22話 恐怖! 死神の騎士!
はじめまして、大森林聡史です。
魔物に追われる王女と、彼女を守ると決めた剣士の物語です。
よければお付き合いください。
「フフフフ⋯焼け死ね!!」
死神の騎士が不敵に笑い、今や周囲は火の海で脱出路は見当たらない。
「姫様⋯!」
ミネルバが、クリスを抱きしめる。
ミネルバもクリスも冷や汗が滴っている。
「クリス、光の盾を貸してくれ」
「え⋯? ええ⋯」
「光の盾よ⋯その真の力を示せ!!」
グレイが、光の盾をかざすと、激しい輝きを放った。
「ウ、ウオオオオッ!?」
死神の騎士は、驚きふためき、火の勢いが弱まった。
「アリス、今だ。転移魔法を」
「わ、わかったわ……! 『テレポート・ゲート』……!」
アリスの杖先に渦巻く魔法陣が、炎を掻き分けて展開される。
ミネルバが、グレイの袖を掴み、叫ぶ。
「グレイ……! 盾を離すな……!」
クリスがグレイの背中に手を当て、魔力を注ぎ込む。
「光よ……! 最後まで……!」
「逃がすか!!」
転移の光が包み込む直前、死神の騎士が斧を投げつけ、グレイの肩をかすめる。
「──っ!」
次の瞬間、四人は炎上する森から村の広場に転移し、崩れ落ちる。
「……はぁ……はぁ……みんな……?」
アリスが疲労で意識を失い、ミネルバが必死に妹を抱きしめる。
「……グレイ……その傷……!」
クリスが、グレイの肩から流れる血を癒そうと回復魔法を唱えた。
「……ありがとう⋯⋯大丈夫だ……」
グレイは、死神の騎士に投げたドラコンスレイヤーが、転移して村に落ちているのを拾った。
村人たちが駆け寄り、四人を介抱し始める。
村の治療所で、アリスがぐったりとベッドに横たわる。
「……ごめんなさい、私……また足手まといに……」
ミネルバが妹の額を冷やしながら、自身も蒼白な顔でうなだれる。
「……くそ……こんな時に……」
クリスが二人に回復魔法をかけ続け、疲労でふらつく。
「グレイ……少し休憩が必要ね……」
グレイが窓辺に立ち、焼け焦げた森を見つめる、肩の傷はもう癒えている。
「……死神の騎士か。次は……確実に」
夕焼けが四人の傷心を染め、明日への決意が静かに固まる。
そのまま、夜になり、村に魔物達の咆哮が響く、死神の騎士が魔の森の魔物達を引き連れて、襲ってきた。
アリスとミネルバは、消耗しきっていて、クリスも疲労の色が濃い。
「⋯」
その様子を見た、グレイは、静かに立ち上がった。
村の柵が軋み、魔物たちの足音が迫る中、グレイは、ドラゴンスレイヤーを静かに装着した。
「……お前たちは、ここで休んでいろ」
ミネルバが無理やり立ち上がろうとするが、膝から崩れ落ちる。
「……ぐ……グレイ……!」
クリスがグレイの袖を掴み、必死に首を振る。
「待って……! 一人でなんて……!」
アリスが涙で視界を曇らせながら、杖を差し出す。
「せめて……私の魔力を……!」
グレイが優しく三人の頭を撫で、決然と扉に向かう。
「……大丈夫だ。俺は……『グレイ・ルナガード』だからな」
夜風に翻るマントの下、孤独な戦いが始まろうとする。
「大丈夫だ⋯作戦がある」
グレイは呟いた。
「ど、どんな作戦が⋯?」
クリスが訪ねた。
「それは秘密だ。敵を騙すにはまず味方からってな(⋯本当は何もないが)」
グレイは笑った。
「待って⋯エクスカリバーと光の盾を持っていって⋯」
クリスが、差し出した。
グレイは、エクスカリバーと光の盾を受け取り、軽くふりかざす。
「……ありがとう。これで万全だ」
ミネルバがベッドから必死に手を伸ばす。
「……馬鹿……! 無茶は……!」
アリスが震える声で叫ぶ。
「グレイさん……! 約束……生きて……!」
グレイが静かに扉を開け、月光に照らされながら振り返る。
「ああ。必ず……三人とも、笑顔で待っていろ」
次の瞬間、グレイの姿は闇に消え、村の防衛戦が始まる。
クリスが両手を握りしめ、祈るように目を閉じる。
「……グレイ……」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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