所を知らせるのは、なんだか彼女に悪い気がする。
「そうだな、二人は必要になったら呼びに行くから、それまでアマミと一緒に居てくれないかな」
「そうかい? じゃあ、いつでも呼んでおくれよ」
「……分かりました。では、お願いします、里長の事を」
「お願いね、カイヴォン、ダリア様」
集落へ向かう三人を見送ると、ポツリとダリアが呟いた。
『随分、この人の事を気に入っているんだな』と。
……そりゃあ気にいるさ。貴重な料理仲間で、大人なお姉さんだ。
眠った今の姿を見たら、お前さんと大差ない外見年齢だがね。
「目覚めたら分かるさ。この人は、誰よりも人生を謳歌している大人だ。ガキの俺には憧れる」
「くく、そうかい。それは楽しみが増えたな。んじゃ、案内してくれ」
台車を引いて森の中を進むのはやはり難しいが、幸いにしてダリアのおかげで結界の挾間に落ちるなんて事はなく、無事にあの場所、月光が降り注いでいた謎のポットへと辿り着く。
太陽の下で見るそれは、想像以上に長い年月を感じさせる。
蔦が絡みつき、落ち葉が積り、雑草が多くの散乱した部品を飲み込む。
これを修理するのが里長を目覚めさせるのに必要不可欠なのだが、果たしてどうか……。
ダリアは感嘆の声を出した後、直ぐ様再生術を発動したのか、周囲に散乱していた全てのパーツを一箇所にまとめてみせた。
「こいつは……どっちかというと機械の部品だな。全部に回路が彫り込まれてる。こんなの日本にだってなかったぞ」
「……修理は難しそうか?」
「純正な機械製ならお手上げだが、幸いにして魔術式もたっぷり含まれてる。恐らく高度な魔法科学時代が過去に栄えていたんだろうな。これなら――俺の専門分野だ」
そう言って、楽しそうに、そしてどこか不敵な笑みを浮かべ振り返るダリア。
この様子なら任せても大丈夫だろう。残念ながら、俺は本格的な知識や技術を持っていない。せいぜいサポートに徹する事しか出来ないだろう。
「ダリア、手伝える事はあるか?」
「そうだな……雨ざらしにされていたのか、腐食止めは施されているみたいだがどうしてもサビが目立つ。俺も色々機材や薬品を持ってきているが、一部は作り直しになりそうだ。つまり、精密な作業をするのに仕事場が必要だ。ちょいとこの辺りの木を刈って小屋一つ分の更地でも作ってくれないか」
その瞬間、背負っていた剣を横になぎ払い、畳十畳分程のスペースを作り出す。
「……そうだったな。普通の人間にお願い事するのとは訳が違うんだった。んじゃ次は余計な草木を寄せて、でかい木だけを中心に集めてくれ。設計図も完成形も頭に無いが、ほったて小屋程度ならすぐに作れる」
「再生術でか……? 元が木なのに新たな形を与えるって、もう錬金術だろ、空想世界の」
「まぁそうだな。つっても本当最低限の物しか造れないがね」
そう言いながら、積み上げた木に手をかざす。すると、みるみるうちに光の粒に分解され、その形をかえていく。
てっきりログハウスのような外観になるものだと思っていたのだが、その光が収まり姿を現したのは、まるで端材を圧縮して作ったかのような合板まがいの板で作られた小さな小屋だった。
「な? この程度の物しか造れないんだ。集落の再生の時は元々家の材料として加工された物の残骸だったからあそこまで出来たが、ただの木からじゃ分解して圧縮、それでなんとか形を作るので精一杯なんだよ」
「いや、でも仮住まいとしちゃあ上出来だろ。テントいらずじゃないか」
「アホみたいに効率が悪いがね。結構がっつり魔力を持っていかれるから――」
そういいながら小屋へと入り、内部の椅子に座り込む。
それに続き、ダリアに言葉の続きを促す。
「暫くは休憩だ。ほら、じゃあ話そうぜ、今回の事の顛末と、お前の狙いについて」
「それにしても、本当にカイヴォンとダリア様って仲が良いんだね。なんだか自分の友達がああいう偉い人の友達って不思議な気分だよ」
「そういうものなのかい? 前の大陸にいた友達にも、凄く偉い人がいたからよくわからないや」
「ええ……リュエ達って凄い人だったりするの? もしかして」
「どうだろう? 凄いかもしれないけど、偉くはないよ、たぶん」
集落の皆さんに挨拶を済ませ、後は共和国側の管理小屋に居を移したクーちゃんの元へ向かうだけとなった私達三人は、小川沿いの道をのんびりと歩きながらそんな事を話していた。
ダリアさん。私の恩人でもあり、そしてリュエとカイさんの友人でもある人。
そして、この里を襲撃した人間でもあり、私達を欺いた人。
最初から決めていた事だと、カイさんは言っていた。あの決戦時の一連の騒ぎは全て、ダリアさんとカイさんの間で取り決められていた事なのだと。
けれども、私はまだ、あの人にどう接したらいいのか、分からないでいた。
友人として、関係を深めていってもいいのだろうか。
無警戒でいてもいいのだろうか。
私だけは、彼女に疑いの眼差しを向けていた方が良いのではないだろうか。
けれども、彼女の言葉に私が救われたのも事実。その恩を仇で返す事は出来ない。
袋小路。完全に迷ってしまう。私はどうすればいいのだろうか。
それに何よりも――私は不安なのだ。彼女とカイさんが一緒にいると、どんどんカイさんが遠くに行ってしまうような、そんな気がして。
……あの戦いの最中、私は明確に彼女を敵と認識し、武器を向けてしまった。
激情にかられ、彼女に身勝手な言葉をぶつけてしまった。
けれどもそれ以上に、私はあの決戦の最中のある出来事に、心を揺さぶられた。
突然奪われた視界――そして、彼を知らない名で呼んだ彼女。
『カイヴォンなんかじゃねぇ、ヨシキだ』あの暗闇の中、確かに聞こえたその言葉。
かつて私は貴女に『自分だけの景色』というものを教えてもらった。
けれど、その貴女がまさか、誰も知らない、きっとオインクさんですら知らない、カイさんだけの景色を知っているのだと思うと、私は――
「嫉妬ではない……ただ、知りたいんです。貴女は、何を知っているのですか」
「うん? レイスどうしたんだい?」
「い、いえ。少し川が気になっただけです」
「ふふ、最近釣りにはまってるもんね。今度カイくんに色々教えてもらいなよ」
「ええ、是非そうさせてもらいます」
そうですね、私にも、私の居場所があるように、きっと彼女にも彼女の居場所があるはずなんです。
おかしな独占欲や嫉妬なんて、魚の餌にでもしてしまえば良いんです。
「以上が俺が今置かれている状況、そして行動原理だ」
「……つまり、お前はシュンの行動の理由も、フェンネルの狙いも知らない、と」
「もう知っていると思うが、俺は定期的に休眠に入る。こいつは大陸に使用している術式の反動みたいなもんだが、別に必須って訳でもない。だが、フェンネルに強く勧められていてな。実際それで負担も減って国が回ってるんだ、そこに疑問を挟む余地はこれまでなかったんだが――」
あの蠢く闇の化け物。ダリアが言うには『モラトリアムの悪魔』と言うらしいが、その発生の周期が、あまりにも自分の目覚めに近すぎる事実と、白髪の子供が生まれるタイミンとの合致。
それら全てへの疑問を長年抱いてきたというが、それでも動けなかったのは、その立場故。
だが今、こいつはその疑問を晴らそうと、国から離れ動き始めようとしている。
ならば、やはりリュエと話させるべきだ。彼女もまた、この国の術式に何か思い当たるものがあると言っていたのだから。
その事をダリアに伝えると、ようやく合点がいったと言うように深く頷いた。
「リュエだけが気がついた、か。察するにフェンネルはリュエの弟子なんだろ? なら、あいつの考案した術式に気がつくのも道理だ。そして俺はフェンネルの弟子でもある。だが、そのすべてを教えて貰った訳じゃない。きっとその秘匿されていた部分が、リュエとの繋がりだったんだろうな」
「つまり、お前はリュエの孫弟子って事になるのか。なんだかおかしな縁だな」
「本当に、まったくもってその通りだよ」
笑いながら、ダリアが虚空から小さなカップを二つ、そして木製の水筒のようなものを取り出した。
入れた時の状態を保持する特性から、その容器の蓋を開けるとすぐに湯気が立ち昇る。
「ミードか? 良い香りだ」
「お前さぁ、普通湯気の香りでそうそう言い当てられねぇよ? 何気ない風にお前食い物関連について食いつくけど、それって立派な特技だぜ?」
「仕方ないだろ。ガキの頃から美味いものには目がないんだよ」
「ったく……驚かせようと思ったのにこれだ。ほれ、飲んでみろ」
黄金色のぬくもりを受け取りながら、一口含む。
ほう……こりゃ上物だ。
「美味いな。特上も特上、こんなのどこで手に入れたんだ」
「これでも聖女様なんでね。長い歴史の中の最高傑作くらい、いくらでも貢がれてんのさ。どうだ、さすがにこれより美味い蜂蜜酒なんて飲んだ事ないだろ?」
対抗心でも燃やすかのように笑いダリアに釣られ、ついこちらも対抗してしまう。
美味い、間違いなく極上だ。悔しいがこれより上物となると未経験だ。
降参だ、と手で示し、大人しくもう一口頂く。
そして、ほっと一息ついたところで、再びこの聖女様が口を開く。
「さて……俺の話はもう良いだろ? カイヴォン……お前、何を考えている?」
「その質問は、手紙の追伸に関わるものと見ても?」
「ああ。そしてお前が今も剣をしまわずに、ずっと背負っている事にも関係している」
「……シュンは気がついているのか?」
「さぁな。だが、少なくとも俺は気がついた」
さすがに元プレイヤーを騙すのは難しい、か。
これは、俺の保険であり、布石であり――奥の手でもある。
そうやすやすとは手放せないさ。
「じゃあ先に宣言する。俺は絶対に近い将来、あの男を殺す。今度は俺が俺の為に、俺の意思で動く。間違いなく、確実に、状況を整い次第殺しに向かう。いいか、絶対だ」
「……それがどういう意味か分かって言ってんのか?」
「お前こそ、薄々気がついているんじゃないのか? アレは悪だ。明確な悪だ。他人を貪り自分の欲を満たす事を是とする絶対悪だ。俺には分かる『俺だから分かる』」
「……お前と同類だと?」
「あそこまで腐っちゃいないが、同族の香りは十分にする」
ああその通りだ。俺も、もしもリュエやレイス、そしてこの世界で大切と思える人間に出会えなかったら、アーカムや、あのフェンネルと同じ存在に成り果てていた。
そして――あのフェンネルは言わば、行き着くところまで行き着いたアーカムだ。
悪徳を積み重ね、欲望を叶え、そしてそれを止める者もいない頂点へと至った存在。
そして、その下にはダリアとシュンの二人という、最高の、俺に匹敵する程の手駒を兼ね備えた、そんな究極の悪だ。
リュエに迫る知識を持ち、執着し、そして何か良くない企みを企て、あのリュエを持って『邪悪だ』と言わしめた、そんな恐るべき相手だ。
「お前はこっちに来い。シュンは……何か弱みでも握られているのか?」
「分からない。だが――最近思うようになった。もし、本当に眠りについていたのは『俺だけだったら』なんて」
「……それはつまり、お前の知らないところでシュンが目覚めていた……と?」
「……ああ。思えば、いつだって俺の目覚めにはシュンとフェンネルが立ち会っていた。俺は、あいつが目覚める瞬間を一度だって見た事がなかったんだ」
ダリアがカップを煽る。
最後の雫を飲み干し、静かにテーブルに置きこちらを見据える。
「本当に、もしもフェンネルがこの国に厄災をもたらすなら。住人を私利私欲の為に利用しているのなら、白髪や悪魔すらあいつの手によるものなのだとしたら――俺も俺で動く事になるさ」
「殺すとは言わないんだな」
「……恩義がある。だが、もし止められないのなら、その時は俺の手で……」
「……もしも難しいようなら、俺の奥の手を貸してやるよ」
「へ、そいつは本当に最終手段だ。下手したら首都がまるまる消し飛んじまう」
「そうかもな」
「大陸の結界について、里長の治療が済んだら改めてリュエと話すとする。その結果次第じゃ、俺はお前に着いて行く事になるだろう。そん時はまぁ、よろしく頼む」
「……ああ。じゃあそうだな、それまでにお前にはレイスと仲直りしてもらおうか」
「……やっぱり俺は避けられていたか。仕方ないだろうな、なんとか頑張ってみる」
大きな障害が待っているというのに、レイスについて今日一番の困り顔を見せるこの相手が、本当にどこかズレているな、なんて我が友ながら思うのだった。




