私は転生者です
鏡に映る顔はとても綺麗だ。自惚れなどではなくて、百人に聞いたら百人が美形だと答えるであろう顔立ち。その唇から溢れる声は前世で好きだった声優さんによく似ている。ぺちぺちと頬を叩くと確かに痛みはあって、これが現実なのだと再認識させられる。生まれてから今まで何万回と行ったこの確認行為。確認としての意味はもう失っているけど、今でも時々やってしまう。癖みたいなものなのだろう。ゴツゴツとした自分の指を見て、ため息をついた。そのため息ですら色っぽいとは何事だ。……おっといけないいけない。朝からため息なんてついてちゃ幸せが逃げるわね!
「アタシ、必ず立派な恋愛アドバイザーになってみせるわ!」
拳を天に向け、こう高らかに宣言するのが私の日課だ。
発声暗示というのは案外効果のあるものらしい。生まれ持った高いスペックも由来して、頼れるお兄さんキャラから所謂残念イケメンに分類されるオカマキャラへと進化を遂げることができた。この調子で主人公ちゃん、ひいてはその他の女の子たちにまつわるいざこざに巻き込まれないように、またいざこざが起こらないように暗躍する恋愛アドバイザーとしての地位を確立していこう。今のところ順調、順調。さあ、転生ライフを満喫しようじゃないか!
私の前世は女子高生だった。
死んだのは、高校二年生のとき。
私の学力は形容し難い微妙な位置にあった。国公立大学への進学率が高いことで有名な学校の中で平均より少し下あたり。絶対的に見た場合は「良い」の部類に入るのかもしれないけど、学校内では落ちこぼれ気味だった。
運動はあまり得意ではなく、これも平均やや下あたり。
ルックスについては良くもなく悪くもなく。たれ目でぽっちゃりしているためか人相がいいと言われたことはあるが、美人だと言われたことも、ブスだと言われたこともない。
友達は多かった。基本的には上辺の浅く広い付き合いばかりだったけど、趣味が合う一部の人たちとは本当に仲が良かったと思っている。
私の趣味はアニメ、漫画、ゲーム。つまりはオタクだ。オタク呼ばれる人たちの中でも、私はBLが好きな腐女子。NL、GLも大好きな雑食腐女子だった。様々なキャラ、シチュ、CPが好きで、地雷ジャンルが少ないことを武器に、鬱ゲー、クソゲーと揶揄される部類の乙女ゲームですら楽しくプレイしていた。
ライトノベルとかでありがちな展開だけど、どうやら私はそのときやっていた乙女ゲームの世界に転生したらしい。それも、攻略キャラとして。
初投稿です。
拙い文章ですみません。
誤字脱字など多々お見苦しい点はあるかと思いますが、生暖かく見守ってやっていただけると嬉しいです。
アドバイスも感想もなんでも糧にしますのでよろしくお願いします。
9/25 加筆しました。