8/12
嬉しくて
でも私が地べたに座り込み、絶望して泣き
崩れてると、彼の明るい声が私の耳に飛び
込んで来たの。
「絵子! やっぱりお前、俺のこと好きな
んだろ?」
ハッとして顔を上げると、成樹君が私を見
て笑ってた。
涙で視界がボヤけてた。
私は何度も手の甲で目を擦ったの。
成樹君は悪戯そうな笑顔を浮かべて、
私を見てた。
騙された!って一瞬思ったけど、私は
成樹君が生きてることの方が嬉しくて、
また泣いたの。
今度は、成樹君の開襟シャツの胸のとこ
ろに顔を埋めてワーワー泣いた。
成樹君は私の背中を優しく撫でてく
れてた。
救急車は近所の人が呼んでくれたみたい。
サイレンの音がだんだん近づいて来る。




