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人間から嫌われている私は、魔族に愛される魔女だったらしい  作者: シン


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19/29

不慮の事故

 今日はテオ様に、建物から出ないよう言われた日。

 彼も一日中いないらしく、今日は1人で過ごす予定。

 朝から騒がしく、廊下の窓から外を覗いてみると、魔王城の周りに大量の魔族が集まっている。


「気になります?」

 背後から耳に囁く声がする。


「デ、デビトさん?!」

「可愛らしい反応ですね。もっとからかいたくなります」


 デビトさんはいつも、隙があればからかいにくる。

 いつもびっくりさせられてしまう。


「デ、デビトさん!びっくりさせるの、やめてください!」

「っ!そんな涙目で言われると、尚更いじめたくなってしまいますね」


 何やら逆にデビトさんを煽ってしまったようです。

 

「して、ディアナ様は外が気になっているようですが」

「テオ様にも外に出ないように言われています。そのことと関係あるんでしょうか?」

「そうですね。今日はいわば魔族のお祭り。大量の魔族が入ってきますので、あなたは外に出ないように。庭もダメですよ」

「わかりました」


 デビトさんは満足気に目を細める。


「よろしい。ところで、あの狼は見かけませんでしたか?」

「レオードさん?今日はまだ見てませんが……」

「そうですか。彼を見かけたら、これを届けてください」


 デビトさんは一通の手紙を差し出した。


「では、私はこれで」

 私が手紙を受け取ったのを見て、デビトさんはすぐここから去った。

 祭りだというから、忙しいのだろう。


 私は長い廊下をひたすら歩く。

 (魔族の祭りというから、セロくんもレオードさんも参加するのでしょうか)

 1人で過ごすとなると、読書か絵を描くことくらいしかできない。


「あ、ディアナ様、ここにいましたか」

 反対側からセロくんの姿を見かけた。

 後ろにはレオードさんの姿も。

 最近、2人はよく一緒に行動している。

 仲良くなったのだろうか。


「セロくん、レオードさん。お祭りに行かなくてもいいのですか?」

「お祭り?……ああ、行事のことですか」

「こいつ、毎回不参加なんだよ」

「僕は参加する必要がありませんから。レオード様は逆に毎回参加されているようですが、今日は行かなくてもいいのですか?」

「俺も……もう、必要ないから……」


 話からして、この祭りは自由参加らしい。

「レオードさん、デビトさんから手紙を預かりました」

 ついさっき受け取った手紙を、レオードさんに差し出す。


「2番からー?」

 彼は顔を顰めながら手紙を受け取り、手紙を乱暴に破る。

「レオードさんはどうして、デビトさんのこと2番と呼ぶんですか?」

「うーん、あの野郎はこの魔王城で2番目に強いから」

 彼は手紙を適当に広げて、読み始める。


 そしてなぜか、目を丸くしている。

「何と書かれていますか?」

 その表情を見て、セロくんも気になってしまったのか、手紙を覗き込む。

 そして彼も一緒になって、目を丸めてしまった。


 私もつい気になってしまい、手紙を覗き読んだ。

 

 『駄犬

 今日だけ許してやる。ディアナの護衛をしてろ。』


 広い紙の中央に、簡潔に書かれたその言葉は、衝撃的な内容だった。


「あの魔王か……許すって……」

「よかったですね、レオード様。今日だけは正々堂々、ディアナ様と一緒に過ごせるようで」

「いや……逆に気持ち悪いだろう」

「まだしばかれたいのですか」


 2人のやりとりを聞いて、いつの間にかこんなに仲良くなったんだろうと思ってしまう。


「ディアナ様は今日、どう過ごすおつもりですか?」

 セロくんは私に顔を向き直す。

「まだ考えています」

「でしたら、新しい服ができたので、試着していただけませんか?」

 彼は目を輝かせ、私を見つめる。

 

「ふーん。お前は服も作っているのか」

 隣にいるレオードさんが興味津々としている。

「仕方ありませんので、レオード様も見ていいですよ」

「お前、本当に生意気になったな」


 思わず笑ってしまう。

「ええ、ぜひ試着させてください」


 そうして、私達は部屋に戻ることにした。


 セロくんは何枚もの服を持ってきた。

「今度はアクセサリーも作ってみたのです」

 それに加えて、様々なイヤリングやネックレスも一緒に持ってきた。

 どれも派手すぎず、細かく作られていた。


 セロくんはそれらを組み合わせて、私に差し出す。

 「廊下で待っていますので、ゆっくり着替えてください」


 そう言って、セロくんはレオードさんを引き連れて、部屋から出た。


 私はベッドに置かれている服を見る。

 花があしらわれたパステルカラーのワンピース、黒をベースにレースがあしらわれ、背後に大きなリボンが飾られていたワンピース。

 相変わらず目を奪われるけど、着るのに億劫になる。


 私はまず黒のワンピースから着替え、それとお揃いのシルバーのネックレスを手に取る。

(そういえば、ネックレスをつけるなら、チョーカーは外した方がいいよね)

 普段は身を清める時以外、外さないようにしているけど、チョーカーがあるとネックレスが似合っているかわからなくなる。


 私はチョーカーを一時的に外し、窓辺のテーブルに置いた。


 ネックレスを首につけて、部屋の扉を開ける。

 「っ!素敵です!ディアナ様!」

 「……いいんじゃねえの」

 

 セロくんは目を輝かせながら、褒めてくれた。

 レオードさんは顔をそっぽに向きながら呟いた。

 なんとなく顔が赤らんでいるような気がする。


 「ありがとう、ございます。台無しにしていなければいいですが」

 「そんなことありません!逆に僕の服が、まだまだディアナ様の美しさを完全に引き立てられていないです!」

 セロくんが突然滑舌になり、私の服を見回し始めた。

 「ここにアクセントとして、ジュエルを加えてもいいかもしれません。あとここのレースを控え目にして、逆に透明感を増す為に透ける布を加えてもいいかもしれない……」

 「おい、石を加えるなら琥珀にしろ」

 「あなたの意見は聞いていません」


 セロくんが一通り見回してから、満足気にメモを取っていた。

 「ディアナ様、次の服も着替えてみてください」

 「わかりました」


 私は部屋の扉を閉じ、ネックレスのホックを外す。

(あれ?)

 そこで、あることに気づく。

(テーブルに置いたはずのチョーカーが、ない!)

 慌てて周りを見回すと、部屋の片隅でチョーカーを咥えている白猫がいた。


(猫?どこから入ったの?)

 窓はしっかり閉じられているはず――


 次の瞬間、あり得ない光景を見た。

(猫が、窓をすり抜けている!?)

 その猫はテーブルに跳び登り、チョーカーを咥えたまま窓をすり抜け、飛び降りた。


 私はすぐ窓を開けて、下を見る。

 その猫は下から私を見上げていた。

 「待って!そのチョーカーを返して!」

 下にいる猫に手を伸ばそうとすると、体が浮き上がった。


(え?!)

 そのまま体が窓を飛び越えた。

(落ちる――)

 落下すると思い、目を閉じると、地面にぶつかる寸前で体が宙に浮いていた。


 私はゆっくり脚を地面につける。

 猫は私が地面に立ったのを見守った後、すぐ走り出す。

 「っ!待って!」

 私はただ夢中になって、チョーカーを取り戻す為に猫を追いかけていった。


 ――――――――

《セロ目線》

 「おい、なんか遅くないか」

 「うーん」

 本当は女性が着替えているところを、急かしたくない。

 でも10分も経っているのに、ディアナ様が出てくる気配がない。


 僕は控え目に、扉にノックする。

 「ディアナ様、大丈夫ですか?」


 返事がない。

 いよいよ怪しい。

 僕は扉を躊躇いながら開いた。


 中にはディアナ様の姿がなく、残っているのはベッドの上に置かれたパステルカラーの服、開けられた窓――そして()()()()()()()()()()()()()()だけだった。

 本当は書きたかった話①:

 ディアナが着替える前の一幕

 セロ:「廊下で待っていますので、ゆっくり着替えてください」

 セロは部屋から出ようとしたが、レオードは立ち留まったまま。

 セロ:「レオード様、どうされましたか?」

 レオード:「俺はここにいる」

 セロ:「は?何言ってるんですか」

 レオード:「狼の時散々見たし、今更出る必要ねえだろう」

 セロ:「やはり魔王様に殺してもらいましょう」


 本当は書きたかった話②:

 セロとレオード、仲良し説の真相

 レオード:「おい、軟弱者。ディアナの好みを教えろ」

 セロ:「レオード様に話す筋合がありません」

 レオード:「ケチ」

 

 レオード:「おい、軟弱者。ディアナは犬派か?それでも猫派か?」

 セロ:「知りませんよ。犬は嫌いじゃないですか」

 レオード:「そんなわけないだろう。あいつ、俺を撫でる時超優しいんだぞ」

 セロ:「……魔王様にチクりますよ」


 レオード:「おい、軟弱者。ディアナは――」

 セロ:「僕に付きまとうのやめてください(怒)」

 #追伸:ディアナは動物と触れ合う機会があまりなかったので、犬派でも猫派でもありません。

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