イタイ人。
先程から私を付きまとっている少女がいる
顔が恐ろしく整っている美少女だ
まぁ、あの子が乙女ゲームの主人公だったりする
どうしてこの世界には転生者・憑依者たくさんいるのだろうか
今日すでに何回も考えているが答えは出ない
お約束の神のみぞ知る、だ。
私はゲームのリィーノとは違い魔法技術科に入った。
あの知識を利用するにはこの世界には技術がたりない
そのたりない部分を魔法で補うためというのとあの子達から逃げるために、だ。
だからだろうけどあの少女……もといサーラ・トレニアは私をわざわざ探しだして尾行している。
「あの、あなたはリィーノ・フィリアさん?」
「いいえ、違います。私はただのリィーノです」
ゲームの世界では私は貴族だったし、名字があったが現実の私は名字はない
まぁ理由は簡単だ。私に親がいないから
「あっ、すいません。知人に似ていたものですから。」
「そうですか。あの、申し訳ございませんが急いでいるので失礼します」
こういう厄介ごとには逃げるが一番。
とばかりに私は足早にその場を去った。
この時、私は彼女に記憶操作の魔法をかけるべきだったのだと思う
私のクラスに攻略対象がいる時点で細心の注意をするべきなんだから。
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昼休みに私は昼食を食べずに試験をしていた
この学校は基本四年間学べるが、飛び急制度がある
一年間に課題が十~二十個出されテストは年に二回ある
そこで一年間分の課題をクリアすれば進級できる仕組みだ
私は最短の二年で卒業するつもりだ
ちなみに今回の試験は進級にはあまり関係ない属性分けの試験だ
魔法には適性がある。その適性ごとに課題も変わるのだ
午前は、クラスで魔法の基礎をやる
午後からは属性ごとに特化した授業をするのだ
属性ごとに課題は違うとはいえ難易度は変わらない。
重要な試験だが進級にはあまり関係ない試験。だから私は気を抜いていた
まぁぶっちゃけ言うとここでイベントが起きることを忘れてたんだ
このイベントは下手したら顔に一生傷がつくかも知れない
ゲームならシナリオ通りに進むから安全だが、
この世界は実と誠によってシナリオが崩壊した“不確定要素”だらけの世界。
だけど現実の事情をあの子は知らない。
しかも未だにゲームと現実の区別もついていなかったなんて勘弁してくれ。
…………。お馬鹿さん。もとい主人公が来た。
しかも試験中の人のもとへ走っていった
彼は攻略対象だ。イベントを起こす為に行ったんだと思うけどな?
普通、魔法を唱えてる人の方へ走っていくか?周りの人も止めてくれているのに。
恋は盲目とはまさにこの事だろうな
今、私が行っても間に合わないだろう。
「うわっ!」
「きゃーーー!?」
悲鳴と同時に凄い爆発音がした
………。少し考えてみて下さいな。
ゲームの私は蝶よ花よと育てられた貴族。現実の私はスラム育ちの貧乏人。
ここまでゲームと現実の私は違うのだ
攻略対象たちだって性格が全く違ったっておかしくない
………。結果を言えば彼女は無傷だったし負傷者はいなかったけど、うん。
ゲームでは無口だった彼は現実では少し、いやかなり口が悪かった。
彼は常識人だ。恋は盲目な少女とは違う。
かわいい女の子(笑)が必死になって謝っていようがお構い無しに彼は怒ってる
まぁ、当然だ。彼女は貴族。彼は庶民。下手していたら彼女は死んでいた。
どっちが悪者になるかと言ったら彼だ。貴族のほうが立場が上だからな
学校で身分は関係ないが怪我させて親が怒ったら話は別だ。
あることないこと言われ将来就職しにくくなる
まぁ、限度と言うものもある本当は彼女の自業自得だし関わりたくないが
試験が中止になるのは頂けない。
適当に仲裁するしか無いだろう。
全く私を巻き込まずにやってくれないか?このゲームは。
今月テストがあるので更新が遅くなります。すいません。