~ふたりだけのクリスマス~9
続きです。
「だけどね、やっぱりわたし我慢できないよ。アキラのこと今でも好き」
床から俺の顔へと視線が移ってきた。
湊は目のはしに、大きな涙を浮かべている。
立ち上がり、二歩だけ、俺に近づいた。
手を伸ばせば腕の中に納まる距離で、見上げるように。
「兄妹だけど・・・・・・俺だって湊のことをそう思ってる」
何度も喉まで出掛かっては詰まっていた言葉が、やっと言えた。
急に顔が熱くなった気がした。
「じゃなきゃ、無茶苦茶なお前の我がまま聞いていられるか」
「お兄ちゃん・・・・・・」
「その呼び方、久しぶりで照れるな」
もうずっと、湊にお兄ちゃんなんて呼ばれたことが無かったな。
だからなのか、今更そう言われるとすごく恥ずかしい。
「お兄ちゃんって呼ぶのだめ?」
眉をさげ、湊は困りながらすねる顔をする。
「いい・・・・・・けど」
唇が、すごく近くにあるのに気がついて俺はうろたえてしまった。
わざと狙っているんじゃないだろうか。
「じゃあお兄ちゃん。こう呼ぶとイケナイ関係みたいでいいね」
いつもなら目じりのきつい目も、今はすごくかわいらしい。
「みたい・・・じゃないけどな」
細い湊の指が、すっと俺の手に伸びてきた。
俺は早く触れたいのを我慢して、恐る恐る湊の指に触った。
だって、俺の手が震えてるなんて分かったら恥ずかしいだろう。




