プロローグ 5
「あなたの分別が完了したわ。」
「やっとか、まちくたびれたよ。」
「そう?実際には1時間くらいしかたってないわ。」
「思ったより時間はたってなかったんだな。」
謎の幻を見ていたからすごく長く感じたが実際はそうでもなかったということだろう
それよりあの亜里沙が言っていたあなたにしかできないこととは一体なんなのだろうか?
もう死んでしまった俺にこれ以上してやれることがあるのか?
「あのー聞いてますかー?」
「あっ、すまないすまない。考え事をしていた。」
また勝手に考え込んでしまった。これは俺の悪い癖だな。
「で、俺の分別はどうだったんだ?」
「それなんだけどね、ちょっと珍しいケースになってしまって。」
「なんだそれは?まさか悪いことにでもなったのか?」
「いやいや、むしろ逆でいいことなのよ。でもまた説明するのがめんどくさくてね。」
「なんだ、それならいいんだ。」
女神なのにめんどくさいなんて言葉を使ってるのにはあえて触れないでおくとしよう。
「その珍しいケースとは?さっきの説明ではしょった内容か?」
「ええそうよ。これは非常に珍しいケースなんだけど結果でいうと、あなたは分別に合格したわ。そして+神々の推薦も受けたの。」
「神々の推薦?」
確かにこれをうけて悪いようにはなるとはおもえんな。しかし内容は全くわからない。
「その内容なんだけど、生前に世の中に多大なる貢献をしたのにも関わらずその見返りがなかった人など非常に運がなかった人に贈られるのもので、これをもらった者は1つだけ願いをかなえてもらえるのよ。」
願いをかなえてもらう?この世界に来てから非現実的なことばかり起こってきたが、その中でも一番驚きだった。
「願いをかなえてくれるのか?どんなものでもか?」
「そうよ、ドラ〇ンボールほど融通が利くものではないけど。本当に珍しくて前に神々の推薦を受けたものが現れたのはたしか16年前だったわね。」
ファイルらしきものを見ながら話すアルト、その顔が一瞬ひきつったような気もしたが気のせいだろう。
「じゃあ生き返らせてくれっていうのはいけるのか?」
「申し訳ないけどさすがにそれは厳しいわね。あなたの遺体はもう火葬されてしまって今生き返るとおかしいことになってしまうの、ほかの人の記憶に干渉するのはできなくてね。」
「そうなのか。」
生き返ってまた菫と暮らしたかったのだがさすがにそこまで甘くはないか。
「ならその16年前の人はどんなお願いをしたんだ?」
するとまた顔が少しひきつった感じがした。そんな深刻なことを聞いたつもりじゃなかったんだが。
「いいの?聞いて。もしかしたら後悔するかもしれないわ。」
「なぜ後悔するんだ?そんなのしないから教えてくれ。」
教えるのを渋るなんてどんな願いだったんだ?。
「わかった、おしえるわ。その人は若い女性でね、幸せに暮らしていたんだけど結婚してそして妊娠したの。そこまではよかったわ。でも妊娠中の時つわりや陣痛とは何か違う違和感を感じてたんだけど、仕事で忙しい夫を心配させないために我慢してたの。そして幸い無事赤ちゃんは生まれた。元気な女の子だったわ。」
この話を聞いていくうちに少しずつ俺の中で違和感ができつつあった。
「でもねその女性はガンだったの。出産した時にはもうすでに末期でその1週間後に息を引き取ったわ。」
そしてその違和感は少しずつ確信へと変わりつつあった。
「本当につらかったのだろうけどその女性は頑張った。夫の仕事のほうが大変だからこのくらい頑張らなくちゃと。」
そんなまるでそれは
「まさかその女性は..」
「そのまさか。彼女の名は的場亜里沙。あなたの妻だった女性よ。」
それを聞いた瞬間私は泣き崩れた。45歳の大人とは思えないほど大きく。
話を聞いていくうちにだんだん気づいていたけれでも、彼女のなまえを聞いた瞬間私の感情のダムは決壊し一気に感情がこぼれた。
「落ち着いた?」
「あぁ、すまないいきなり泣き出して。」
「いいえ、私こそごめんなさいあなたには少しきつい話だったわ。」
「いや気にしないでくれ。それで彼女、亜里沙はなんてお願いをしたんだ?」
「そうね彼女はこう言ったわ。生きかえられなくてもいいから娘の成長する姿を見たいって。だから私は零体の体でなら現世に降りることを許可したわ。」
それならやっぱりさっきみた亜里沙は本当の亜里沙だったのか。
「そうか。そうだったのか。」
「なにかあったの」
「実はな、さっき気絶してる間に亜里沙にあったんだ。」
そして気絶してる間のことをアルトに話した。
「そんなことがあったのね。でも二人はもう死んでる身だから別にあり得ない話じゃないわ。」
「でも俺にはわからないんだ。彼女に言われた、あなたにしかできないことってのが。見守るにも生き返れないのなら意味がない。」
本当に一体どうしたらいいんだ。
「私が口を出していいのかわからないんだけど、一応今の姿のままで以外なら生き返ることは可能だわ。」
「それはどういう意味..」
「なにわすれたの?ここではしんだ魂を再び生き返らせる転生もしてるってことを。」
そうゆうことかやっと理解した。さっき生き返れなかった理由は、他人の記憶に干渉できないからそののまま生き返ったら周りのひとはおかしいと思うからだ。ならおかしいと思われないように生き返ればいいただそれだけの事。わかったよ亜里沙。君の言っていた意味が。
「アルト。突然で悪いけど願いがきまったよ。そう、簡単な話だったじゃないか。私を、俺を現世に的場義彦とは違う菫と同じ高校生という姿で転生させてくれないか?」
「やっと気づいたのね、それなら可能だわ。」
気づくのが遅くなってすまない亜里沙。おれは今度は父親とは違う目線で彼女を見守ることにするよ。
「なら決まりだ。すぐ転生することは可能か?」
「あら?わたしを誰と思ってるの?そんなのできるにきまってるじゃない。」
「よし。ならすぐ頼む。」
「了解」
するとアルトは前と同じように呪文を唱え始めた。さすがに大掛かりな魔法なのだろうか前よりも2.3倍程度詠唱が長い。
「さぁ準備はできたわ。最後に確認だけど、年齢は16で記憶はそのままで見た目も名前も完全にリセットされ全く別人になるわ。それでいい?」
「あぁそれでいい。」
「新しい名前、あなたの設定その他もろもろは生き返ってから伝えるわ。
「わかった」
「それじゃあいくわ。」
すると前と同じように光が強くなりはじめた。
「われは女神アルト。分別の儀式をつかさどる女神なり。いまその権限を行使し彼を転生させる!
はぁぁぁぁぁぁぁ!」
すると光は俺をすべて包み込みまた視界が暗くなった。
そして目が覚めた、鳴り響く蝉の声。自分は歩道の真ん中に横たわっていた。
どうやら俺は本当に生き返ったようだ、夏の熱せられたアスファルトは皮肉にも俺の意識の覚醒にやくだった。
「おいアルト転生するならもっとましな場所にしてくれよ!」
「ごめんごめん。座標を間違えちゃったわ。」
いきゆく人々に変な目で見られている。あいつ後で一発殴ってやる。
「で?どこにいけばいいんだ。」
「そうね、とりあえずあなたの元の家に来てくれる?そこでまた説明するわ。」
「わかった、すぐいく。」
さぁいくか。と思った矢先にこれは運命なのかと思ってもおかしくないようなことがおきた。
「あのーだいじょうぶですか?」
全身に鳥肌が立った。心配そうに見つめるセーラー服をきた学生の女子。忘れるはずもない見た目や声、そうそれは紛れもない菫だった
これでプロローグは終わりです、長引かせてすいません。次回からは学園編がスタートしていきますのでこれからもよろしくお願いします。誤字脱字があった場合えんりょなく報告してくれるとありがたいです。Twitterアカウントを作ったのでフォローしてくれるとありがたいです。@foifoi__saikou