ミルクティー
どうぞよろしくお願い致します。
その中に、わたしは砂糖を入れる。
君は何を入れるっけ。
「思い出せないなあ」
薄茶色のミルクティー。かき混ぜながら、考える。
初めて会ったとき、君は。
何を着ていて、どんなことを喋って、どんな表情だった?
いろいろなことが、混ざって、薄まって、足して。
そうしてどんどん忘れていく。
人間の記憶なんて、そんなもの、と以前定義したんだ。
いや、もしかしたら。
「わたし、だけなのかもしれない」
否定できない自分に苦笑する。
人間は誰も彼も自分勝手でいいと思うけど。
一番自分勝手なのは、きっとわたしなんだと知っているけど。
千歳、と朗らかにわたしの名前を呼ぶ彼を。
わたしの好みを覚えてくれていた彼を。
どうか、どうか
忘れないように、なんて。
「それこそただの、期待でしかない」
自分に期待なんて、もう随分としていない。
君を利用して、自分に期待をしてみるのも、自分勝手なわたしらしいかな、と笑った。
ミルクティーは、もう飲み干した。
前回の話は診断からいただきました。
お題『どうせ忘れてしまうに決まっている』
Twitterより
ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。






