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約千文字の三題噺

花火な缶コーヒー

「どうしたもんかのう」


 とある町のとある民家でお爺さん達のため息が聞こえます。


 どうしたというのでしょう?


「やっぱり夏祭りに花火がないのは寂しいべ」

「それでもできないもんはは仕方ないべ」

「まさか花火師が全員ギックリ腰になるとはのう」


 どうやらみんなが楽しみにしていた花火ができなくなってしまい、困っているようです。


 誰もが諦めるしかないと思ったその時です。


「話は聞かせてもらった!」

「慶太郎⁉︎どうしてここに」


 やってきたのは町長の息子で科学者の慶太郎です。


「夏祭りに花火がねぇのは寂しくて仕方がねぇ。だから親父、ここは一つ俺に任せてくれ」


 それを聞いて町長達は心配になりました。


 慶太郎さんは天才と謳われる程に発明の腕は確かなのですが、いつもおかしなものしか作らないからです。


「心配すんな。誰も悲しませたりはしねーよ」






 そして夏祭り当日。


 いよいよ祭りも終わりが近付いてきました。


 予定ではそろそろ花火の時間です。


 慶太郎さんが花火の設置場所までやってきました。


 けれども彼が持ってきたのは缶コーヒーと自転車の空気入れのような変わった道具です。花火はどうするつもりなのでしょう?


「よし、そろそろ時間だな」


 そう呟くと、何と慶太郎さんは空気入れのチューブの先端を缶の横に突き刺し、シュコシュコとタイヤに空気を入れるかのように取っ手を上下に動かし始めます。


 するとどうしたことでしょう。缶がブクブクと音を立てながら膨らみ始めたではありませんか。


シュコシュコシュコ


ブクブクブク


 缶はどんどんどんどん膨らんでいき、次第には慶太郎さんの倍以上の大きさになりました。


「よし、もういいだろう」


 慶太郎さんは缶から離れてリモコンのボタンをピッと押します。


 あらかじめ缶の上部に取り付けられた小さな装置が作動してプルタブがチャカッと勢いよく上に引き上げられます。


 ヒュン!


 あっ!眩しく光る小さな何かが真っ直ぐ上へ上へと猛スピードで飛び出していきます。


 ヒュー…パンッ!


 花火です。夜空にとてもカラフルな花火が現れました。


「おおっ!」


 皆驚きながらその美しさに目を輝かせていました。


 それからも次から次へと花火が。


 どれもとても綺麗です。


「コーヒー花火化装置、いいアイデアだったろ?」


 翌日


「いっけねぇ、忘れてた!」


 地面には大量のコーヒーのシミが。


 どこもかしこもコーヒーの臭いだらけです。


 慶太郎さんは大慌てで地面の臭いを消しにかかりましたとさ。


 どっとはらい。

めでたしめでたし以外にもどんとはれ、どんどはれ、とっぴんぱらりのぷぅ…調べれば調べるほどいろんな言葉が出てきて面白かったです。

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