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渡り鳥の魔法使い  作者: 迷子
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プロローグ

「今年もダメだった」

 そう思える程度には酷い年月を過ごしてきた。

 多くの人が行き交う街を眺めて、自分とは住んでいる世界が違うのだろうと時々思う。


 変わってみようとは何度も考え、そのたびに諦める。

 趣味ならどうか? 手につかないのだ

 極めることばかり固執し楽しいという気持ちにすらならない。

 いつの間にか楽しむという目的さえ忘れている。


 淡々と作業していると我に返り、仕事をしているときの自分が囁く。

「続けてどうするの?」

 ――そう思ってしまうと手がとまる。


 クリスマスの名残を惜しみつつ、新しい年に向けて過ごす人々はどこかキラキラとしている。

 買い物袋を携えている家族連れ、手を繋いでいるカップル、忙しなく歩き去るサラリーマン、荷物を配達している業者、宝くじを購入している人。

 皆、不思議と輝いて見えた。


 同時に、いまの自分を比べてしまう。

 服を見下ろすと、少しホコリっぽい。

 何度か職は変われど、毎年のこの時期は働いている。

 今着ている服をすこし払い、自分だけの世界に戻ろうとすると。


 ――鳥の鳴き声が聞こえる。


 不審に思い、周りを見渡しても鳥はいない。

 建物の中だからいるハズはないのだ、仕事を再開する。


 今年は珍しく日付が変わる前に帰宅できる運びになった。

「お疲れさま、よいお年を」

 事務的な別れに軽く返事を返し、帰路につく。


 寄り道をし、いつものセットを携えて帰り着く。

 カシュっと軽快な音を立て飲み始めると、疲れがどこかへ飛ぶ感覚になる。

 誰もがそう思うはずだ、これだけは辞められない。


 ふと、時計を見ると二十三時五十分。

 程よい眠気に誘われ数本目になる缶を飲み下す。

「今年もダメだった」

 昼間の光景を思い出し、暗い気持ちになる。

 後悔だけが頭を埋め尽くし、アルコールの力に身を任せて意識を手放す。


 どうして自分はこうなってしまったのか?

 いっそすべてを投げ出し、どこか遠くへ行けたらいいのにと呟いてしまう。


 ――また、鳥の鳴き声が聞こえた。

今まで読む側の人間がきまぐれでキーボードを叩いています。

書き物は初めてなのでちょっと恥ずかしいですが対戦よろしくお願いします。


2022/01/01

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