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FileⅡ.誰もいない街へ

淳はハッ!と目を覚まして

飛び起きる。


部屋の時計は止まっていたようだ。


淳「そろそろ・・・」


淳は街に人が居る!ということを信じて

外に飛び出て街を巡回する。


警備兵の勤務で身に染みた

辺りを自然と見渡しながら歩く。


淳「ここの家で飼ってる犬めちゃくちゃでけぇけど

凄い人懐っこいんだよなぁ~。」


淳は巡回しながらも見覚えのある家を見ては

其処の家主やペットを思い浮かべひとりごとをこぼしながら歩く


淳「・・・まてよ?

そういえば失踪事件とこの世界は何かしら関係しているのか?」


淳はピタッと歩いていた足を止める。


淳「俺が刺されて気が付けばこの世界にいる・・・

なら元の世界にいた俺はどうなってるんだ?今頃燃やされてるのか?」


....ザッ!


遠くから足を踏みしめる音が鳴る。


淳「んー・・・待てよ。

なら・・・凛子は生きてるとして失踪した人たちはもしかすればこの裏側の世界に!」


....ザッ!!!


淳「なら!鬼瓦教官ももしや!」


....ザザザッ!!!


淳の背を狙って走り出す。


淳も違和感を覚えて振り返る。


淳「ッ!!!」


人影が右手を刃のように鋭く尖らせて

急接近してきたのに、びっくりしたのか足を躓いてお尻を地面につかせた。


─ブォンッ!!!


飛び斬りの攻撃を奇跡的に間一髪で回避する。


淳「あっぶねぇえ!

つーか・・・俺・・・能力持ってねえし!」


淳は地面についた手を握りしめたとき

砂が手のひらに噛む。


咄嗟に投げつけて、立ち上がり走り出す。


動じず、じっと久保の逃げる背中をジーと目を赤く光らせて見つめる人影は

人間とは思えないジャンプ力で 屋根に飛び上がる


屋根から屋根へと飛び移りながら後を追いかける。


淳は息が切れたと同時に後ろを確認すると

人影の姿は無く 安心の意を込めたため息を吐きながら地面に座り込む


淳「(助かったぁ・・・つーか、なんなんだあの奇妙な生き物

人の形ではあるけど、腕の形を変形させた・・・その前には手のひらから砲弾を放つような奴も

そういえばあのチャノさんって人〝砲弾型〟って言ってた・・・ならあれは何型??)」


...ダンッ!


考えているうちに、良い足音ではない音を聞き取る淳は

恐る恐る上を見上げると、建物の屋根から淳を見つめ見下ろす人影


淳「だめだ・・・もう立てねぇんだ。」


淳は小刻みに足を震わせていた。

自ら断てないとあきらめて目を瞑り死を決心する。


人影は飛び降りながら変形させて鋭く尖らせた右手を落下すると同時に振り下ろす。


─ガァンッ!!!


痛みを感じない。


淳は恐る恐る目を開けると、前に誰かが立ち

振り下ろされた下斬を 武器を突き上げて受け止める背中。


「警備兵が、何たる様を見せてやがる!!

この程度で腰を抜かすか!!!!」


男は前蹴りで2歩引き下がった人影の首に剣先を突き刺しで消滅させた。


淳「そ・・・その声は!」


坊主頭で強面白い髭が特徴の 鬼瓦だった。


鬼瓦「・・・定期的にここにきては、誰もいないのを確認しているのだが

教え子のお前が居たとはのぉ。」


淳「てか!鬼瓦教官!

貴方が失踪事件の犯人だと疑われているみたいですけど!」


鬼瓦「この世界じゃぁそんなもんはどうでもいいんだ。」

「というよりもなんだ!あの情けない姿は!!!!」


鬼瓦は再会を祝う以前に淳の諦めた姿に腹を立たせて

大声で怒鳴りつける


淳「だ・・・だって!」


鬼瓦「警備兵ともあるお前が、簡単に死を覚悟するな!」

「それで、お前はいつここに来た。」


淳「あっ・・・んー何時なんだろ

ここにきてから時間の感覚が狂っていて」


鬼瓦「その様子だと、着て間もないようだな。

所で貴様、刀はどうした?」


鞘だけの淳を見て真っ先に突っ込む鬼瓦


淳は記憶している範囲で、ここに来た経緯をすべて話した


鬼瓦「ここで喋るのもなんだ

取り合えず俺が行きつけの飲み屋があるんだ、其処で腰を下ろすぞ。」


淳「は・・・はい」


淳は鬼瓦の肩を借りて、支えられながら

飲み屋の店の中に入る。


明かりはついているものの、誰もいない。

お酒も全てそのまま残っていた



コップに酒を注ぎ,二人は腰を下ろす


淳「ここって一体・・・?」


鬼瓦「うむ、色々巡回してみた結果だが

元居た場所とは同じ風景だ、だが人はいない。」


淳「それは、もうわかっているんですけど」


鬼瓦「失踪事件と関係があるのか

記憶している範囲で失踪した被害者を探しては見たものの未だ一人も出会っていない。」


淳「僕は鬼瓦さんと出会ってるんですけど。」


ゴクゴクと豪快にコップに入った酒を一気に飲み干し

もう一杯注ぎ込む


鬼瓦「この世界には奇妙な生き物がいる

さっきの人影と呼ばれている化け物や、変わった力を行使する者。」


淳「Spell・・・ってやつですよね?」

「鬼瓦教官はそれを使えたりするんですか?」


鬼瓦「有無・・・この剣の刃を燃やすことができる。」


淳「・・・?」


しっくりこない淳は首を傾げる。

鬼瓦は高笑いしながら席を立ち、鞘から剣を抜き取る


鬼瓦「火剣!!!!」


強く叫ぶと鬼瓦が言ったように

剣の刃は赤く燃える火を纏った。


それを見せると剣を鞘に終い、再び席に座る


淳「それって、どうやって出せたんですか?」


鬼瓦「俺も来たばかりの時は、この剣で奴らと戦ったわけだが

不思議と刺しても死ぬどころか、傷一つつけれん有様だ

吹き飛ばされて、体全身が痛くてな・・・その時に無力な自分を悔やんだ」


淳「(・・・俺とは真逆だ)」


鬼瓦「こんな奇妙な生き物一体も殺せん自分が許せなくてな。

その時に脳に直接囁かれるような感覚がしてな」


淳「どんな!?」


鬼瓦「声は聞こえたわけじゃないんだ。

ふと文字がすっと浮かび上がったというか、それが火剣だった。」


淳「なるほど・・・(確かに強い意志に反応してる。)」


鬼瓦「燃えた剣で切り裂いたら煙のように消えてな」

「それから、この辺りを巡回しまわっている。」


淳「俺は・・・あの時、諦めた。」


淳はコップに入った飲み物をジーっと眺めながら落ち込み始める


淳「足が恐怖で動かなかったんです。

警備兵ともあろう僕が、恐怖に屈したんです。」


鬼瓦は淳の肩をドン!と叩く


鬼瓦「その弱さを素直に認めれるお前は弱くはない」


淳「教官・・・。」


鬼瓦「あんなものを見て恐れない奴がいないわけがない

俺だってはじめは恐ろしかった、怖かった。」


淳「でも・・・立ち向かえたじゃないですか」


鬼瓦「俺は教官だぞ!?

お前らのような警備兵がここにきて引っ張れなければ教官ではないだろ!」


淳「・・・鬼瓦教官らしいですね。」


鬼瓦「フハハハ!

取り合えず!飲め!嫌な事は酒が忘れさせてくれるわい!」


二人は気を取り直して再会の乾杯を交わし

酒を浴びるほどに飲んだ。


そして、二人は1時間後 地面にぶっ倒れながら眠りについていた。

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