第1話
ちょっとエグイ話に挑戦します。が作者自身が怖がりなので、そんなでもないです。残酷な描写ありとかなってますけど、そんなでもないです。では「ノンエネルギーヒューマン」スタートです!
「西暦28XX年、人口が減少の一途を辿ったこの世界は、それに対応した新人類ノンエネルギーヒューマン、略称NEHが統括している。前時代人類のホモ・サピエンスは残りわずかとなり、絶滅危惧種と認定された。」
「よし、そこまで。次のページはガンドリル、読め」
メガネを掛けた細身の女性教師に指示され、小柄な少年が着席し、同じタイミングで大柄な少年が立ち上がった。
「絶滅危惧種となったホモ・サピエンスを保護し、食料を与え管理してきたが、与える食料も減少の一途を辿っている。このままのペースで食料が減少すると、ホモ・サピエンスの生命維持が困難になる。よってホモ・サピエンスの冷凍保存計画が立案された。その立案をしたのが、絶対王ウェヌルである。絶対王ウェヌルの計画は側近の部下により進められている」
大柄な体によく似合う図太い声である。
「よし、次は・・っと時間か」
講義終了のチャイムが鳴った。
「本日はここまでとする。次回はページ112、計画の現状についてから授業を開始する、予習を怠るなよ貴様ら!」
「はい!!」
生徒の大多数が返事をした。
生徒30人の内25人くらいだろうか。
生徒の返事を聞き終わった教師が教室から消えた。
この学校の教師は、職員室に常駐しており自分の分身であるデジタルデータを各教室に投影し授業を行っている。このシステムによって全クラスで同じ授業が同じ時間帯に出来るのである。
昔の授業システムでは、教師は各科目ごとに一人だったため、一人の教師が一学年全クラス分の授業を行わないといけなかったが、新システムではやることは同じだが、回数が1度だけで済む為、その分授業の質が上がった。
旧人類がこれを実現出来なかったのはやはり技術的な問題だったのだろう。
「ヤス」
ガンドリルと呼ばれた大男が小柄な男に声を掛けた。ガンドリルの前に教科書を音読していた彼である。
「なんだよ、ガーなんか用?」
不機嫌な態度を露にしヤスと呼ばれた男が返事をした。力関係はどうやら体の大きさと逆のようだ。
「明日、親父のコネでホモ・サピエンス保護施設に行くんだけど、一緒に行かね?」
「やだよ、それに明日は講義あるんだぞ、サボる気か?」
「明日は計画の現状についての講義だろ? お前十分知ってるからいいだろ?」
「まぁ確かに、十分知っているけど・・・」
「一緒にチカちゃんも来るんだけどなー」
「な!? ・・・わかった。」
「決まりだな、じゃ明日俺の家の前で待ち合わせな」
ガンドリルは、そう言い残すとスキップで教室を出て行った。似合わないことこの上無い。
ヤスは大きな溜息を吐いた。妹のチカが行くなら行かざるをえない。
ガンドリルにチカが惹かれているのは大分前から知っているが、それによりヤスが割りを食うことが問題だった。
どうにかして欲しい。
「チカ、なんでガンドリルなんだ」
ヤスは本日二度目の大きな溜息を吐いた。
読んでくれてありがとうございます!