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FileⅣ.その正体

鬼瓦「ふぅ・・・これでいい具合だろう。」


女性の治療を終える鬼瓦

傷を負っていた額には包帯をぐるぐるに巻き付けて

傷が深い場所は縫ったりと治療を施した。



椅子に腰かけて酒を飲んで休憩する鬼瓦


鬼瓦「あのバカにきつく当たってしまったな。

まぁ・・・そのうち戻ってくるか。」


グイっと酒を飲み干して

ドンっ!と机に強くコップを置いたその時。


ゴトゴトゴトと小刻みに全体が揺れる


鬼瓦「ん!?地震か!?」


鬼瓦は揺れが収まると、すぐに外へと飛び出す


鬼瓦「砂煙が上がってる・・・何か崩れたのか?」


鬼瓦が砂煙が舞う場所に向かおうとすると

急に動かした足を止める。

鞘に入っている剣の柄に手を置く。


鬼瓦「・・・人影とはまた雰囲気が違っているな。」


「・・・向こうに行くのは許可できかねますので

穏便にすませたいのであれば、建物内に戻っていただけますかね?」


丁重に鬼瓦へとお願いをするフードを深くかぶった者


鬼瓦はクルっと回ってその者と向き合わせになる。


鬼瓦「・・・この世界に来て、3人目だな

人っ子に合うのは、先ずは自己紹介をしていただこうか。」


「今一度言います、この場を穏便に収拾したいのであれば、静かに民家へとお戻りください。」


鬼瓦「断ればどうなるってんだ?」


「残念ですが・・・武力行使は覚悟していただきたい。」


ニコっと口元を微笑みながら鬼瓦に答える


鬼瓦「若造が・・・いい度胸ではないか。

この街は我々の街だ、好き勝手はさせんぞ。」


柄を強く握り、睨みつけて威嚇する鬼瓦


「・・・今一度言います、これは命令だ。

今すぐ民家に戻りなさい。」


鬼瓦「火剣!!」


剣を抜く


「ハァ・・・残念ですね。」


男の背中には黒い霧のようなものが集まり

右側に手のように見える翼を出現させた。



鬼瓦「人影か!?」


「この姿を見せてしまった以上は、葬らねばなりませんねぇ。」


腕を動かすように翼がグイグイと動く


鬼瓦「(しかし・・・こいつは会話もできるようだが。)」


「最終通告です、戻りなさい。」


鬼瓦「・・・悪いが俺は教官でもあってね。

逃げるわけにはいかねぇのさぁ。」


「Ⅰ式しか操れぬお前には私は負けないですよ?」


鬼瓦「どこまで保てるかね、その威勢!!!」


一気に走り出す鬼瓦。

間合いまで強めると、上斬を繰り出す。


翼手で地面を叩きつけて勢いよく飛び上がる


─ブンッ!!!


鬼瓦「チッ!」


惜しくも空を斬る鬼瓦の一撃。


一気に翼手を振り下ろしながら落下する。


─ドゴォォオオッ!!!


凄まじい音と同時に地面をへこませる。


鬼瓦「これならどうだ!!!」


右に逸れて軌道を回避した鬼瓦は半回転斬りを繰り出す。


命中する軌道だったが翼手に当たる。

─ガァアンッ!!!


貫くことはなく受け止められてしまう。


鬼瓦「(硬い!?)」


「フフフ・・・残念ですねぇ。」


素早い3連撃の打撃を繰り出した。

一発目はアッパー

二発目は腹部

三発目は右横腹にフック


3連打を全て受けた鬼瓦は3歩ほど下がり怯んでしまう


鬼瓦「ッ─!!!」


追撃で翼手を薙ぎ払い

叩き飛ばした。


─ドォォオンッ!!!


鬼瓦「ガッ!!!」


「んー・・・実に弱いですねぇ」



鬼瓦「・・・(Ⅰ式ってなんだ。)」


「時間の余裕もありませんし、さっさと終わらせてしまいましょうかぁ。」


一歩踏み出した所で、男の左手首が刎ね飛んでいく。


「─!?」


足で地面を滑らせながら姿を見せたのは額に包帯を巻いた女性


「・・・先ほどの続きを楽しもうではないか。」


「アマァ・・・まだ生きていたのか。」


「・・・不意を突かれなければ私は負けない。」


「よく言ってくれるじゃない。」


切れた左手首から黒い霧が集中し、地面に転がった手に繋がると

引き寄せられ、切断した部分が跡形もなく再生した



「うんうん・・・痛みはあるものの、動かすには十分すぎるね」


鬼瓦「おい、女!まだ寝てろ!!」


「助けてくれたのはありがたいけど、こいつは今のあんたじゃ倒せるような相手じゃない。」


「そうそう、教えてやりなさい。

沙耶さん♪」


沙耶「・・・気安く名前を呼ばないでくれる?」

「取り合えず、今はこいつを殺すことだけを考えて!」


鬼瓦「・・・(知り合いのようだが・・・対立してる。)」


「裏切りは処刑物ですけど、王があなたを許すと言ってくれているのですよ?」


沙耶「戻るつもりはない、そんな下衆集団。」


「じゃぁ死んでもらおうかなっ!」


消えるように移動する男。

沙耶もそのスピードについていく。


二人の攻撃が交じり合う。


鬼瓦「(ここはひとまず女に任して、砂煙が立ち上がってた場所に行こう!)」


鬼瓦はそのすきに、砂煙が立っていた場所に走っていく。


─ビュンッ!!!


顔にめがけられた翼手の薙ぎ払いを

上半身を後ろに倒して回避するとバク転する要領で両足を振り上げる


男は飛び下がって距離を取る


「フハハハハッ!

動きはさすがですねぇ、王が認めるだけのことはある。」


沙耶「・・・あっそう。」


沙耶の右手側の手首から手指にかけて黒く変色する


「おぉぉおっ!本気ですかぁ!」


沙耶の黒くなった指は鋭く尖って伸びていく。


沙耶「黒手爪。」


「おもしろーい♪」


沙耶はとびかかり、腕を振り下ろす。

ニコっと笑いながら軽々と回避すると翼手を振り上げてカウンターを行使する


巨大な翼手を押し蹴って

後ろへ飛び下がっていく。


沙耶「・・・!」


着地した沙耶の背後を取る男。


攻撃が命中する寸前で動き留めて、屋根に飛び上がる


沙耶「手を抜いたつもりか!!!」


「王からの集合のようでね♪

このお遊戯の続きは次回に取っておきましょう」


沙耶「・・・!」


「ですが忘れないでくださいよ。

その気になれば貴女を殺せたわけですから♪」


フードを被りサっと一瞬にして姿を消した。


鬼瓦「取り合えず、其処に入ってくれ。」


淳をおぶって姿を見せる鬼瓦。


沙耶「・・・分かった。」


3人は治療していた民家の中に入り

淳を横にさせて、治療を行った


沙耶「・・・何が聞きたいわけ?」


鬼瓦「あいつは何者なのか、そしてお前はなぜ奴らに狙われている?」


沙耶「それを知ってどうするつもり?」

鬼瓦「・・・状況によれば、お前をこの街から出さなければならない。」


沙耶「安心してよ、今日中には出ていくつもりだから。」



鬼瓦は治療を終えると、立ち上がり

台所から飲み物を取り出し、コップを2個用意する。


沙耶にも一杯注ぎ、提供する


沙耶「・・・。」


鬼瓦「俺は、見捨てるようなことはしたくはないんだ

解決できる策があるのなら、それを取りたいがこの街は私の大事な町なんだ。」


沙耶「・・・そう。」


鬼瓦は椅子に腰かけてじっと沙耶を見つめる


鬼瓦「正直にすべてを話してもらおう。」


沙耶「・・・出ていくから。」


淳「だめっ・・・だ。」

「何故、狙われていたのか答えてくれ!」


淳は起き上がり、話に割り込む


沙耶「・・・」

鬼瓦「お前!一体何があった!」


淳「警備兵だった同期の奴が、記憶すらなくなっていたっていうか

別人に変わっていて、話す余地もなかった。」


鬼瓦「何!?」


淳「あいつらは何者なのかを教えてくれ!

俺は同僚をこの手で殺めたんだ、知る権利はあるだろ。」


鬼瓦「お前・・・もしかして!」


淳「はい、開花出来ました」

「取り合えず、話してほしい正直に。」


沙耶「わかったわよ・・・」


淳と鬼瓦の説得に漸く応じた沙耶。

淳も空いた席に座り、沙耶の言葉を聞くことにした。

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