美咲の日記 その24
美咲の日記 その24
9月7日(金) 天気・小雨
世の中には、知る権利というものが存在する。でも、それを使うかは個人の自由で、その時機は突然として訪れる。例えそれが悲しいことでさえ、ところ構わずにだ。
あたしと楓の関係は、想像通りの間柄だった。だから、別に今となっては悲しい感情すら湧いてこない。普通は、ひとりっ子だと思って生きてきて、突然姉妹がいましたよといわれると驚くに決まっている。でもあたしの場合は、少し前から始まった不思議な出来事の連続で、あたしの深層心理は無意識にそれらを察知していたに違いない。でなければ腰を抜かすどころか、両親に抗議したとしてもおかしくないほどの重大な事なのだ。
わたしはまた、日記を途中で閉じてしまった。
あたしたちの関係性はわかった。でも、何故二人が離れ離れになってしまったのか。それはあたしが閉じた後のページにきっと綴られている。
あたしは迷った。知る権利を今ここで使うかどうかを。ここまで知ってしまったのだから、この勢いのまま読破してしまった方が、後あと余計な苦しみを味わわなくて良さそうなものなのにあたしは日記を閉じてしまった。
暗闇に浮かぶ蛍光灯があたしに問いかけているようだった。
「読むの?読まないの?」と。あたしが躊躇っていることをイライラしているかのように、ジリジリと音をたてていた。
蛍光灯とあたしと日記。
蛍光灯はあたしの手を照らし、その手は絹枝の日記に触れている。そして、その日記にはあたしと楓の過去が、全てが綴られている。
あたしは決めた。
「この日記は・・・」
あたしは決心した。
「あの人が持っていないと・・・」




