表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話「最初の読者」

2025年3月15日。

俺はその日、小説を書き始めた。


──というか、“小説を初めて外に出した”日だった。

それまで書いてきたのは、誰にも見せないノートの文章だけ。

学校にも職場にも創作仲間はいなくて、自分だけの世界で書いていた。


だから、初めてWeb小説サイトにアップロードした時は手が震えてた。

あの「投稿する」ボタンを押すまで、マウスに指が何度も止まった。

押してからも、1分ごとにPVを見に行った。


1。


2。


3。


──たった1ずつ増える数字に、何度も飛び跳ねて喜んだ。

「読んでくれた人がいる」

「この世界に、誰かが来てくれた」


そう思えただけで、胸がいっぱいだった。


でも──その浮かれた気持ちは、すぐに折られる。

最初に届いたコメントは、こうだった。


主人公、暗すぎませんか?


……それだけの短い一文だった。

それでも、俺は真っ青になった。


あ、やばい。

このままじゃこの人、読まなくなる。

この人が言うなら、きっと他の人もそう思ってる。


そんな焦りが、心を支配した。


“今の方向性じゃダメだ”

“明るくしないと”

“この人の言う通りに直さないと”


そう思って、書く内容を変え始めた。

展開を軽くした。主人公の性格も変えた。

キャラ同士の会話も、コメディ寄りに修正していった。


でも……書けなくなった。


厳密に言えば、「書こうとしても、心が動かなくなった」。


自分の物語なのに、自分がいない。

自分が一番好きだったキャラが、どんどん別人になっていく。


ページを開くたびに、胸がモヤモヤして、指が止まった。

『この先、どうしたい?』って問いに、自分で答えられなかった。


そのまま、少しずつ更新間隔が空いて──

ある日、ふと気づいた。


あれ? サイトを開いてない。

文章を考えてない。

……俺、もう辞めてるじゃん。


たった一言のコメントで、全部が壊れた。

いや──

コメントのせいじゃない。

書く理由を見失った自分のせいだ。


……そのことを、ちゃんと認めようと思った。


この文章は、誰かのためじゃない。

自分のために書いている。


心が折れた話を、忘れないために。

自分の気持ちを、もう一度言葉にするために。


一度、逃げた俺が。

また、書いてみようとしてる。


その記録を、ここに残していく。


作者の連載作品紹介


『才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで』

(作者:pyoco)

https://ncode.syosetu.com/n4091kh/


無職、スキルなし、人生詰みかけ──だった男が手に入れたのは、悪人から“才能”を奪うチートスキル。

詐欺師の話術、ヤクザの威圧、裏社会の技術まで、自分のものにできる最強スキルで成り上がる……はずが、なぜかヒロインたちが全員やばい。

気づけば会社は修羅場、日常は爆発、毎日が“ヒロイン対応”業務!?


社会の裏で成り上がる系 × ヒロイン全員トラブルメーカー

チート × ギャグ × 地獄の恋愛バトル(?)

コメント返信はヒロイン本人が行う“没入型スタイル”

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ