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ミナモト  作者: ももこ
1/5

歌手を夢見る夢子

「歌手になりたい」

私がそう言った時、


「お前になれるわけがない!」

とあんたは、そう言ったよな?


私だって、なれるなんて思っていない。

だけど、夢見ることは、自由だよな?


夢見ることすらも、否定するのかよ。


自由の権利を奪うのかよ。


くそ。

今に見てろ。


絶対、歌手になってやる!!



「南あさみって、すごいよね。1曲1曲違った感じがして。曲調も毎回違うし、歌声も、可愛かったり、綺麗だったり、カッコ良かったり。いろんな顔を持ってるというか…」


みほが私に話しかける。

そうか…南あさみって、すごいのか。聞いていて飽きない感じか。なるほど。


「ねぇ!あゆみ、私の話、聞いてる?」

はっ、と我にかえる。


「ごめん、ごめん!そうだよね、南あさみって、すごいよね」


私は、深く考え込む傾向にある。

しかも、誰かと会話をしている時に。

自分の世界観を持っているのか。

それとも、ただ単に人の話を聞いていないだけか。


よし、私は、南あさみみたいな歌手になろう。

人のことをあまり褒めないみほが褒めるほどの、実力者。

よし、家に帰って、南あさみについて調べよう。

あの透き通った白い肌になれる方法も…


「ねぇ!!あゆみ、今の私の話、聞いてた?」

はっ、と我にかえる。


「あぁ…ごめん。聞いてなかった…なんだっけ?」

「もういいよ!もう!あゆみはいつも、そうやって何か考え込むんだから」


空想したり、思考に耽ったりすることは、悪いことではないと思う。

ただ、ここまで人の話を聞けないのは、私の悪いところだ。

人間には、いいところも悪いところもある。

多分、人はみな、いいところと悪いところの割合は、五分五分だ。

私にも、いいところと悪いところが、五分五分であるはずだ。

悪いところは、サッと思い浮かぶが、いいところは…


「ねぇ!!!あゆみ!!!いい加減、怒るよ!?」

はっ、と我にかえる。

「ええっ?どうしたの?」

「どうしたの?じゃないよ!!また私の話聞いてなかったでしょ?もう、いい加減にしてよ!!」


よし、家に帰ってから、いろいろと思考に耽ろう。空想もいっぱいしよう。今は、みほとの会話が大切だ。


「お腹すいたね」

私がそう発すると、みほが苦笑いしながら言った。

「小学生かっ!もっと大人な発言できないの?(笑)」

私はカッとした。私が大人でない?んなわけ無いでしょ!みほだって、子供っぽいし。あんたに言われたくない!!


私は黙り込んだ。


「もしかして、怒った?」

みほが言った。

なんだか、みほには、心の中を見透かされるような気がすることが多々ある。正直、怖い。

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