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プロット  作者: 委員会
16/36

森みつえ


 「野間さん……今、音がしました」

 愛理が耳を澄ませる。

 「これは……三味線だな」

 モリエが静かに答えた。


 野間が手を合わせる。

 「なんかすごいオーラが 来るよ 来るよ いやな予感」


 和服姿の女が現れた。

 静かに佇むその姿には、時間が止まったような品格と、ほんの少しの恨み節が混ざっていた。


 「みつえです。座長です」

 女は堂々と名乗った。


 「座長……」と愛理がつぶやいた。

 「千回公演をやる予定だったのよ。でもね火事で全部パー。

観客は来ないし、私の最後の舞台も消えちゃったの」


 「先生……まだここに?」と野間が問う。

 「そうなの。悔しくて悔しくてね。死んでも死にきれないって、こういうことなのよ」

みつえは乗船切符をもっている。


 みつえは愛理の前にまっすぐ近づいた。

 その瞳は燃えるような情熱と、どこかあっけらかんとした軽やかさを湛えていた。


 「ちょっと、あなた。私の最終公演、脚本書いてくれない?」

 「……え?」

 「え、じゃないわよ。あなたの顔は脚本家の顔よ。それに目が脚本家してるのよ」


「わたしは記憶がないので・・・・」


 「座長、頼みますから乗船してください」

 「やだ。舞台に立たずにあの世だなんて、私の美学が許さないの」

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