表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶の回帰 〜前世からの復讐者〜  作者: 儚威
第1部:セイクリッド学院編
3/19

1話

 僕はハルマベイルを後にし、ヴァルシア王国へと馬車で向かい、ようやく到着した。


「この4日間、本当にありがとうございました。」

「頑張れよ。」


 馬車から降りると、目の前には壮大な城がそびえ立ち、ヴァルシア王国の栄華を象徴していた。周りには立派な建物が並び、人々が賑わっていた。


「やっぱりすごいなー!」


 市場の通りに出ると、多くの人々が行き交い、活気に満ちていた。色とりどりの屋台が立ち並び、新鮮な食材や手工芸品が並んでいる。


「どれも美味しそうだな〜。」


 歩いていると、セイクリッド学院が見えてきた。門衛に招待状を見せると、すんなり入れた。


 広大な庭園を抜けて、本館に向かう途中、僕は考え事をしていた。


「ここに来るのは入学試験以来か…。お母さんも期待してたけど、簡単じゃないよな…。」


 突然、誰かと肩がぶつかった。


「おい、どこ見てんだよ!」


 声を荒げたのは、荒っぽい風貌の男だった。


「ご、ごめんなさい…!」


 男は僕を一瞥すると、腕を組んで言った。


「謝るくらいなら、最初から注意して歩けよ。」


 その瞬間、男の背後から声がかかる。


「マルコさんにぶつかっておいて、謝って済むわけねぇだろ!」


 その声に振り向くと、男の手下と思われる二人が顔を出した。


「マルコさんはグリムウェル家の末裔だぞ!分かってんのか!?」


 多くの生徒たちが通る中でその男の声が響く


「お前、、自由民だな…?」


 男の言葉に反応したのは僕だけではなかった。周りの生徒たちもじっと僕を見つめていた。すると、マルコが冷ややかな笑みを浮かべた。


「名前は?」


「セ…セオン・クレストです…。」


「出身は?」


「ハルマベイルという…」


「ハルマベイルか、聞いたことがないな。」


「どこの国に属している?」


「どこの国にも属していません…」


 その言葉に周りの空気が一気に凍りついた。


「自由民がこの神聖な場所に来るなんて、どういう了見だ?帰れ。」

 マルコは呆れた顔でこちらを見る


「え、でも…」


 僕の言葉はすぐにかき消された。周囲の生徒たちが僕を見て嘲笑うようにニヤニヤしているのが、痛いほど伝わってきた。


「なにやってんだよ!もうすぐ入学式だぞ!」


 その時、先生が現れたが、マルコの存在に気づいた瞬間、苦笑いしてさっさと去って行った。


「自由民の入学なんて認めてないって言ったはずだろ…」


 マルコの言葉に、僕はひとしきり動揺したが、何も言えなかった。


「とりあえず、土下座して謝れ。」


「え?」


「俺にぶつかったたんだ、それくらい当然だ…。」


 その言葉に、胸が苦しくなった。こんなことで土下座することになるなんて思ってもいなかったが、結局、彼の威圧に屈してしまった。


「うっ…!」


 その瞬間、激しい頭痛が走る。思わず顔を歪める。


「ん?なんだ、気持ち悪いな。」


 マルコたちは無視して歩き出し、他の生徒たちもその後に続いていった。


 僕はしばらくその場でうずくまり、立ち上がることができなかった。


 少し遅れて、さっきの先生が駆け寄ってきた。


「さっきはすまなかった…。あれには逆らえないんだ、グリムウェル家のことだからな。」


「いえ、気にしないでください。」


「ありがとう。君、名前は?」


「セオン・クレストです。」


「君があのセオン君か!噂は聞いている、入学試験で筆記試験満点、魔力量学年1位!期待してるよ!」


「筆記試験満点で魔力量学年1位!?」


「知らなかったのかい?合否の紙に詳細が載ってただろう?」


「嬉しさのあまり見てなかったな。」


「でも、僕は魔法が全く使えません。実技試験で0点でした。」


「君は魔法の本質を理解すれば使えるようになる。セイクリッド学院で学べば、君の潜在能力を引き出せるよ。」


 先生の言う通りだ。ここでなら、魔法が使えるようになるかもしれない。


「もしかしたら、スキルを取得するかもしれないし。」


「スキル…。」


 スキルは魔法と似ているが、より強力で貴重だ。ほとんどの人は持っておらず、生まれながらにして持っている者もいれば、“特定の出来事や経験” を経て取得する者もいる。昔いた勇者は仲間が魔族に殺されて、スキル「無限剣技インフィニティソードマスター」を取得したという。それから、勇者は無限の剣技を習得して魔王を倒したらしい。どうせ、僕なんかにスキルは取得できない。魔法が使えるようになるだけで充分だ…。


「もうそろそろ時間だな。これ、セオン君に必要な荷物!制服や寮の部屋の鍵、地図が入っている。更衣室で制服に着替えてから行くんだよ!紙には予定やクラスが書いてあるから、その指示に従って!また、どこかで!」


「はい、わかりました。」


 先生との話は終わり、僕は制服に着替えて入学式会場に向かった。

セオンは寮生活、ほとんどの人は家から通学する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ