第11話 再会
『流石の僕も深手を負った状態で四人相手するのは厳しいってもんだ。今回は引き分けと言うことで大人しく退散するしよう』
どこからか玄峯の声が聞こえてきた。この分だと当分の間、幽現界には現れないだろう。大鎌を手元から消した豊命は、気に食わないといったふうに息を吐く。
「こんだけ荒らしといて何が大人しくよ。全く……最後まで嫌なやつだったわね」
豊命の話を耳にして周りを見渡せば、建物はそのほとんどが倒壊及び全壊。アスファルトの地面も割れ、窓ガラスの破片が飛び散っている。
(これは後が大変そうだ……)
苦笑しながら照真は、手に持っていた剣を消す。その様子を眺めていた豊命は一息ついた後、こちらに顔を向けた。
「さてと、久しぶりね照真。あんたが無事で、元気そうで何よりよ」
屈託のない笑みを浮かべた豊命は明るい声で言った。すると、その笑顔を映した照真の目が、一瞬ではあるがハッと見開かれる。だが、すぐに微笑み返して口を開く。
「えぇ。あの時も今回も助けてくれてありがとうございました。あんたに助けられたおかげで、あの時生きろって言ってくれたおかげでここまでやってこれた。本当に感謝してます」
照真はそう言うと、最後に頭を下げた。
激戦の後とはいえ、ずっと会いたかったことには変わりなく、九年越しにこうして面と向かってお礼を言うことができた。
なんだかすっきりしたような報われたようなそんな気持ちになる。
「人を助けるのは神として当然のこと。けど、それはそれとしてもっと褒めてくれてもいいのよ?」
と、口の端を上げてドヤ顔をする豊命。その表情を懐かしいと思うと同時にふっと笑いが込み上げてくる。
「本当、そういうお調子者なところは変わってないっすね」
「んー?」
ポロッと口にした照真に、豊命は間延びしたように声を上げて笑顔で詰め寄ってくる。だが、よく見るとその目は笑っていない。
「あー、ほら短気で怒りっぽいところも」
「よし、こっち来なさい。有難い女神さまからのご加護を与えてあげるわ」
「えぇ……それは遠慮しときま――って、痛い痛い!」
豊命から締め技を喰らい、思わず首に回された腕を叩く。まるで加減を考えていない腕力に涙目になりながら抗議する照真。
「豊命とこんだけ面と向かって言い合えるのは日本中どこを探しても照真だけね」
「あははっ、確かに」
豊命と照真の様子を傍から見ていた薙華と斎綾は口々にそう話す。
「お二人とも笑ってないで助けてくださいよぉ! 首! 首絞まってるから!」
薙華と斎綾に助けを求めている間にも、ぐぐっと力を込められ、照真は豊命の腕を両手で掴んで、なんとか首が絞まるのを阻止しようとする。
と、様子を見ていた薙華が仕方ないといったように眉を下げた。
「はいはい、二人ともそこまで。まだ後処理も残ってるんだからじゃれ合わないの」
「だからじゃれ合ってない!」
薙華がそう言った瞬間、照真と豊命は口を揃えて否定する。
ようやく豊命の腕から解放された照真は、荒廃した街を直すために豊命たちと一緒に後処理へ向かった。




