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第三話「そして学校へ…!」

 学校に行くことになったマサツグであったが、一体何を用意すれば良いのか見当がつかなかった。マサツグはこの世界のルールをまったく知らない。不安が募ってきた。

 母親は「学校に行くならお風呂に入った方がいいかもね。マサツグがお風呂に入っている間に母さん準備してあげるから。」と先程の表情とはうってかわって明るい様子であった。

 しかし、マサツグはこの家の間取りがわからない。それに個人の家に風呂があることに驚いた。転生前の世界では、風呂が家にあるのは余程の金持ちだけだからである。

 マサツグは「母さん、風呂ってどこだっけ?」と聞くと、母親は不思議な顔を浮かべて「この廊下の突き当たりを左よ。どうしちゃったの?」と答えた。

 マサツグは説明の通りに浴室へ向かった。洗面所で着替えるときに自分の身体を観察した。ボサボサに伸びた髪の毛と眉毛は暫く手入れをしていなかったこと思わせる。まるで戦地に何ヵ月もいたであろう様子である。手足と腹は脂肪でおおわれており、改めて転生前の身体との違いに落胆した。

 マサツグは裸になると浴室へ入っていった。水を浴びようと思ったがどうやれば水が出るのかわからない。転生前の世界では各家庭に水道は整備されておらず、水を使いときは井戸か川に行くことが普通であった。とりあえず、彼は眼前にあるレバーを動かしてみた。すると腸のような管の先から水が出てきた。

 「こ、これは魔法か?水を見ないで操るとはあの母親は料理だけでなく、魔術もつかえるというのか…侮れん!」と驚きの声を漏らした。転生前の世界では魔法は一般的であった。日常生活で魔法を使いながら生活するのは当たり前であり、転生前の初等教育では魔法の扱い方を学んでいた。

 また魔力の根源は感情にあり、論理的に考えることは嫌煙されてきた。加えて、魔法があるがゆえに科学や技術がなくとも灯りをつけたり、火を起こしたりすることができたので、転生後の世界と比較すると科学技術の発達はかなり遅れていた。

 そのためマサツグはこの世界で見ること為すことは全て初めてであり、何もかもが衝撃を与えた。

 身体を洗っていると水の落ちる音とは別に足音が聞こえてきた。すぐさま足音に警戒するものの、その主は母親のものであるとわかった。

 母親は「着替えはここに置いておくからね。電気は付けなくていいの?」と何かをスイッチを押す。

カチ!

 すると浴室が明るくなる。マサツグは動揺を隠しきれない。(この女は水だけでなく、光も操れるのか…) 当然ではあるが、転生前の世界に電化製品という概念は存在しない。

 マサツグは用意された下着、ポロシャツとスラックス着替える。髪も整えると、ダイニングへと向かった。母親はマサツグをみると「かっこよくなったね」と嬉しいそうに微笑んだ。

 続けて「一人で学校に行ける?母さんもついていく?」と聞いてきた。マサツグはこの世界のことを知らないし、学校の場所も知らないので、母親の案を快く承諾した。


 そして、学校へ向かった…!


 学校へ着くには自転車で15分ほど距離である。そう説明されてもマサツグにはわからない。なぜなら転生前では、分や秒がないからである。時間が知りたかったら、太陽の位置で大体の時刻を知るのが一般的であった。

 「今日はバスで行こっか。」と母親は提案する。バスが何かわからないが断る余地はない。「ああ」と返事をして、母親は日傘をさし、一緒にバス停に向かった。

 道を歩くとマサツグは驚きを隠せずにいた。土ではない固い路面、空高く伸びる建物、何十台もの車。転生前の世界にも車はあったが、動物に牽かせるか魔法で動かすかであった。魔法で動かすにしても車を動かすのにはかなりの魔力を消費するので、魔力に自信がなければできない代物であったため、それなりに珍しいものだった。

 母親は「ちょっと様子が変だけど、やっぱり帰る?」とマサツグを気にかけて言った。

 マサツグは「いや、平気だよ。心配してくれてありがとう。」と動揺を隠しながら答えた。

 バスが着くとドアが自動で開く。母親の後にマサツグが乗り込むと、運転手の男が「お客さんお金払ってないよ!」と苛立ちながら言った。それにいち早く反応したのは母親であった。

 母親は「すみません!すぐ払います!マサツグ、財布はどこにやったの?」とマサツグの方を睨むようにして言った。

 マサツグは財布を取り出したがどうすればよいのかわからなかった。見かねて母親が「も~う、Suica入っているでしょ!早くしなさい!」とマサツグの財布をSuicaの読み取り部へ持っていった。母親は小さな声で「すみません」と告げると、体を縮めて席の方へ足を進めた。


 マサツグは窓から景色を眺めていた。転生前の世界との違い感じながら、この世界は比較にならないぐらい発展していた。

 「次は京文高校前~、京文高校前~。お降りの方はボタンを押してください。」

 さっきの男の声だった。母親は「ここで降りるわよ」と耳打ちすると、ボタンを押した。

 車が止まると母親とマサツグは中央のドアから降りていった。


 高校は目の前であった。

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