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二百八十九話

 水を打ったかのような静寂。

 俺の放った言葉は、俺のもたらした情報は、この場から一切合切の音を失わせた。

 完全に固まる両者。そして、どんな反応が返ってくるかという緊張で強く脈動する自身の鼓動を耳が捉える。

 ドクンドクンと、ここ最近まで感じることのなかった緊張感を味わいながら、ゴクリと唾を飲む。

 シュン、お前は勿論知っているだろう。カイヴォンの名を、そして『リュエ・セミエール』という名前の意味を。

 俺達が伝え聞いていた『古の魔女』『セミエールの魔女』の事だ。

 それがまさかヨシキの、カイヴォンのセカンドキャラクターだったなんてな。

 伝え聞く伝説が本当ならば、恐ろしく狡猾な魔女だという事になる。

 だが……少なくとも俺がカイヴォンから聞いた話とはまったく違う。

 かつてリュエを騙し、そして封印を押し付けたのは今、この場で静かにイスに座り直した、この見た目一八かそこらのエルフの男だ。

 初代国王。エルフを導きし者。始まりのエルフ。ブライトの守護者。

 様々な名前で呼ばれ、敬われ、多くの信頼と信仰を受けたこの男だ。

 僅かな時間の沈黙が、まるで何時間も続いているかのように錯覚する。

 緊張が最高潮に達しようとしたその時、ようやくこの静寂を終わらせる、予想外の音響き渡る。


「ククク……ははははは……本当に? 本当に来ているのかい? ククク……」

「何笑ってんだよフェンネル」


 漏れるような笑いから、どこか楽しそうなそれへと。

 心の底から愉快だと言わんばかりに破顔したフェンネルが机に突っ伏し、背中を震わせながら笑いを堪えだした。

 それが、酷く、不快で。まるで、こちらの決意が、カイヴォンの怒りが、様々な思いをバカにされたかのようで。


「カイヴォンに会ったのか、ダリア」

「ああ、会ったぞ。そして――後四日以内に俺はもう一度あいつに会わなければならない」


 そして告げる。この国に未曾有の危機が迫るかもしれないという事実を。


「フェンネル。笑っているところ悪いが――お前がかつてリュエにした行いにカイヴォンは大いに怒っている。きっと、この国に牙を剥くぞ」

「くくく……あははは、それがどうしたっていうんだい? そんな人間一人が――」


 その瞬間、俺とシュンが同時に動く。

 飲み込まれてしまうような深い蒼色の刃を持つ刀が、そして俺の持つ、赤銅色の剣が、同時にフェンネルの喉元と心臓に突きつけられる。


「「俺達もただの人間だ」」

「……分かった分かった。つまりそのカイヴォン、君達の友人かい? 同じくらい力のある存在だって訳だ」

「油断はするな。カイヴォンは最も警戒すべき人間だ」

「アイツは軽んじる発言は許さんよ」


 意外な事に、シュンもまたカイヴォンを軽んじられた事に怒りを覚えたようだった。

 ……散々忘れたと、もういないヤツだと言っていた癖にな。

 そして俺は続けざまに、カイヴォンから聞いた話をそのまま二人にしてやる。

 かつて、エンドレシアの地に現れた最強の七星の話。

 その七星を封じるため、利用され騙されたリュエの話。

 千年間もの間、一人冷たい森の中に置き去りにされた歴史を。

 俺達ですら、こうなのだ。

 その半分の五◯◯年ですら耐えられず、眠りを選んだ俺達なのだ。

 だが彼女は自身を封じる事も出来ず、ただ千年の間生きてきたのだ。

 カイヴォンが訪れるまで、誰もいない最果ての森で、一人孤独の中耐えてきたのだ。

 なぁ、シュン。お前なら、お前なら理解してやれるだろ?

 話を終えた俺は、大人しく聞き入っていたシュンへと視線を向ける。

 だが――そこに浮かんでいたのはどこか奇妙な、怒りでも悲しみでもない、ただ達観したかのような無表情だった。


「フェンネル。カイヴォンはこの国……いや王族に復讐をする権利を持っている。だが、あいつはそれを抑え、ただ真実を国民に公表しろと、そしてリュエを王の元へ連れて行く許可を出せと要求してきた」

「ふーん、なかなか紳士的じゃないか」

「茶化すんじゃねぇよ。あいつはもうギリギリだ。ここで選択を間違えば、想像するのもおぞましい未来が待っているかもしれないんだぞ」


 そしてフェンネルは終始変わらず、面白い話でも聞くように、薄ら笑いを浮かべながらこちらを見ていた。

 これだ。これがこの男の嫌いな部分だ。

 性格の悪さや性根の腐ったこいつを嫌というほど理解しているが、時折見せる、どこまでも人を見下したかのような、まるで観察対象が面白い行動を起こしているのを眺めるような表情が、たまらなく嫌いだった。


「会わせてもいいんじゃないかい? 国王に危害を加えるつもりかどうかは知らないけれどね? ただ――彼はそれを良しとしない、そうだろう? シュン」

「……ああ。国に害するのなら、害をなす可能性があるのなら、それは排除するべきだろ」

「っ!? お前……お前だってアイツの怒りは分かるだろ!? お前がもし同じ立場なら……もしも犠牲になったのがジェリ――」


 相棒の口から出た信じがたい言葉に、つい声を荒げてしまったその時、またしても一瞬で抜き放たれた刃がこちらの喉元にピタリと触れる。

 どこまでも冷たく鋭いその感触を喉に感じながら、ゴクリと唾を飲む。


「立場。なら今この立場に立っている俺達が取るべき行動はなんだ。もしもを語る前に、今自分が取るべき行動をもう一度考えてみろよ、セイジョサマ」

「まぁ言い訳をさせてもらうなら、僕が先生……リュエ・セミエールをあの地に残したのは仕方のない事なんだよ」


 すると、フェンネルは未だどこかおかしそうな笑いを漏らしながら語り始めた。

 千年。俺達の倍以上生きているという事実を新たに知ることとなった、この男の話を聞くべきだと、一先ず心を沈ませ、こちらも席に着く。


「君達と僕とで封印した七星『魔極リスティーリア』と『剣神ハイネルン』あれはまさしく悪夢と呼ぶに相応しい災厄だった。それは僕も勿論認めるところだ。けれど――『龍神』は違う、悪夢や災厄とは次元が違う、まさしく『絶望そのもの』だったよ」


 ここにきてようやうその表情が変化する。

 薄ら笑いが消え、少しだけ忌々しげに表情を歪ませる。

 その様子に、その『龍神』と呼ばれる相手が恐ろしい、この狂った男ですらまともな感情を表面化させる程の存在だったのだろうと、再び喉を鳴らす。


「決して死なない。どんな深手もたちまち癒やし、どんな呪いも弾き飛ばし、万を超える術を打ち破る。何千という一騎当千の猛者が挑みかかり、それでもいたずらに惨劇の時間を伸ばすだけ。そうだねぇ、今の僕や君達で挑んで、ようやくトントン……いや負けるかな? まぁとにかくそういう相手だったよ」

「……当時の人間が今の俺達程の力を持っていなかったとしても、そいつは恐ろしい話だ」

「そうだろう? けれど――」


 フェンネルは語る。その絶望に一人立ち向かった一人の聖騎士の逸話を。

 千を失いそうになれば千を救わんと奔走し、万の術が効かなければ新たな術を生み出した。

 人々の祈りを受けて、決して倒せない筈の龍神を撤退に追い込む、絶望を払う氷の化身。

 確かに『龍』と名が付くのならば、氷属性を極めたリュエならば対抗手段も持ち合わせていただろう。

 そして、俺の記憶が確かならば、リュエの装備は――ゲーム時代最強と謳われた装備を身にまとっていた筈だ。

 それなら……合点がいく。あの装備一式を身にまとっていれば、そうそう負ける事はないはずだ。

 なにせ――俺達チームメンバー全員が協力して集めた装備なのだから。

 つまりリュエの勝利はそのまま、俺達全員の勝利という事になる。

 その事実に思い至り、少しだけ気持ちが高揚する。

 それはどうやらシュンも同じだったようで、どこか誇らしげな表情を浮かべていた。

 しかし、話はそこで終わらない事を俺達は知っている。

 なにせその龍神は封印、リュエを犠牲に封印されたのだから。


「再び現れた龍神を見て、さすがに心が折れそうになったね。与えた傷が全て癒えてしまっていた。けれども、またしても彼女が立ち上がったんだ。まぁ、僕達が協力を打診したのだけどね」

「その挙句に、お前は彼女を騙し、縛り付けた」

「じゃあ聞くけれど……君は何度、彼女に死ぬかもしれない死闘をさせるつもりだい? どこかでこのサイクルを止める必要があるとは思わないのかな?」

「一理ある。たとえリュエが龍神を退けても、それで被害がゼロになるとは思えない。必ず、犠牲が出ていた。そうだな?」


 フェンネルの弁に言葉を閉ざす。

 そしてシュンの言う事も理解出来る。

 そうだ。根本を解決出来なければ……それは消耗を抑える結果にしかならない。

 そして、もしも一人の犠牲でそれが叶うのならば……。


「先生は、ダリアと同じ特別だったよ。魔力がね、尽きないんだ」

「……だろうな」


 それは『魔導師』を最高レベルまで育て上げた人間だけが挑めるクエストの報酬だ。

 元々神隷期の人間、つまり元プレイヤーの自然回復速度は、今この世界で暮らす人間の比ではない。そして俺やリュエは、さらにその速度が早いときている。

 それは傍から見れば、無限の魔力を持っているに等しいと思われても仕方のない事だった。

 だからこそこいつは……リュエを魔力のバッテリーのように扱い、封印の術式を考案した……のか。


「……お前がその選択を選んだのは、納得はしないが理解は出来る。だが――『リュエを騙す必要がどこにあった?』」

「うん? だって説得したり、嫌がられると面倒じゃないか」


 無意識に身体が動く。

 剣が炎を纏い、フェンネルの顔に吸い込まれるように伸びていく。

 けれどもその剣は、横から伸びるもう一振りの刃に防がれてしまう。

 ああ、なるほどこれは俺が我慢の限界を迎えたからなのかと、一瞬遅れて自分の行動の理由を理解し、そして同時にこの蛮行を止めてくれた相棒に感謝した。


「フェンネル、言葉が過ぎる。これで二度目だ、出来るだけ発言には気をつけろ」

「いやいや……別に彼女を軽んじるつもりはないんだ。だって彼女は歳をとらないんだ。だったら、いつか解決策を見つけて迎えに行けばいい、そう思っていたんだけれどね?」


 悪びれもせず、そして今まさに自分に迫っていた危機すら危機と思っていない様子であっけらかんとそうのたまう男。

 歳をとらない? だからどうした、身体は無事でも心はそうじゃないだろう。

 俺達がそうであったように、リュエもまた――

 この場に、カイヴォンがいなくて本当に良かった。

 会わせられない。この男とカイヴォンだけは、絶対に会わせてはいけない。

 そう密かに心に決め、こちらも剣を引く。


「いやいや……それにしても意外だよ。まさか君達が先生の知り合いだったなんてね? いや世間は狭いというかなんというか。まったく、こんな事ならセミエールの魔女なんて呼ばずに名前で呼ぶべきだったかな?」

「それは、この国の住人に『リュエという名の魔女』という教育を施したかったという意味かよ。なぜそうまでして敵を作ろうとする、白髪を忌む文化を根付かせる」

「一種にアレだよ……ほら、君達が言っていた……そう、プロパガンダム!」

「プロパガンダだ。どこの宇宙戦記だよ」

「政治的な意図があると?」

「まぁ、一種の、だよあくまで。実際には似て非なるモノさ。ただ、必要だからやってるだけ」

「……それを教えるつもりはないのか」

「ないね。それに……本当はもう、気がついているんだろう? ダリア」


 もう、余りにも感情をかき乱されて。

 怒りと納得、反発と理解、相反する感情が何度も何度も衝突を繰り返し、もうこいつの話をまともに聞くのが苦痛になってきたそのタイミングで、再びヤツはこちらを見下すような、観察するような視線を向けながら、語った。


「白髪のエルフは……僕の研究の副産物だよ」


 ああ、そうだろうよ。

 俺の目覚めと同じタイミングで生まれるのなら。

 だったら俺の眠りと目覚めを管理している、お前が関わっているに決っている。

 何を、何を研究しているんだお前は。

 俺が眠っている間に、お前は国を使い、一体何をしていると言うのだ。

 その問いを投げかけようとするも、途中でそれをやめる。

 こいつは決して答えないし、それを無理強いする事も出来ない。

 なにせ、こいつは俺達に居場所を与えた恩人なのだから。

 この国を最初に生み出した、偉大なる始祖なのだから。

 だから……俺は……。


「話を戻すよ。まぁ僕は僕で研究を続けていた訳だ。なにせ七星を二体も封印しているんだ、最高のサンプルがあると言っても過言じゃない。そしてこの研究の果てに、龍神をも封じる術を手に入れようとしていた訳だけれど――」

「……リュエがこの大陸にいる。それはつまり、龍神の封印をどうにかする方法を見つけたって事なんだな」

「そう、そうさ! 僕が君達の力も借り、この大陸全てに術式を広げ、多くの住人を術式に組み込み、術式の文化を、再生術の可能性を高め、何百年も掛けて研究してきたというのに、先生は彼の地にてたった一人で僕の研究に追いついた! いや、追い越されてしまったんだ!」


 狂ったような歓喜の色を周囲に振りまくように、両腕を広げ、そして天を仰ぐように大仰に振り回す。

 それは、喜びだけでなく、どこか仄暗い感情が見え隠れしているようで、なぜだかその姿を見続ける事が憚れてしまうようで。


「……一人で、か。そいつはどうだろうな」

「どういう意味だい、シュン」

「ダリア、以前一度、封印に揺らぎがあったと言っていたな」

「ああ、一瞬だけな」

「それを観測し始めたのは、俺達が去年目覚めてからだ」


 その言葉に、俺はカイヴォンから聞いた話を思い出す。

『去年、エンドレシアの最果ての森で目覚めた』確かにアイツはそう言った。

 そして今、この場所にリュエとアイツが共にいるという事は――


「カイヴォンは、いつこの世界に来た」

「……去年だ。リュエの元に現れたらしい」


 俺がその言葉を口にした瞬間、フェンネルではなく、シュンの方が一瞬眉を顰めたのを見逃しはしなかった。

 ……気持ちは分かる。だが、そいつを今表に持ってくるのは止めろ。


「つまり、封印の方法についてカイヴォンが何か助言をしたと考えるべき、か」

「そういう事だ」

「……へぇ。そうなんだ。カイヴォンって言ったかい、そいつは」


 にわかに、肌を撫でられるような、ぞわりとした感覚が腕を伝う。


「シュン、そいつがこの国に害を為すと言うのなら、君にはしっかり働いてもらうよ。そうだね……万全を喫して、それに相応しい場所も用意する。ダリアはそうだね、僕の代わりにその舞台を整えて貰わないと」

「お前、まさか……」


 いつぶりだろうか。

 目の前の男を、恐ろしいと思ったのは。


「邪魔が入ったって事だよね、それは。先生と僕の競争に、水を差した人間がいるって事だ。あまつさえ、僕の国に牙を剥く? ただのネズミの類なら、君達の友人だからと目こぼししてあげようと思っていたんだけれど、そうもいかなくなった」


 止めろ。本気で敵対するつもりか。

 シュン、お前も本気で、アイツを排除するつもりなのか。

 俺に、その手助けをしろと言うのか。


「『公正の釜』の準備をするよ。ダリアとシュンはその害虫の駆除にあたってもらう。僕はそうだな……先生が来るかもしれないのだし、少し準備をしないといけなくなった」

「待て、本当に、本当に排除する必要があるのか。お前の目的はなんだ、リュエはもう呪縛から解かれた。なのにお前は――」

「ダリア、これは友人ではなく師匠としての命令だ。害虫を排除しろ」

「っ! ……俺にだって、従うべき命令を選ぶ権利はある!」


 ここで引いてなるものか。

 何かがおかしい、この男は何かを隠している。

 なんだ、こいつは何をしようとしているんだ。

 そして――何故俺は今、お前に剣を突きつけられているんだ?


「シュン……どういうつもりだ」

「命令に従え、ダリア。この国の上に立つ人間の責務を果たせ」

「……俺はいつだって平和的に解決してきたつもりだが」

「ああ、そして聖女であるお前の代わりに、いつだって手を汚してきたのは俺だ」

「ああ、感謝しているさ。だがこれは――」


 次の瞬間、左腕に鋭い痛みが奔り、握っていた剣を取り落とす。


「今この場でお前と敵対したくはない、ダリア」

「っ! なんで、なんでだよ!」


 何故、お前はそこまで国に……いや、フェンネルの為に動く。

 気がつけば、既にヤツの姿は消えていた。

 痛む腕に回復魔法を唱え、取り落とした剣を拾い向き直る。

 目の前には、どこまでもまっすぐこちらを見つめる相棒の姿があった。

 その目には一寸の曇りもなく、ただこちらに『責務を果たせ』と語りかけてくるようで。

 ……俺に、天秤にかけろというのか。

 五◯◯年待った友人と、五◯◯年共にあった友人とを――


「敗北から見いだせる道だって、あるだろ。一度負けたら、少しは向こうも落ち着きを取り戻すだろう」

「……最初から、勝つつもりかよ」

「『公正の釜』を使う以上、俺の勝利は絶対だ。お前は今のうちに、アイツを呼び出す方法でも考えておきな」

「……だったら、お前こそ敵対の言い訳を考えておけ。俺は、絶対に直接アイツに手を出したりはしないからな」


 傷の癒えた左腕を擦りながら、どこまでもまっすぐ見つめてくるシュンに背を向け、神霊宮を後にする。

 決定的な事は、なにも分からなかった。

 けれども、最も悪い結末へと進む道筋が、出来上がってしまった。

 ……もし、全てを捨て去って今すぐあの二人を止める事が出来たら。

 だが、それをしてしまえば……間違いなくカイヴォンとの決別に先駆けて、この国が、この大陸が終わってしまう。

 自分で守っている筈なのに、俺は、その守っている存在に、自分の自由を奪われてしまっている。

 なんで、なんでこうなっちまったんだろう。

 たぶん、お前と再会する前から、決まっていたんだろうな。

 ああ……嫌だ嫌だ。友人同士が剣を交えるのを黙って見ているなんてまっぴら御免だ。

 本当に……本当に……。


「……敗北から、見つけられる道、ね」


 もし本当に、アイツが負けて、俺達の話を冷静に聞いてくれるのならば。

 ……そんな訳ないだろ。アイツは……俺の知っているアイツは、決してそんな生易しい性格をしてはないない。

 お前は知らない……俺だけが、知っているアイツなら……。


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