初めてのダンジョン
俺たちが入ったダンジョンは「墓場の盗賊」という名のダンジョンで全5階層、EASY、NORMAL、HARDの3段階に分かれており、今回は適性レベルが合うEASYに入場 NORMALは20〜 HARDは28〜が適性のようだ
「ケー5、エンカウントは?」
「スケルトンだな、動きが遅いしHPが低いから簡単に倒せる あとはゾンビ、こいつはHPが高くてしぶといぞ、ボスはグールだ、ゾンビの上位だと考えてくれ ということでゾンビはミリアに任せた」
「聖属性のホーリーボールを覚えているから任せて」
ミリアの神官は回復と耐性付与、聖属性の魔法が使用可能でアンデッド相手なら強い 聖属性は普通のモンスターにはほとんどダメージが入らない
サブ職システムのおかげで不遇職No.1らしい
「ミロク、アルト、ミリア、俺の隊列だな」
「ケー5、後ろからミリアのスカートを覗くなよ」
「しねーよ、おい、アルトお前からも言ってやれ」
「ケー5の普段からの行ないが悪いと思う」
山本は普段から言わなくていい余計な一言が多い、クラスを凍りつかせるなんて日常茶飯事だからな
「ケー5くん、破廉恥はメだよ」
「そんなことしませんよ」
ミリアちゃんのメが可愛いらしくて俺も怒られたくなったことは黙っておこう
西洋の墓場のような暗い場所を歩いて進んだ
「ケー5、ダンジョンのマップは毎回変わる仕様なのか?」
「毎回変わるぞ、宝箱の場所も変わる、運が良ければ次の階層が目の前だったりするぞ ミロク、前方スケルトン3体」
「ちょっと行ってくる」
ミロクは斧を取り出して、スケルトンに接近し一振りで、スケルトン1体を倒し、残りの2体はケー5の矢が胸のコアのような部分に命中し、ドロップ品だけ残して消えていった。
「ダンジョンだと消えるのか」
「ダンジョン外でもモンスターはドロップ品を残して消えるが動物は死体が残るぞ」
「角ウサギは動物か」
「そういうことだ」
スケルトンのドロップ品はスケルトンの骨×3だけだった
「ラッキーだな、次の階層に行けるぞ」
下に降りる階段があった
「お墓に階段って、不自然だよね」
「現実なら不自然だけどゲームだからな」
「ミリア、これはゲームなんだから」
「おーい、行くぞー」
2階層に踏み入れた。雰囲気は1階層目と何も変わらない
「ゾンビは3階層目から出てくるからミリアはMP温存で」
「はーい、ケー5先生」
ミリアとケー5を先生呼びした、これ調子乗るな
「ケー5先生、俺も温存でいいすっか」
「お前は働けよ」
ダンジョンを散策していると宝箱を発見、中身はHP回復ポーション(小)ミリアのヒールの方が回復量は上だろう
「前方、スケルトン5体」
「俺が行く」
スケルトンたちが有効射程範囲に入ったため、『飛炎斬』を横薙ぎで発動、5体のスケルトンは斬られながら燃え、光になり、ドロップ品だけ残した
「スゲー」
「格好いい」
「バグ技?」
「このゲーム、スキルが進化したり、掛け合わせでスキルを覚えたりするんだよ、今のはファイアーボールに飛斬をぶつけた時に偶然発見して覚えたスキル 初期技の剣風を一定以上使うと飛斬に進化するんだよたぶん」
説明はしたが
「実験をするのはお前だけだぞ」
「スキルの掛け合わせ、面白そうね」
「私は尊敬しますよ」
スケルトンのドロップ品はスケルトンの骨×5だった
その後、もう一度戦闘を行ない、3階層への階段を見つけ3階層へ
「さっそく、お出ましだぞ ゾンビ3体」
「ようやく、私の出番 『ホーリーボール』」
ミリアの手から野球ボールサイズの光の玉がゾンビに命中、1撃で天に帰った
「ゾンビ、1撃かよ このダンジョン神官必須だな」
「早くね?俺のファイアーボール無茶苦茶遅いぞ」
「魔法の速度は属性によるが火より土の方が遅いぞ」
「土魔法、覚えてない」
俺とケー5が会話しているうちにミリアはゾンビを全て倒し終えた、ドロップ品は腐った肉 使い道がないため拾わなかった
「聖水って売ってたっけ?」
「確か、教会に売っていたと思うけど」
「聖水を何に使うんだ?」
「ラノベとかでよくあるだろ、武器に聖水を振り掛ければアンデッド相手に通用するとか」
「あ〜あるな」
「塩の方がよくない?」
「ミロクちゃん、それは幽霊相手だよ」
今度はゾンビが2体現れた
「よし『ファイアーボール』」
俺のファイアーボールは溜めが長く、バレーボールくらいの大きさの火の玉がゆっくりとゾンビに近づき、爆発、火柱が出来た
「お、レベル上がった」
「お前、なんか溜めるスキルあるか?」
「居合いくらいだぞ」
「どうやって溜めるの?」
「感覚的なんだけど、こう飛んでいくのを無理矢理抑えつけるような感じ?」
「ほんと、バランスブレイカーね」
ドロップ品は無視して先に進み、宝箱を発見した。
「『盗賊の七つ道具』だって」
「どこのカウンター罠カードだよ」
「鍵付きの宝箱、家の鍵、金庫の鍵を開ける便利アイテムだってよ 回数なし」
俺のツッコミは完全にスルーされた
「人助けに使えるなら私が持っておくよ」
「ミリアなら悪用しないから賛成だ」
「ケー5に渡すよりかはね」
「そんなことしねーよ、こう見えてチキンなんだぜ」
第4階層へ進んだ
「ここからはスケルトンとゾンビの混成が集団で現れるからな」
「ケー5先生、やってみたいことがあります。」
「何をやるか分からないがやってみろ」
「うっす」
前方からゾンビが3体、後方からスケルトン5体、はさみ撃ちの形で現れた
ミリアはホーリーボールを溜めて放つがバレーボールくらいの大きさで速度が遅い、そのホーリーボールを上から振り下ろした飛斬をぶつけるとホーリーボールが真っ二つに分かれ飛斬は真ん中のゾンビを真っ二つにし、左右のゾンビは二つに割れたホーリーボールが命中し倒してしまった。
「こっちは終わったぞ」
「2人ともどうしたの?」
「なんていうか」
「初めての共同作業?」
ホーリーボールと飛斬の話をすると結局俺がおかしいって話になった。
気を取り直して進むと第5階層の階段を見つけた。
「この下がボスだ、グールの状態異常が厄介なんだよ」
「グールだけか?」
「EASYはな、NORMALならゾンビが追加、HARDならグール3体相手になる」
「ミロクがタンク、俺が中距離、ミリアとケー5が遠距離で仕掛ける感じか」
獣人戦士のミロクとヒューマン剣士の俺だと速度は大差ないはずだ、サブ職の補正でミロクの方が上になる計算
「分かった、ミリアバフをお願い」
「みんなに掛けるよ」
状態異常耐性と1度だけ状態異常無効が全員に付与された
いざ第5階層
階段を降りた先に大きな扉があり、扉を開けるとゾンビよりも一回り大きく腐敗臭が強烈なグールがいた
「臭いがキツイな」
「硫黄の方がまだマシだ」
「さっさと倒しましょう」
「勝ったら打ち上げだね」
ミロクはグールに接近し、ヒット&アウェイ 斧で斬りつけ、すぐに離れる ミロクが離れた所を確認してからケー5の矢とミリアのホーリーボールが命中する
ホーリーボールだけでグールのHPがかなり減り、俺の飛炎斬が命中、グールが燃焼状態になり、10秒毎にスリップダメージが入る
グールのHPが半分切った時、グールに変化が起きた
腕の長さが伸び、図体も大きくなった
「ケー5」
「こいつは裏ボスかもしれん」
「はぁ?」
「裏ボスだ、どこのダンジョンボスにもいるHPが半分切ったら変化するやつ 通常の個体よりも強いがドロップは美味いぞ」
腕が長くなったせいで攻撃範囲が広がり、ミロクのヒット&アウェイが通用しなくなったが、ヘイトは今だミロクに集中している
「ミリア、ホーリーボール行けるか」
「大丈夫だよ」
ミリアはバレーボールほどの大きさまでホーリーボールを溜めてから撃ち、俺は飛斬を振り下ろしと横薙ぎで放ちホーリーボールに命中、ホーリーボールは4等分に分かれ 全弾グールに命中しHPがなくなった
グールのドロップ品と金色の宝箱が2つが現れた
グールのドロップ品、『彷徨う霊魂の塊』はネクロマンサーが使うらしいが世界中で1人だけらしい
金の宝箱からは
頭装備 白のサークレット:神官女性限定装備 回復量上昇、MP消費量減少 レアリティSR
顔装備 盗賊のバンダナ:共通 付けていると盗賊に間違えられる NPCの好感度が下がる レアリティノーマル
「白のサークレットはミリア行きだな」
「バンダナはゴミだったな」
「でもな、盗賊の討伐クエストとかで使えそうなんだよな」
「成りすまして、盗賊の拠点で暴れる感じか?」
「そういうこと」
初めてのダンジョンでレベルが上がった
アルト:レベル19
ケー5:レベル20
ミリア:レベル19
ミロク:レベル20
ダンジョンを出た後、3人とフレンド交換をした。
「そういえば、ゴールデンウィーク最終日にツヴァイでレイドイベントがあるみたいだぞ」
「参加条件は?」
「レベル25〜」
今年のゴールデンウィークは34567と5日間あり、今のペースだと最終日までに間に合うだろう
「俺、明日は入れないぞ」
「私もダメね」
「私は大丈夫だよ」
「明日はミリアとレベル上げだな」
「それとツヴァイにはまだ行くなよ、初回は門番モンスターを倒さないと入れない仕様だからな」
「分かった」
アインまで戻り、それぞれログアウトして行く
「明日、13時にここで待ち合わせでいい?」
「いいぞ、連絡先知らなかったな」
「そうだね〜」
ミリアはログアウトした。俺も今日はログアウトし寝た