美咲の日記 その23
美咲の日記 その23
9月1日(土) 天気 雨
あたしの机の上には、閉じられた「絹枝の日記」が置きっ放しになっていた。
そこに綴られている一文字一文字が、事の重さや事の悲痛さを衝撃的に伝えてきていて、読んでいたあたしは思わず日記を閉じてしまっていた。
木村律子が産んだ双子。それは多分、あたしと楓に違いない。
あのおばあちゃんが、あたしの実のおばあちゃんだったこと。
今のあたしの両親が、本当の両親でなかったこと。
あたしに別の本当の両親がいたこと。しかも、お父さんが事故で亡くなっていたこと。そして、その事故の理由が・・・。
フェリー乗り場で泣き崩れていたおばあちゃんを思い出していた。
「ご、め、ん、ね、み、さ、き。あ、た、し、が、わ、る、い、の、よ」
その言葉の意味。おばあちゃんが涙した理由が綴られていたのだ。あの日記に・・・。
外は雨。
しとしとと降る雨があたしに「勇気を出しなさい」といっているような「前を向きなさい」と優しく囁いているような、そんな雨の午後だった。
あたしは日記を手に取っていた。衝動的に閉じたはずの日記だったのだが、あたしはきちんと栞を挟んでいた。




