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暇人、魔王の姿で異世界へ ~時々チートなぶらり旅~  作者: 藍敦
八章

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百八話

(´・ω・`)わしの小説は百八話まであるぞ

追記

(´・ω・`)投稿うまくできてなかったじゃないですかー!

 ギルドホールの一角で、大勢の人間が固唾を飲んでその様子を見守っていた。

 大きな掲示板が用意され、そこにはどこかの地図が張り出されている。

 描かれているのはどこかの円形の広場で、それを縦に割るように通路が通っている。

 その通路の両脇と、円に沿うように番号が割り振られており、通路の入り口付近と出口付近には若い番号が振られ、円沿いには大きな数が割り振られていた。


「では次、ジンオウ生菓子店、前へ」


 そう、これは出店場所を決めるくじ引きだ。

 出場者達が順番に呼ばれ、くじ箱に手を差し込み番号の書かれた紙を引く。

 それを数度繰り返し、徐々に地図の番号が埋められていく。

 ねらい目は、やはり通路の入り口と出口付近だろうが、俺としては外周、円の辺りでも問題ないと思う。

 恐らく、目当てのものを最初から決めて買う人間よりも、ぶらぶらと眺めて歩く人間の方が多いはずだ。

 ましてや、あらかじめ出店場所が決まっているのは去年の優勝者だけ。

 そして、決まった後は規定の日までは場所を宣伝する行為は禁止されている。

 これだけ聞けば優勝者が圧倒的に有利に思われるかもしれないが、店側にとってはこれはプレッシャーでもある。

 毎年、同じもので飽きられるリスクと、味を変えたことによるリピーターの減少。これを天秤にかけなければいけないのだから。

 ましてや、場所が決まっているという事は、それだけ始めに客が集中するということ。

 そうなると自然に、初見の人間は並び辛くなり、新規の客を確保するのが難しくなる。

 ……そう考えると、これはちょうどいいバランスなのかね?


「次、外部からの参加者に移ります! 一番、レストさん前へ」

「はい」


 レイスも自分の苗字を偽名として使い登録している。

 そして、ついに外部の人間のくじ引きが始まった。

 掲示板を見れば、通路の両脇で空いてる場所は二つ。

 俺としてはどこでも構わないのだが、レイスは緊張した面持ちで箱に腕を差し込んでいく。


「カイくん、あの箱の中にたとえば、猫でもいれておいてさ、それでモサモサーって動いたらびっくりしないかな?」

「……箱の中身はなんじゃろな」


 発想が芸人のそれです、リュエ。

 視線を戻すと、レイスがゆっくりと腕を引き抜き、クジを手渡すところだった。

 緊張した面持ちの彼女を見ていると、こちらまでドキドキと心臓が強く鼓動を打ってしまう。


「七番!」


 発表されたのは、残っていた通路に面した場所だった。

 入り口に程近く、そして両隣はこの街で商売を営む相手と、中々手ごわそうな相手だ。

 だが、それでもレイスは嬉しそうな笑顔でこちらに振り返った。


「やりましたよカイさん!」

「ああ、さすがだレ……レスト」

「よくわからないけどおめでとう!」


 こうして、無事に当日の出店場所が決定した俺達は、今晩の宿へ向かうべく受付へ向かうのだった。


 受付では宿を紹介してもらえるシステムになっているのだが、今回は少し違う。

 このギルド、概観がホテルのようだと言ったが、まさしくその通り。

 フードコートより上の階は宿泊施設となっており、多少割高だが寝泊りする事が可能となっている。

 本来、ギルドの宿舎なんてタダも同然で貸し出されるような場所だが、ここの場合は元々高級ホテルを改装した場所らしく、せっかくなら宿泊施設で一儲け出来るのでは? というどこぞの守銭豚が発案したのだとか。

 なお、ここに泊まるのは白銀持ちやそれに順ずる、経済力がある一部の冒険者くらいしかいないのだとか。

 で、今回はそこを借りているわけだが……一部屋だけなんだよなぁ。


「カイ様ですね? オインク様より最上階のスイートを使うようにと言付けられております。こちらをどうぞ」

「すごいよカイくん、鍵が金ぴかだ」

「真鍮……ではありませんね。どうやら魔力回路が通されているみたいです」

「あ、はい。では確かに受け取りました」


 凄いな、鍵だけで並みの宿一泊分が軽く賄えそうですよこれ。

 しかも最上階のスイートとか、映画やドラマでしか聞いた事のない言葉なんですが。

 実在したの? スイートってどういう意味なの? 甘いの?

 受付を後にし、上へと向かう昇降機に乗る。

 そういえば、こんな設備が備わった場所なんて今までなかったような。

 エンドレシアの王宮もかなりの大きさだったが、少なくとも謁見の間までは階段しか使わなかったし。

 そもそも、この街のように背の高い建物がぽんぽんと建てられている街なんて他に見た事がない。

 これもひとえに、魔族の技術力の賜物なのだろうか?


 ゆっくりと滑車の回る音を響かせる、想像よりも振動の少ない昇降機の中リュエが口を開く。


「ねぇカイくん、この部屋ってなんだい? さっきから微妙にこう、変な感じがするんだけど」

「……レイスはわかるよな?」

「ええ。……少し反応が楽しみです」


 君はあれか、仮にテレビを見たら『箱の中に人が!』とか言っちゃう系女子ですか。

 やだ、すごく見てみたいんだけど。

 その後、途中で止まることなく最上階へとたどり着くと、お約束のようにチーンと鐘の音が響く。

 この辺りは世界共通なんですかね。


「なんだかふらふらするよ……」

「ほら、降りた降りた」

「私も、この感覚にはいまいち慣れませんね……」


 俺はもう慣れっこです。これでも元現代っ子なので。

 昇降機を出ると、ホールとは打って変わって『静寂が場を支配する』なんて表現がしっくりする、少々厳かな空気の廊下へと出た。

 廊下全体に赤いカーペットがしかれ、こちらの足音を完全に消してくれるそのクッション性に、踏んでしまうのが恐れ多いような気さえしてしまう。


「カイくん、出る場所間違えたのかな、反対側に来ちゃったみたいだよ」

「いやいや、これであってる。後ろ見てみ、扉一つしかないだろ?」

「……カイさんがいつもリュエを可愛いという気持ちがよくわかりました」


 頭上にクエスチョンマークでも浮かべていそうな表情で、しきりに振り返り首をひねる。

 なでりこなでりこ。あ、今日はレイスも一緒ですか。

 なでりこなでりこ。二人でなでりこなでりこ。


「……これは……認識阻害、いや転移魔導? 私に発動を気取られないように術式を遠隔で……?」

「まぁさっきと違う場所だってのは間違いないな」

「やっぱりそうだよね……油断していたよ」


 面白いのでこのまま少し放っておこうかと思います。

 平然と進み目当ての扉を探す俺とレイス、そしていつのまにかローブを脱ぎ、動きやすい格好になり剣に手を添えて進むリュエ。

 この温度差よ。


「ああ、あったあった、この部屋だ」

「カイくん危ない! 罠がしかけられているかもしれないよ! ほら、鍵穴に魔力反応がある」

「たぶん、この鍵についてる魔力回路に反応して開く仕組みなんだと思いますよ?」


 うん、なんか本気で悪い気がしてきたから入ったらネタ晴らしをしよう。




「二人して私を笑いものにして!」

「いやぁ、だってあんまり可愛いから」

「つい、可愛いので」

「褒めても許さないよ!? あ、頭をなでるのはやめっ」


 なでときゃなんとかなるって俺が言ってた。

 しっかし、とんでもない部屋だなこりゃ。

 スイートルームと言われて思い浮かべるのはどんな部屋だろうか?

 巨大なベッドのある寝室? 巨大な窓から夜景を楽しめるジャグジー? お酒が各種取り揃えられているプライベートバー?

 それとも、明らかに装飾過美な巨大シャンデリアや、まるで絵に描いたような美しい木目の家具だろうか?

 はい、それら全てがこの部屋にありました。本気で驚いております。


「それで、お菓子はどこにあるんだい? この貯蔵庫ってあけてしまってもいいのかな?」

「恐らく宿泊料金に含まれているはずですから、お酒も含めて自由にしていいはずですよ」

「レイス、なんだか君が遠い世界の住人も思えてきたよ」


 さすがです、こういう部屋に宿泊した経験もあるんですね。

 しかしこういう場では頼もしくもあります。もしかしたら今後、そういう場面に出くわすこともあるかもしれないし。

 ううむ、やっぱり地位も力も程ほどが一番なんですかね。


「カイくん、この部屋間違ってるんじゃないかな? 貯蔵庫の中にはチーズとかお酒のおつまみばかりだよ」

「ん? そんなものなんじゃないか?」

「甘いものが置いていないじゃないか」


 俺とレイス、無言のなでりこ。本日はいつもより絶好調ですね貴女。

 スイートルームは甘いお菓子がある部屋じゃないんです。

 俺だって知ってたよ、ちょっと頭の中で想像しただけだよ。


 ようやく見つけたチョコレートに舌鼓を打つリュエとレイスと共に、明日の予定を組み立てていく。

 まず場所の下見は確定として、服装をどうするかだ。

 出来ればユニフォームのような統一性のあるものが欲しいところなのだが。


「それなら、私とレイスはメイド服があるよ」

「あ、そういえば私の分も貰ってきたんでしたっけ?」

「うん。あ、ちゃんとギルドにお金は払ったからね?」

「メイドとな。二人がメイド姿で接客をするとな」


 あれ、これもう適当な料理でもいけるんじゃね的な。

 いやさすがにそれはプライドが許しませんが。

 でも絶対これ客来ますわ。俺も接客されたい。


「それでしたら、明日はカイさんのために服も買いに行きませんと」

「んー、じゃあ執事服でも買ってその上からエプロンでもつけようかね」

「そうだ、メガネもかけようよ」

「変装にもなるしいいかもな」


 実際、メガネの有無で人の印象はがらりと変わる。

 たとえ見知った仲でも、普段から顔を合わせていない限り、他人の空似程度に思われておしまいだ。

 ましてや、俺は魔王ルックだった上に、今では髪型もかえているのだし。

 それに、レイスとリュエは常に一緒だったが、リュエは髪色を白に戻しているし、レイスも今はヒューマンと見分けがつかない状態だ。

 一緒にいる人間まで変わっている状態で判別出来る方が難しいだろう。

 ……大丈夫だよな、たぶん。


「んじゃせっかく大きなキッチンまでついていることだし試作でもするか」

「了解! じゃあ私はパンを出すよ」

「では、私はお米を磨ぎますね」

「米は多少念入りに磨いでくれていいから。ひび割れも気にしなくて良いよ」


 さてと、じゃあ変則ぼんぼんクッキングと行きますか。

(´・ω・`)からいよー辛味大根からいよー


追記

(´・ω・`)絶対にゆるさないぞくそPC

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