魔に堕ちし精霊1
ミリーゼ視点
いつものように別荘で私と婚約者の彼のお部屋で彼を待っていると彼がやって来た、いつもは服を脱いで着替え中を装ったりして待っているけど、今日は普通に
「おはようございますわ、アルト様」
「ミリーゼ、おはよう そろそろ出発だろ」
「そうでした。出発前にアルト様のお顔を見れて良かったですわ」
「ミリーゼ、これを」
彼から渡されたのは特別な力を持った首から掛けれるロザリオだった
「『身代わりのロザリオ』、1度だけ、大ダメージを代わりに受けてくれるアイテムだから」
彼ら天上人は死んでも蘇ることができるが私たち現地人は死んでしまっては蘇ることができない、死者蘇生はこの国では禁呪扱いで数百年前まで使うことが出来る者がいたが現在では使える人間はおろか、死者蘇生の話し自体がタブーになっている
「ありがとうございますわ、無事に帰って来ます。」
「持ってるよ」
彼はロザリオを着けてくれた、時々見せる紳士らしい振る舞いがとても素敵だ
彼と私の部屋を出ると堕天使と天使が待っていた。
「クロセル、クロエル、今日はよろしくお願いしますね」
「ミリーゼはマスターの大切な方ですし、マスターからの命令ですので」
堕天使のクロセルは彼がテイムした堕天使でクロセルも彼の事が好き
「ミリーゼ、頑張ろうね」
元気な天使はクロエル、彼がテイムした天使でこの別荘に封じられていた、クロセルの妹で彼女も彼が好き
私、ミリーゼには恋のライバルが多いのです。
クロセルとクロエルを引き連れて1階へ行くと、彼の契約したドラゴンと私のテイムしたモンスターたちが遊んでおり、彼の友人たちも集まっていた。
「ブラン、お留守番をお願いしますね」
「クゥ~ン」
悲しい鳴き声をする。でも今回はオスであるブランを連れていけないから仕方がない
「ミリーゼちゃん、今日は頑張ろうね」
話し掛けてくれたのは彼の友人で『聖女』のミリアさん、彼女もライバルの1人だ
「みんな、揃ったわね 馬車で行くわ」
ミロクさんの指示にしたがい馬車に乗り込む、馬車を引くのは馬ではなく、ミロクさんのテイムモンスターの大福さん、ジャイアントスノーラビットでとても大きくて毛がもふもふ
「ミリーゼさん、お兄ちゃんがいつもお世話になっています。」
「私の方こそいつもアルト様に助けられてばかりなので」
彼の妹君のレイさんに話し掛けられた、彼女もライバル?なのか?この国では近親婚が認められているからライバルだろう
「ミリーゼ、特訓の成果を見せる時だよ」
「フィオさんとミリアさんのおかげで上達致しました。とても楽しかった特訓でしたわ」
彼の友人のフィオさんはエルフでとても背が小さい、魔法の腕はとても尊敬するほど凄い
馬車に揺られて目的地に到着するとすでに女性たちが集まっていた。
「あ、姫様だ」
「姫様〜」
私に声を掛けてくれる天上人の方もいるので笑顔で手を振って答える
「はい、注目 今回の相手の情報が余り無いから前衛は水着着用、水中戦の事も考えて『エラコンプ』渡しておくわ」
ミロクさんが全体を指揮っている。姉御と呼ばれて慕われているので納得、私に指揮は無理ですよ
「バフは私に任せて『アイドル』のメロディよ」
昨日、女子会で歌っていたメロディさんだ、その前にも会っている。歌がとても上手な印象でした。
「遊撃は私がやる『魔槍士』のアナスタシア」
「『狂戦士』のミイナです。鬼人族です。」
鬼人族は外見が悪魔と間違われて迫害され、数を減らしていなくなったと言われている。幻の種族だ 力がとても強いと書かれていた。この間、お会いした時は外套を深く被っていて見えなかった。
色々と話が終わり、全体の半分が水着になった。
「ミリーゼ、着替えなくて良かったね」
「はい、服を脱がないと行けないので時間が掛りますから」
フィオさんとお話をしていると時間が迫って来た。周りの雰囲気や場の空気が変わった。
私たちがいた湖への入口の森から気がつくと湖の畔に転移していた。
湖からは禍々しいオーラを纏った巨大な上半身が女性の姿をした物が姿を現した。
レイドボス『魔に堕ちし精霊』との戦いの火蓋を切って落とされた。




