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FileⅠ.死後

─...だ。


淳「(誰かが・・・喋ってる?)」


─分かった。

──俺は彼らの看病に当たる!


淳「(ダメだ・・・意識がはっきりとしない。)」


真っ暗の中淳は体が徐々に沈んでいく感覚だけを味わう。

脳裏で抱いた言葉は響き渡るようにして聞こえる。


淳「(不思議な・・・感覚。

確か・・・俺はお腹を刺されたんだっけ。)」


─起きろ、目を覚ませ!


誰かに呼びかけられている事は理解できる。


淳「(そういえば・・・凛子!!!)」


パッと目を覚まし、上半身を起こす淳


「おっと、目が覚めたようだな。」


一室の布団の上で目覚めた淳


淳「・・・ここは?」


「簡単にわかりやすく言えば〝死んだ後の世界〟だ」


淳「へ?」


淳は突発的だが、衝撃すぎる言葉に困惑を隠せず

必死に過去を振り返る。


そして最終自分が刺されたことを思い出した


淳「ここに凛子は居ないってことは!

凛子は生きてるってことなのか!」


「さぁな、そいつの名は知らんが。

俺が見たのはお前だけだ。」


淳「ところで、ここは勿論天国だよね?

まさか!警備兵に努め街を守ってた俺が地獄に行くわけがない!」


「正確に言えば地獄でも天国でもない。

死と生の狭間の世界だ。」


淳「「へ?」


「まず、外に出てみればわかる。」


男の後を追って困惑しながらも外に出ると。


その街並みは淳が警備を務めていたグリーンタウンそのものだった。

変わりがあるとすれば、人の姿が全く見当たらないということだけ。


淳「グリーンタウンだ。」


「ここはそういう街なのか。」


淳「俺が最後・・・見覚えがあるのはここだ。

俺はここで最後刺された・・・。」


「お前ら警備兵は鞘だけを装着させられるのか?」


淳はその言葉を耳にしたときに

自分の下半身に視線を向ける、ベルトに装着し、ぶら下げている鞘には刀がなかった


「まったく、便りのない警備兵だな。」


淳「まて・・・普通は刀をっ─」


その瞬間脳裏に刺された直後の映像がフラッシュバックする。


敵に刀を抜き取られ、その刀で腹部を刺された。


男は咄嗟に回し蹴りで淳を蹴り飛ばす。


その瞬間、男が立っていた場所に

黒くモヤモヤした玉が無数に飛び向かって


砂煙を立たせる。


淳「ッ!!!」


映画やアニメでしか見たことのない程の砂煙。


淳「今のはどんな銃を使ってるんだ?」


淳の後ろから現れるもう一人の女性


「表側と同じに見ないほうがいいわよ。

俺は砲弾型の人影。」


淳「人・・・影?」


放たれた方向に視線を向けると

ゆっくりと真っ黒い人の形をしているが、体全体が真っ黒で影のような人がゆっくりと歩いてくる


丸目で赤く光らせると 右手を淳達に向ける


黒く手のひらが光ると、先ほどと同じ砲弾が10発放たれる


「・・・全く、ここで遭遇するなんて

蘇生者を嗅ぎ付けたのかしら。」


女の影が揺らめくと、影は女の体に吸い込まれるように消える。


すると、手のひらから真っ黒の刀を具現化させて

向かってくる砲弾をすべて斬って行く。


淳「なんだ・・・あの刀

見たことがない。」


淳の目の前を横切るナイフ。


すると、淳の体も何かに持っていかれるように瞬間移動する。

気が付いたときには元居た場所から数メートル離れた場所にいた


淳「へっ?」


「いつまでぼーっとしてんだ、足枷野郎。」


淳を蹴り飛ばして守った男が隣に居た。


向かってくる砲弾を一発一発 刀で払い

徐々に距離を詰めていく


「ちょうどいい、足枷野郎よく見ておけ。」

「この裏側の世界では、Spellというものが存在する。」


淳「す・・・ぺる?」


走って距離を縮める女は途端に

地面の中に沈んで姿を消した。


淳「エェエエエエエ!!!

何今の!ねぇええ!」


「あいつはチャノって言って、あいつのSpellは影体だ。」


淳「影体・・・?」


すると、人影と呼ばれる不思議な生き物の背後にできた影から飛び上がり

回転斬りで首を斬り刎ねた。


─スパァッ!!!


「そして、人影は死ぬと 煙のように跡形もなく消滅するってわけだ。」


男の言う通り同じ状態になって跡形もなく消えて行った。


チャノの消えた影は元に戻り黒い刀はいつの間にかなくなっていた。


チャノ「エム・・・何故あなたがやらなかったの!?」


エム「いやぁ・・・めんどくせぇし。」

「この足枷野郎もいるし・・・。」


淳「僕は神久淳って名前があるんですけども!」


チャノ「まぁ、この裏側の界隈で死んだあとはどうなるかは知らないけど

一つだけ言えるのは、人影のように闇に侵食される。」


淳「・・・ゾンビみたい」


エム「まぁそういう解釈でも仕組みは間違ってない

後はそれをどう呼ぶかってだけだ、まぁ後は好きにしろや」


エムは淳を置いてどこかへと歩き始める。


チャノ「精々死なない程度にね。」


軽く別れの挨拶を交わしたチャノもエムの後を追って歩き始めた。


淳「・・・ッ!

まったぁあああああ!」


大急ぎでダッシュして二人のゆく道を両手を広げて遮る


エム「おい・・・足枷邪魔だ。」


淳「僕は神久 淳ですし!!!

足枷でもありませんし!つーかどこに行くつもりですか!」


エム「いつものようにぶらぶら~と」


淳「いーやいやいや!普通僕を仲間にするとかないんですか!?」


チャノ「・・・弱いし、というか能力開花できてない奴なんて

雑草より生きる価値のない存在だから。」


淳「(結構傷つくんですけど。)」



エム「んまぁ、俺らには俺らのやるべきことがあるんだわ

お前は俺らについてきてもただ無駄に死ぬだけだから、お前はここで待機してろ」


チャノ「・・・能力を開花させれれば君も誰かを守るすべを見つける

この街で死んだ人間は、この世界で蘇生される

貴方の言ってたりん・・・なんとかってのがここに来るかもしれないのよ?」


淳「ッ・・・」


淳は言葉を失った。

発そうとしていた言葉が喉元でつっかえたのだ。


エム「その時にそいつが一人だったら

人影になって誰かを殺すか、殺されるかの二択だぞ?」


淳「能力開花してない僕が守れるわけがないだろ!

せめて能力開花の手法ぐらい教えてくれ!」


チャノ「自分の意志よ。」

「何かをすれば開花するってわけじゃないの、あんたが強い意志を抱き

その意思で何かを成し遂げようとしたときに始めて開花されるの。」


淳「・・・わけがわからないよ!」


エム「取り合えず、逃げずに対峙しろ。

そうすれば自分は何がしたくて何ができるのかぐらいわかる。」


エムはそういいながら通り過ぎる間際に耳元でささやき

肩をドン!と強くたたいて歩き去っていく。



淳「・・・って言われたってなぁ。」

「この街には誰もいないし・・・取り合えず。」


淳はグリーンタウンに残り、どこかへと歩き始めた。

数分後、淳はアパートのような建物に行きつく


淳「俺の家だ!」


部屋を開けると、淳は目を見開いた。

全く自分の居た部屋と同じ光景が広がっていたからだ


淳はテンションを上げて布団に飛び込んだ。

暫くすると、鼾を書いて夢の中へ。


-2-


チャノ「本当に彼一人で大丈夫なの?」


エム「心配ならあいつを監視してもいいんだぜ?」


チャノ「エムが敢えて連れて行かなかったことには

何か意図があるんだろうし、私はいいけど。」


2人はグリーンタウンに背を向けて歩き出した。

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