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記憶の回帰 〜前世からの復讐者〜  作者: 儚威
第1部:セイクリッド学院編
9/19

覚悟

前世で楽しい思い出はひとつもなかった。


12歳のとき、父と弟が交通事故で亡くなった。母は鬱になり、入院生活に入った。


その出来事に戸惑いながらも、俺には大切な母がいた。母の元気を取り戻すために、毎日お見舞いに行き、明るい話をした。


しかし、1年後、母も亡くなった。


俺は家族でただ1人になった。


その日から、俺の笑顔は消えた。


中学では、死んだ顔をしているとか、死んだ魚の目をしているとか、変な噂や悪口を言われる日々。


俺は母の叔母に引き取られた。


叔母は結婚しており、お腹には赤ちゃんがいた。他人を気にかける暇もないはずなのに、叔母さんは俺にとても優しく接してくれた。

叔父さんも2人っきりの時間を大切にしたいと思ってたみたいだけど、文句を言わず一緒に過ごしてくれた。


それは、心が壊れた私にとって、ただひとつの癒しの場所だった......。


しかし、そんな場所も壊れることになる。


叔母さんが病院からの帰り道、工事現場の鉄骨が落ちてきて、亡くなった。


もう、何がなんだかわからなかった。


俺は呪われていたんだ。


俺が生きているから、大切な人がどんどん消えていく。


叔父さんは家で泣き崩れていた。幸せの絶頂から、どん底に叩き落とされた感情は底知れないほどの絶望だろう。


誰かのせいにしないと、冷静でいられないほどに。


「俺のせいだよ……叔父さん……」


そう言うと叔父さんは俺の首を締めつけてきた。


「"お前のせいだ"……!お前のせいで……!お前が呪われているがら"…!!!返せ…!"妻を返せ"!"お腹の子を返せ"!

"俺の幸せを返せ"ーーー!!!!!!!」


俺は抵抗しなかった。

俺が本当に呪われているのか、そうでないのか、正直わからない。


でも、もう、この世界で生きる意味を見いだせなかった。俺を殺すことで少しでも気持ちが晴れるなら、それが最善の選択だと感じた。



――――――――――



そして、俺はこの世界に転生した。



――――――――――


前世の記憶は持っていなかったが、マルコたちのおかげで思い出せた。



もう、前世みたいな人生は送らない…


きっと、神様がくれた新たなチャンスなんだ。


感謝するよ……



◇◆


「そ、そんな…あのマルコさんが……」

手下たちが怯えながら俺を向いている。


「どうした……?」


「こ、殺さないでください…!!」

「今まで本当に申し訳ありませんでした…!!許してください!!」


手下たちは土下座をして、謝ってきた。


「このことを誰にも言わないか?」


「は、はい、言いません…!!」


「わかった、じゃあお前ら立って、体を寄せ合え。」


「え…、わ、わかりました。」


そう言われ、2人はセオンの指示に従って立ち、体を寄せ合った。


その瞬間、心の中に憤りと決意が湧き上がった。


前世からの言葉が脳裏をよぎった。


『いじめた側は忘れても、いじめられた側は一生覚えている。』


中学の時、俺をいじめてきた奴らに復讐したいと思っていたけど、結局、やる勇気も、力もなかった。


相手は違うが……


この世界なら、前世からの復讐を果たせる…!



──────────────────────


  【スキル:魔法奪取(マジックスティール)



  ■―奪取(スティール)リスト―

  ・ 悪魔の炎(デビルファイア)

炎の矢(フレイムスピア)

 


  ■使用:炎の矢(フレイムスピア)


──────────────────────


「セ、セオン……?」


2人がいつもとは違う表情をしているセオンを見る。


「この位置だな……」


別の魔法を試してみるか。


「『炎の矢(フレイムスピア)』」


セオンは体を寄せ合っている2人に向けて、マルコから奪い取った炎の矢(フレイムスピア)を放った。


2人は驚き、ルキエが『水の盾(ウォーターシールド)』を使おうとした。


しかし、マルコが使った時よりもはるかに強力で高速であり、魔法は間に合わず2人の体を貫いた。


「がっ…ガハッ…!」


2人は倒れ、血を吐きながら息絶えた。


──────────────────


奪取スティール

癒し(ヒール)

水の盾(ウォーターシールド)


──────────────────


癒し(ヒール)か…。助かったな…」


■使用:癒し(ヒール)



セオンはマルコたちから受けた傷を一瞬で癒した。

魔力量の多さがその効果を促進させた。


そして、灰になり消えたマルコと体が貫かれた手下の2人を見つめる。


「さて、どうするかな…」

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