4.共同改革
リリアーナはゼフィールの申し出を即座に受け入れた。二人は、アーデルハイト領の鉱山改革に乗り出した。
リリアーナの役割は、「解析の能力」を使った高純度鉱脈の特定と、前世の知識に基づく新しい精錬理論の構築。ゼフィールの役割は、それを現場に落とし込み、領民との交渉や資材の調達を行うことだった。
二人の連携は完璧だった。朝から晩まで、二人は質素な食堂で食事を共にし、荒れた屋敷の一室を調査室に変えて、データ解析を行った。アラン王太子との形式的な社交や、虚勢を張るための努力とは違い、この共同作業はリリアーナに生きた充実感を与えた。
しかし、改革はすぐに領民の反発を受けた。リリアーナの新しい採掘方法は、これまでの慣習を否定するものだったからだ。
「公爵令嬢が何の真似だ!また我々を欺くつもりか!殿下を追い詰めた悪女が、我々の生活を破壊するつもりか!」
領民たちがリリアーナを取り囲み、罵声を浴びせた。リリアーナは、慣れたように彼らの「不信と怒りの波動」を受け止めたが、言葉が出なかった。
その時、ゼフィールが前に進み出た。
「待ってほしい!彼女は、あなた方の敵ではない。彼女の提案した精錬理論は、私が保証する!彼女がここにいるのは、領地を救うためだ。私が見ているのは、公爵令嬢という虚像ではない。鉱山改革に情熱を注ぐ、一人の優れた鉱物学者だ。もし失敗したら、責任は全てこのゼフィール・グレンデルが負おう!」
ゼフィールの誠実さと信頼の波動は、領民たちの怒りの波動を静めた。リリアーナは「悪役令嬢」という虚像を否定し「知識と情熱」という真の自分を肯定してくれたゼフィールに、胸の奥底から熱いものがこみ上げるのを感じた。
数カ月後、二人の努力は実を結んだ。新しい採掘法と精錬法により、翠石の純度が飛躍的に向上し、大量生産が可能となった。この翠石は、その高い魔力伝導率から、瞬く間に王国の主要エネルギー源として注目された。
領地は瞬く間に豊かになり、領民たちのリリアーナを見る目は、憎悪から敬意へと変わっていった。リリアーナは「鉱山改革の女神」として、領民に崇拝されるようになった。




