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第二話「椅子と机」


 その後、マサツグは母親に連れられて1階へと向かった。歩いたときの目線の高さから自分の身長はほぼ同じであることに気づいた。そして、体の重さや身体の肉付きからこの男が運動をあまりしていないこともわかった。転生前の鍛えぬかれた体との違いに違和感を覚えながらマサツグは進んでいった。


 食事をする部屋に連れていかれた待っているであったが、目の前の光景に驚愕した。なぜなら、食べ物が木の加工品の上に置かれており、その近くには四つ足の木工品が並べられているからだ。

 転生前の一般的な食事では、地面に食べ物を置き、地面で座って食べるか立って食べるかであった。マサツグは眼前に広がる光景に困惑し、何をすればよいのかを母親の様子を事細かに観ることにした。

 母親は四つ足の木工品を引き、その上に座ると、マサツグの方をじっと見て、「マサツグ、椅子に座らないの?」とこれもまた心配そうに話しかけた。

 マサツグは頭の中で椅子という言葉を繰り返しながら、「ああ、椅子に座わるよ。」とこたえ、母親の動作を真似しながら椅子に座った。

 マサツグが座ると母親が「今日の朝食は机のものしかないんだけど…」と申し訳なさそうに言った。

 この木の加工品が机という名前であることをマサツグは覚えながら、机の上の食べ物を見渡した。大きな皿にロールパンがいくつかとボウルにレタスとトマトのサラダが並べられていた。マサツグはすぐにでも食べたかったが、転生前に毒殺をされていたため手をつけられずにいた。

 母親は「母さんも今食べちゃうね。」と言うと、小皿にサラダとパンを取り分けた。母親は金属製の棒のようなものを手に取りそれでサラダを口にし、続けてパンを口に運んだ。毒がないとわかりマサツグも口にすることにした。

 バターロールを口に運び、噛んだ瞬間に口の中に衝撃が走った。パンの中にバターが入っていたからだ。マサツグは(う、うまい…!これを考えた母親は天才料理人なのだろう…!)と思ったが、言葉にはしなかった。後にバターロールが「ネオバターロール黒糖味」という商品であり、母親が作っていないことに気付くことになる。

 サラダを口にしようとすると、レタスを指で摘まむと、母親が怪訝な顔で「マサツグどうしたの?フォークそこにあるでしょ!」と言った。

 転生前では、食事は素手で食べるのが当たり前であったマサツグにとって何がおかしかったわからなかった。ただ、母親が右手に持っているものがフォークなのだろうと思い、目の前に置かれているフォークを手に取った。

 フォークを使い、レタスとトマト刺して口に運ぶ。マサツグは味の感動とは別にフォークを使えば手を汚さずに食べれることや熱いものも火傷せずに食べられることに感激していた。


 食事が進まるうちに母親の表情は次第に曇っていった。マサツグは(何かあったのだろうか?)と母親の様子に警戒しながらもソシャクしていた。

 母親が口火を切った。「ねえ、マサツグ。学校はどうしようか?無理ならいかなくても良いけどね…」

 マサツグは神行くように言っていたことを思いだし、二つ返事で「ああ、行くよ。」と答える。

 するとまた母親は涙を浮かべながら「マ、マサツグ、がっ学校に行ってくれるのね!」と感嘆を現した。


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