第2話「消えていく初心者たち」
一作目は、なろうとカクヨムで同時に公開した。
結果はこうだ。
──1ヶ月で、なろう500PV。カクヨム100PV。
……多いのか? 少ないのか?
正直、今でもわからない。
ただ、今になってはっきりと言えることがある。
創作って、結局こういうことなんだと思う。
書いていて、楽しいか?
この一言に尽きる。
それを忘れていた。
あの時の俺は、PVに、評価に、ずっと心を奪われていた。
⸻
実は、一作目の時。
初めて「X(旧Twitter)」も開設してみた。
創作専用のアカウントをつくって、宣伝ツイートをして。
知らない誰かがリツイートしてくれて、本当に嬉しかった。
なんてあたたかい界隈なんだろう。
……そう思った。
でも、同時に気づいたことがある。
自分と、数日違いで投稿を始めた“初心者”の存在。
彼もまたXを始めていて、作品も似た時期に投稿していた。
投稿するたび通知が流れて、RTもいいねも付いて、ランキング報告までしていた。
──眩しかった。
自分よりずっと、光って見えた。
悔しかった。
なのに、読み返してみると……
ああ、同じ初心者なのに。俺とは全然違うんだな。
そんなふうに、ちょっと卑屈になっていた。
⸻
そして──第1話でも書いた、あの「コメント」が来る。
主人公、暗すぎませんか?
その頃からだった。
自分が書くことが、どんどん嫌いになっていった。
読まれない = 無価値。
そんな等式が、心の中で勝手に完成していた。
PVを稼ぐためなら、何でもやった。
「1話が重いからだ」と思って、
本当は大事だった“序盤の葛藤”を全部削った。
伏線も、構成も、全部軽くして──
“読みやすさ”だけを追い求めた。
でも、結果は変わらなかった。
書いても、PVは増えない。
書いても、評価はつかない。
そして気づいたら──
俺の物語は、まったく別物になっていた。
初めて生み出した、我が子みたいな作品だったのに。
⸻
そんな時だった。
あの“同期の初心者”が、突然Xから消えた。
アカウントも、投稿も、何もかも無くなっていた。
「サイトで検索しても、ページが存在しません」
でも……なんとなく、わかった気がした。
これだけ頑張って、
これだけ自分を削って、
それでも誰にも届かないなら。
何のために、書いてるんだろう。
自分のノートに書いて、自分だけで読んでればいいんじゃないか?
そんな思いが、頭を離れなかった。
……そして俺も。
Xを削除して、
なろうを退会して、
カクヨムのアカウントを消して、
Web小説界隈から、姿を消した。
作者の連載作品紹介
『才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで』
(作者:pyoco)
https://ncode.syosetu.com/n4091kh/
無職、スキルなし、人生詰みかけ──だった男が手に入れたのは、悪人から“才能”を奪うチートスキル。
詐欺師の話術、ヤクザの威圧、裏社会の技術まで、自分のものにできる最強スキルで成り上がる……はずが、なぜかヒロインたちが全員やばい。
気づけば会社は修羅場、日常は爆発、毎日が“ヒロイン対応”業務!?
社会の裏で成り上がる系 × ヒロイン全員トラブルメーカー
チート × ギャグ × 地獄の恋愛バトル(?)
コメント返信はヒロイン本人が行う“没入型スタイル”