真のはじまり
煙は完全に消え、マルコたちの前にはボロボロになっている状態のセオンが居た。
「な、なんで生きている…!!」
マルコが驚きながら言った。
手下の2人もまるで化け物見るかのように怯えていた。
「感謝するよ、マルコ。お前のおかげで大事な事を思い出したし、"魔法"にも目覚めたみたいだ…。」
(あの瞬間で魔法に目覚めたのか!? そんなのあるわけない…!!)
(隙を見て殺さないと…。)
「そ、そうか、魔法に目覚めたのか……!すごいな…!そうだ、レウシに癒してもらえよ!」
マルコは早口になりながら言った。
「なんで、そんな距離を置いてるんだ?」
一定の距離をずっと保っているマルコに問いかけた。
「今までずっと近くにいたお前が、急に距離を置くのはなぜだ……怯えてるのか?その距離じゃ、いつもみたいに俺を殴れないぞ…?」
マルコに対して威圧的な口調で言った。
それを聞いたマルコは少しイラついた様子で応えた。
「はっ…!!調子に乗るなよ!!雑魚が!!そんなボロボロの状態じゃ何もできないぞ!!」
マルコは怒りながらセオンに向かって走りだした。
右手には炎をだしていて、魔法を使って撃とうとしていた。
だが、セオンは何も恐れていなかった。
マルコの魔法の威力はたかが知れていて、魔力を纏った片手で防げると知っていたから。
少し遊んであげても良かったが、うるさくてただ不快でしかなかった。
早くこの世から消えてほしかった。
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【スキル:魔法奪取】
自身が殺した相手からランダムで1つ魔法を奪い取る。
■―奪取リスト―
・ 悪魔の炎
■使用:悪魔の炎
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頭の中にステータス画面みたいなものが表示されている。
なぜ、奪取したこともないのにあるのか分からないが、使ってみるか。
「死ね!セオン!『炎… 」
マルコが魔法を使う寸前、俺はより早く魔法を放った。
「"『悪魔の炎』"…」
その瞬間、手から威力の強い紫黒色の炎が燃え上がり、マルコに向かって猛スピードでむかった。
「…!!?」
セオンの魔法に驚愕したマルコは、使おうとしていた魔法を中断し、身をかわそうとした。
しかし、飛び退こうとした瞬間、片足の先に炎がかすかに触れた。だが、それを気にする余裕など、マルコにはなかった。
「マルコさん、大丈夫ですか!」
手下たちが心配して声をかけた。
「危ねぇ、いきなり、、そんな魔法使えるのかよ、何者だ…?」
「当たらなかったか、初めて使うから、コントロールが上手く出来なかったな…。」
でも、、、、
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・悪魔の炎
闇の力を持つ禁断の魔法。
この炎に触れた対象は焼き尽くされるまで消えない。
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「おい、マルコ・グリムウェル…ゴミはゴミらしく、燃え尽きて死ね……。」
そう言い放つと、マルコは怒りに満ちた表情になった。
「"なんだと…??!!!」
「マルコさんっ…!!!」
「足!!」
手下からそう言われ、足を見てみると、さっきかわした、炎が左足を燃やしていた。
「あっ、あっつい!!!」
「おい、ルキエ!!水魔法を俺の足に撃て!!」
マルコからそう言われルキエは
「わかりました!水の弾!!」
威力を弱めてマルコに撃った。
バシャッ!!っと足に当たって消えたかに思えた。
「よし…!、、、ん?」
一瞬消えたかに思えた、炎はまた燃えだした。
弱まるどころか、威力はどんどん増していき、上に登っていく。
「あつい!熱い!!クソッ!!セオンいい加減にしろ!!!」
「さっさと死んでくれよ。この世のために…」
マルコはそれを聞いて、殺意に溢れた表情でセオンに向かって走りだした。
「ふざけるな!!なんで俺がお前に殺されなくちゃいけないんだ!!!死ぬならお前も道連れだ!!!!セオン!!!」
炎は胸辺りまで登っている。
「『"セオーーーーーーーン"!!!!!!!』」
マルコの伸ばした手がセオンに届きそうだった。
たが、届く寸前でマルコの足が焼き焦げて灰になり崩れ落ちた。
「セオ…ン、、、」
みるみるうちにマルコの体が焼き焦げて灰になっていく。
「マルコさん!!」
「マルコさーん"…!!」
そんな声が微かに聞こえる中、炎は顔まで到達し、全焼し骨も残らず灰になった。
セオンはマルコの灰を見つめながら深いため息をついた。
「ほんと、無様だな…」
マルコが死に、邪魔な存在が消えたことで安心しながらも自身の力に少し恐怖もしていた。
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◇奪取◇
◆炎の矢
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殺したことで奪取したのか……。
スキルは生まれながらにして持っている者もいれば、 "特定の出来事"や"経験" を経て取得する者もいる。
前世の記憶を思い出すという出来事によって俺は取得したのだろう。
セオンは母の言葉を思い出す。
『セオンの正義を貫きなさい!!』
わかったよ、お母さん、この力を使って、お母さんと村のみんなを脅かす存在を消し去って、
幸せに暮らす。
ライトサイドを目指すという目的は変わらない。
前世みたいな人生は送らない、送らせない!!
邪魔するヤツらは殺す…!!
それが俺の"正義"であり、"復讐"だ…。