お金の稼ぎ方2
会議というのは開くことに意義がある。
なぜならば参加したものは決定されたことに対して責任が生じるからだ。
従って参加者はできる限り責任の分散を図り、いかに他のものに責任を擦り付けるかに苦心するのだ。
「しかし、なぜ金が足りなくなるのだ?」
俺はマティルダに真っ当な質問をする。
「うむ...」
マティルダが少し考えながら帳簿に目を通す。
「まず台所経費が増えているな、以前の5倍ぐらいだ。
食材費がほとんどだな。」
なぜかマティルダの上で、おたまが浮いている。
マティルダがちらっと上を見て、
「ま、まあ、これは必要経費だな。」
皆を見ると目をそらし、うなずいている。
俺もそこは雰囲気を読んでさらりと流す。
「そ、そうか、次は何が増えている?」
皆がマティルダの手元の帳簿を覗き込む。
「そうだな...事務所の維持費がかなりかさんでいるな。」
「どれどれ?」
「おい、アルフレートよ、この材料費が馬鹿高いな何を直しているんだ?」
鍛冶師である小頭のアルフレートを見る、
「ん、どれどれ...ああ、これは風呂場の修理材料だな。」
「え、風呂場の修理て何故だ?」
俺は思わず上を見ると猫と目が合った、
じっと見つめられていると何故か風呂場の修理は当然しなければならないよなと思う。
「そうか、そういうこともあるか。」
皆もうんうんと頷いている。
あとで思い返すと何故に納得したのか我ながら首を捻ってしまった。
ユリアンが帳簿を見ながら不思議そうに言う。
「なぁマティルダ、この近隣対策代とは何だよ?」
「これは隣の駄菓子屋のご主人への迷惑料だ。」
「迷惑料?」 ユリアンが問い返している。
マティルダが何故か俺の方を見ている。
「ほれ、これはガストンが暇になるといつも隣で遊んでいるだろう、
そのお礼だ。」
俺は、はぁぁと思わず、
「何だそれは? おかしいだろう?」
「おかしくないだろう、隣のご主人は魔法魔術師協会顧問を務める大魔女だぞ、
その手を煩わせているのだから謝礼がいるのは当たり前だぞ!」
「あの婆さん、謝礼なんて一言も言っていないぞ!」
「ガストン、何を言っている魔法魔術師協会から応対料の請求が来ているぞ。」
「え、協会からきているのか?」
「うむ、ちゃんと日ごとの時間が書かれた請求書が来ていたぞ、隣のご主人の時給は高いな。 ガストン、少し自重しろ、時間管理は協会が魔術で行っているらしいぞ。」
うーーーー、なんと油断も隙もない世の中だ!
傭兵の上前をいつの間にか....
ユリアンがじっと俺を見ている、針のむしろだな胃が痛い。
なんやかにゃで会議は続く。