ミリアと夏祭り
土曜日、夕方頃
錬治はミリアの家に自転車で向かっていた。
ミリアの家から高校までは電車通学が必要な距離で自転車でも行ける距離だがかなり距離がある
草薙家からミリアの家の距離は大体高校に行くくらいの距離で難所は道中に登り坂があるくらいだ
錬治はミリアの家に到着し、インターホンを鳴らす インターホンにはカメラが付いており、向こうからはこちらを見ることができる 草薙家のインターホンはカメラはない
「レンくん、鍵開けるから家の中で待ってて」
玄関の鍵が開く音がした、錬治は家の前に自転車を駐めて門を開けて入り、玄関の扉を開ける
「お邪魔しま~す。」
玄関を開けると柑橘系の匂いがする 玄関に靴は置いてなく、下駄箱に収納されているのだろう 清潔感がある家なのが分かった
玄関の上がり框、座って靴はく所で座って待っていると
「レンくん、リビングに上がっていいのに」
2階からピンク色の浴衣を着た、ミリアさんが降りてきた。
「なんか、見違えるな」
「それって、褒めてるの?」
「大人っぽく見えるってことだぞ」
「ありがとう」
ミリアの仕度が終わり、家を出る
「祭り会場は駅前でいいんだよな」
「うん、歩いて行ける距離だよ、自転車は門の中に入れていいよ」
「了解」
お言葉に甘えて自転車を家の門の中に入れてから歩いて駅前に向かう 15分くらいの距離だ
「レンくん、明日イベントだけど大丈夫?」
「大丈夫だぞ、孤児たちが就職したから新しい孤児たちを引き入れるから手伝って欲しいって」
「ログインしたらミリーゼちゃんに言っておくね、みんな就職しちゃたのか」
「ほとんどが王宮仕えだから城に行ったら会えるぞ」
「それならよかった、教えることは全部教えれたと思うけどちょっと心配なんだよ」
今回、俺に弟子がいなかったがもしいたとして、就職して離れて行くとどんな気持ちになるのだろうか
ミリアさんと夏休み中の話とかしながら祭り会場へ到着した。
「多いな」
「うん、逸れそう」
ミリアさんと目が合う、俺から何かを言うのを待っている気がする。
「逸れないように手でも繋ぐか」
「うん」
普通に手を繋いで屋台を見て回る
俺の場合は祭りに行くとまず1周する。
屋台の配置、各屋台の値段の比較、りんご飴屋の果物の種類やかき氷の屋台の蜜の種類の把握など1周目で覚える
2周目で食べたい物を買い、3周目は気分しだい そんな周り方をするのだがそれは俺が1人で祭りに来たときの話だ
今回はミリアさんに従おう
「レンくん、チョコバナナ売ってるよ」
「食べるの?」
「うーん、隣の冷やしパインも気になる」
「チョコが溶けて浴衣に付いたら大変だから冷やしパインじゃないか」
「じゃあ、冷やしパインにするね」
女の子がチョコバナナを食べてる想像をしてみろ、別の意味で興奮しそう そんなことで新たな扉を開けたくない
「ミリアさん、ぶどう飴買うから待ってて」
お互い食べたい物を買いながらお祭りを楽しんだ
「ミリアに草薙じゃない」
「恵ちゃんだ〜」
「水谷か、奇遇だな」
プール以降会っていない水谷恵と遭遇した。
「水谷は1人か?」
「1番上の兄に誘われて来たのよ」
水谷の1番上の兄ってFROをしているよな プレイヤーネームは知らないけど
「恵、友達か?」
爽やかそうな男性がやって来た、身長は俺と同じくらいで優しいそうな雰囲気を纏っている感じがした
「大志兄さん、クラスメイトよ」
「恵の兄の大志です。妹がいつもお世話になってます」
「とんでもない、恵さんにはいつもお世話になってます。草薙錬治です。」
「同級生の月岡ミリアです。」
大志、フレンドのモンクもタイシだったよな、繋がったか?
「恵さんにはFROでもお世話になってますから」
「指揮官としては立派だよね、恵ちゃん」
「恵はFROでも頑張ってるんだ〜面接は適当なのに」
「うっ」
「大志さん、もしかしてメイン職モンクでタイシだったりしませんか?」
「当たってるよ、草薙くんはもしかして魔剣士だったり?」
「正解ですよ、フレンドとリアルで会えるなんて恵さんのおかげですな」
「恵は当りは強いけど本当は優しい子だからね」
水谷を見ると顔を真っ赤にしている、そろそろ引き際だな
「俺たちまだ祭りを楽しむんで」
「恵ちゃん、FROでね」
「デートの邪魔しちゃたな、イベント楽しみしてるよ」
「草薙、〆る」
ミリアの手を引っ張って緊急離脱をする。
「レンくん、恵ちゃんのお兄さんがFROをしてたの知ってた?」
「山本辺りから聞いた気がするけど、FROでタイシって名前でリアルでも雰囲気が同じだったから正解した感じかな」
たこ焼きを食べて、瓶ラムネを飲んだ ミリアさんがフランクフルトを食べたいと言い出したから全力で阻止した。
女の子は長くて太い物好きすぎだろ 怖いわ
お祭りを楽しんだ後、ミリアさんの家に帰った。
「レンくん、今日はありがとう」
「俺も楽しかったよ、おやすみ」
「おやすみなさい」
自転車に乗って家に帰った。今日はログインせずに寝る選択をした錬治だった。




