森へ
遅くなって申し訳ないです
集会場をあとにした3人は、
「ほら、ほどいてあげるからじっとしてて」
「ふー、やっと解放される」
「さすがに何時間も縛られていると辛いの一言です」
縄をほどかれた2人は腕を揉んだりしてほぐしている。
「真那の前で縄をほどいてもまた縛られるだけだったし」
「まあ、それもそうだな」
潤が頷いて返し、涼介が感心している。
(面倒とか言いながらちゃんと考えているんだな、大抵この場合は神楽さんが榮倉さんに気があるパターン・・・)
「私にエプロン姿で街を疾走なんていう恥ずかしい思いをさせたんだから、真那のおしおきはもう数時間ぐらい継続してほしかったところだけどね」
「いや、それについては俺は悪くないだろ」
(・・・なわけないか)
水晶玉の前についた3人、沙由梨が水晶玉の前に取り付けられている入力装置にアクセスし始めた。
「この水晶玉ってただのオブジェじゃなかったんですね」
「うん、ただの転移装置だ」
「転移装置!?ワープ的なやつですよね?」
「そうだよ、この水晶玉がこの世界のあちこちにおいてあるんだよ、んで、転移先はこの水晶玉があるところしかできないんだ」
潤が転移装置について説明してるうちに、
「準備ができたわよ」
今潤たちが立っている所に魔方陣が出現していた。1度に5人くらい陣の中に入れそうな大きさだ。
そこに3人が立つと、
ッシュ
とその場から消えてしまった。
そして、木々が生い茂っている中、ぽつんと置いてある水晶の前に魔方陣が浮かび上がった瞬間、
ッパ
っと潤たち3人が出現した。
「すごい、あっという間ですね、もうここはヴェルタムの森ですよね?」
浮かれた涼介とは違い真剣な面持ちで周囲を警戒している2人。
「ええ、確かにもうここはヴェルタムの森よ、だから気を付けて頂戴、狼が活動してるころでしょうから」
「え?だってまだ昼間なず・・・あれ!?もう日が暮れてる!?」
そう、涼介の言うとおりもう日が暮れてカラスがカーカーと鳴いている。
「なんで!?さっき転移する前は、まだ2時ぐらいだったはずなのに」
「あー、そういえばまだ説明の途中だったな、この転移装置は瞬間じゃないんだよ。だから時間が転移した分だけかかるんだよ」
「それより、今はまだ狼たちの気配がないから、早く武器を装備して」
「ああ、そうだった」
潤はパジャマ姿で戦うということはさすがにしないらしく、真那から渡された荷物のひとつ、ジャージに着替え、折り畳み式の鉈をひろげて背中背負い戦闘の準備を整える。
沙由梨も武器の準備をし、涼介の武器を目にして、
「あ、涼介さんは小太刀の二刀流ですか?」
「え、あ、うん、とにかく軽い武器がいいっと思って・・・それでコレ」
「いいんじゃないですか、あ、きましたよ、気をつけてください」
グルルルルルルルルル
姿を現した狼の数は6匹、生態からして今対峙しているのはローウルフだろう。
そして、そのうち3匹が一斉に潤に襲い掛かるが、鉈を振り回して薙ぎ払っていく。
森奥からまた数匹の狼が姿を現すが、襲い掛かってくるたびに薙ぎ払っていく。
そんな潤の背後から1匹の狼が木の茂みから襲い掛かるが、潤は正面の戦闘で気づかない。
次回はできるだけ早く投稿したい