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お兄ちゃんが教師で私が生徒なんて聞いてない!

作者: 夢有

「今日から教育実習だね!今年はだれが来るのかなー?」

「ここのクラス持ってくれたらいいのにねー!」

「優しい先生だったらいいよね!」

「そしてかっこよかったらパーフェクト!」

4人はそんな話をしながら朝からはしゃいでいた。




私は小山 香奈(こやま かな)。普通の中学2年生です!もう家に住んでないけどお兄ちゃんが1人と、共働きのお母さんとお父さんがいます。みんな仲良しです!学校では、瑞木 凛(みずき りん)佐野 杏菜(さの あんな)神無月 心那(かんなづき ここな)の四人でつるんでいた。

今日から教育実習で大学の将来先生になりたい人が中学校に来て、実際勉強をするというものだ。毎年優しい先生が来て、いい思い出を作って帰る。私達も新鮮な感じで勉強も(はかど)るから、毎年楽しみなんだ〜!


学校全体の集会の時に校長先生が、教育実習生を3人紹介した。私は目が悪いけど、メガネを持っていないので、集会は全く見えない。教室の黒板がギリギリ後ろからでも見えるぐらいの視力だから、顔は全くわからなかった。気がつくと校長が、教育実習生をそれぞれ1-4、2-2、3-1の副副担任になる事を発表していた。名前を聞きそびれてしまった…しかし、真ん中の男性らしき人が自分達のクラスの副副担任ということはわかった。楽しくなると信じて私達は教室にあがった。


担任の先生が、

「早く席につけー!再度教育実習生紹介するぞー」

と叫んでいる。みんな大人しく座り、教育実習生の先生を待つ。そこで入って来た先生は、

「初めまして。小山 晴翔(こやま はると)です。担当教科は、数学です。3週間頑張らせていただきますので、よろしくお願いします。」

と頭をさげた。その人はずっと寮で住んだ連絡をよこさない私の兄だった。


「ねぇ香奈!小山って事は先生やっぱり前話で言ってたお兄さんなんじゃないのー?」

「あんなにかっこいいお兄さんいたなら早く行ってよー!」

と、りんちゃんと、あんなに言い寄られていた。

「え?うん…私もびっくりした…本当にお兄ちゃんなのか聞いてくる!」

「あっ…ちょっと!」

あんなが何か言いたそうだったけど、それより久しぶりにみるお兄ちゃんの方が先だった。


「小山先生!」

お兄ちゃんらしき人に話しかけると、

「お!香奈!ちょっと見ない間に大きくなったなー!元気してたか?連絡できなくてごめんな…そういえば、クラスにいたよな?香奈の副副担任の座は頂いたぜ!」

なにも変わっていない、五年前のお兄ちゃんと同じだった。本当に安心した。

「お兄ちゃん…元気だったんだ…本当に良かった!」

「心配させて悪かったな。そして、これから3週間よろしくな。」

「うん!」

そのまま、私はあんな達の所に帰ることにした。


結局、帰るまでに違うクラスの友達に話しかけられて教室についたのは8分後だった。

「遅いー!で、どうだった??」

と、あんなに聞かれ

「うん…お兄ちゃんだった。」

と言うと、3人がきゃーーー!と言いながら、騒いでいた。

「ど、どうしたの?」

「え!だって、あんなにかっこいいお兄さんてことは、やさしいんだろーなーって!」

「でさ!優しく問題教えてくれたりしてさ!」

「そして!兄妹で教師と生徒の禁断の愛!」

きゃーーーー!とまた騒いでいる…盛り上がりすぎでしょ…と、そんな話をしていたら休み時間が終わってしまった。


四人が二つの机を囲んでお弁当を広げながら、

「ねぇ!さっきの数学でさ!小山先生すごく優しく教えてくれたんだよね!やばい!すごい嬉しいんだけど!担任よりわかりやすい!」

「私も教えてもらったけど、分かり易すぎて拍子抜けしたぐらいだよ!担任と変わってほしー!」

「香奈いいなー!あんなにいいお兄さんと血が繋がっててー」

「え?普通のお兄ちゃんだと思うけど…」

「「「どこがよ!!」」」

「逆にお兄ちゃんみたいなお兄ちゃんじゃない人いるの?」

「いるよ!私のお兄ちゃんなんか、顔合わせたら喧嘩ばっかりで、しかも……」

と、ここかはここなのお兄さんの話を長々と聞いて、ご飯食べる時間が終わった。



「香奈ーまたあしたー」

「うん!また明日!りん!あんな!ここな!ばいばーい!」

「「「ばいばーい!」」」

と挨拶をして、学校の門をでて、誰もいない家に帰った。両親は共働きで、2人とも夜にしか帰ってこない。家に帰って、手を洗って、部屋着に着替える。そのあとすぐにごろっと横になって、漫画を開く。何度も読んだ漫画だ。

「あー…退屈だなー…」

そんな独り言が築24年の二階建てに虚しく響き渡る。

1人でゲームしたり、携帯開いてSNSをしたり、動画みたり。いつもの事だ。7時半を回ったぐらいに

「ただいまー」

と言う声とビニール袋がこすれ合う音が聞こえた。お母さんだ。

「おかえりーおつかれー」

「今からご飯作るからちょっと待ってね!今日の晩御飯はみんな大好きハンバーグだからね!」

「わーい!楽しみー!…あ!今日ね!教育実習でね!お兄…」

「ただいまー」

話しているところに重なるように声がした。お父さんにしては時間が早すぎるし…声も違う…誰だろ…

「ただいま。母さん。」

「晴翔!!?どど、どうしたの!?大学辞めたの!?」

「あれ?香奈から聞いてない?俺、教育実習で、香奈の中学に先生として行ってるんだよ!」

「香奈!そういう大事なことは、早く言いなさい!」

「言おうとしたら帰ってきたんだよ…」

「嘘つけよ」

とお兄ちゃんは、笑う。本当のことだもん…と膨れてる間に、人数が増えたとアワアワしているお母さんに買い物を頼まれ、お兄ちゃんと近くのスーパーに向かった。

「しかし、こういうのも、久しぶりだなー」

「当たり前でしょ!五年前に、寮で暮らしてるんだからー!」

「だな!」

と、近所のスーパーで頼まれた物を買い家に帰る途中、お兄ちゃんの携帯に着信が来た。

「あ!もしもし?りーにゃん?うん、今地元の中学。うん、うん、ごめん…うん…ばいばーい♪」

彼女か?彼女なのか?いや、そもそも女なのか?いや、きっと女だろう。こんなに猫なで声なお兄ちゃん初めて見たよ…どうしよう…ってなんの心配してんのよ、私。

「ごめんごめん、どうした?」

「いや?…お兄ちゃん彼女いたんだね。」

「え!いやぁwこれは、いくら、可愛い香奈でも言えないなぁ!」

「…可愛いなんて思ってないなら、言わなくていいから。」

「え?」

「彼女のために早く寮に帰っちゃえ!」

「ちょっと!香奈!」

私は家までお兄ちゃんをおいて走って帰った。なんで怒ったのかも、イライラしたのかもわからない…けど、カッとなってしまった。けど、謝りたいとも思わない。謝るきっかけが出来たら謝ろう。


「はいはい!うちは狭いんだから、2人とも昔みたいに並んで寝なさい!」

お母さん…なんて空気の読めない…

「じゃあ、私先寝る。おやすみ。」

もちろん一緒に寝たくないからだ。


私が寝室に入って数十分たってお兄ちゃんも入ってきた。そして、

「…ごめんな、香奈…」

「…」

「…あいつ、俺の友達の友也ってやつで、正真正銘の男なんだ…」

「え?」

「まだ起きてたんだな。あいつ、声変わりがまだで…勿論付き合ってない。少し香奈を驚かせたかっただけなんだ…」

…なんだ…お兄ちゃん、なにも変わってないじゃん…

「…こっちこそごめん…何も聞かずに、勝手に決めつけて…」

目の奥の方ががすごく熱くなって、声が裏返りそうだったけど、我慢しながら言った。

「本当にごめんな…また明日も早いから寝ような…おやすみ。」

と、頭を撫でてくれた。

「うん…おやすみ。」




あっという間に3週間経ってしまった。お兄ちゃんが帰る時は、みんなわんわん泣いていた。みんなに愛されたお兄ちゃん…まぁ、今日だけは鼻の下伸ばしても…いい日にしてあげる。

「みんなありがとう!本当にいい教育実習になった!みんなのことは絶対に忘れない!また何処かで会おう!そして、俺もこれから教師として頑張るから、みんなも勉強頑張れよ!」

と、言い残して学校を後にした。


また今日から、3人でさみしい時間になってしまうんだな…などと思いながら下校し、家に帰ると、そこには

「お!おかえり!」と、笑顔を見せるお兄ちゃんの姿があった。

「なんで?帰ったんじゃ?」

「明日の朝帰るから、今日はまだいるよ!これからは、大学だいぶ楽になるから、長期休暇の時は帰ってくるな!」

「うん!」

そのあと、ゲームをたくさんした。

両親が帰って来て2人を見た時には、私は兄のお腹の上で仲良く2人で昼寝をしてと言っていた。



最近、恋バナに縁のない夢有です。誰か私に恋のキューピットを分けてください…(泣)そんなことは置いといて…

どうでした?完結作品としては2作品目で、短編作品としては、初めての作品になります!読んでいただきありがとうございます…(嬉泣)アクセス分解を見て、パワーチャージして、小説書いて、またパワーなくなって、見てを繰り返してます(笑)

これからまたいろいろな作品を書くと思いますが、その作品もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 内容が可愛らしくほっこりしつつ読めました [気になる点] 物語があって、それの通りにキャラクターが動いてるような気がしました。これは別に春奈じゃなくても良かったんじゃないかな? 春奈じゃな…
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