第四話 : カードを確認
異世界へ降り立ったダイスケ。
他の子たちのことが気がかりだが、まずは、スキルを確認した。
デッキを、確認しよう。
カードデッキの中に何があるか。それ次第でだいぶ変わってくると思った。
……が、デッキのカードを確認してすぐに、表情が曇っていくのが分かった。
「なんだこれは……? ここ、森の中だぞ? 火の魔法ばっかじゃねぇか……」
※※※
○デッキ内容
・土地 : 18枚
・荒野×8
・砂漠×6
・砂漠のオアシス×4
・モンスター : 9枚
・土のゴーレム×3
・石のゴーレム×3
・山のゴーレム×1
・砂の巨人×1
・遊戯神ダイスのアバター×1
・攻撃/補助 : 20枚
・炎の矢×3
・雷の矢×2
・火弾連射×2
・火炎放射×2
・炎の嵐×2
・落雷×3
・砂地獄×3
・砂嵐×2
・滅びの炎×1
・秘宝 : 3枚
・落とし穴×1
・水筒×1
・魔法の地図×1
※※※
火力優先しすぎだろ! 攻撃カードばかりで領域カードとかないし!
そもそも、俺が組んだデッキじゃないし!
……いや、あった。今俺が求めるものはちゃんとあった。
『魔法の地図』。
このカードは、手札を何枚でも持てるようになるカードだが、フレーバーテキストには、『欲しいと思うものが表示される魔法の地図~(以下略)』などと書かれているから、もしかしたら……。
……で、どうやって使うの?
と、とりあえずやってみるか。
「ゲームスタート」
カードゲームをプレイする意思をもって、声に出してみる。
すると、手に持ったデッキが炎のような赤いオーラと水のような青いオーラを纏い、胸の高さくらいに浮かび上がった。
ここまでくれば、ウィズをプレイしてきたものとしてなんとなく分かる。
「ターン開始」
カードデッキに左手をかざせば、デッキから初期手札の6枚が排出される。
それを左手で受け取り、
「ドロー」
今度は右手でデッキに触れる。
そこから溢れ出る何かを感覚的に指に挟めば、赤色のオーラがカードへと変わった。
「……よし。引きはいいな」
手札に土地カードはない。しかし、デッキ内の土地の枚数は、MPに反映されている。あとは、使う意思1つ。
「『土のゴーレム』を1体召喚。そして、『魔法の地図』を場に出す」
地面に赤色の魔方陣が展開され、中央から炎のように舞う光が発生する。その光がやんだあと、魔方陣の中央に土でできた3メートル近いヒトガタが直立していた。
これが、『土のゴーレム』。
思った以上の迫力に、唾を飲み込む。
……あ、『魔法の地図』は、いつの間にか視界の左端くらいのところで巻物の状態で浮かんでいた。
初めての召喚に、一人興奮する俺に気を遣ったのだろうか? 光も音も気づかなかった。なんかごめん。
召喚を済ませて一息つくと、わずかな疲労を感じる。これが、MPを消費したということだろうか。
「『魔法の地図』、俺以外のプレイヤーを表示してくれ。頼む」
カードの効果としては、人探しなんてできないはずだ。しかし、これしか頼るものがない。
祈るような気持ちで巻物を開けば、一瞬の光の後に地図上に光点が表示された。
あ、地図の左上には方角の矢印が、左下には縮尺の変更と光点の説明が。
縮尺は、10km、5km、1km。
光点は、青がplayer……プレイヤーのことか。赤がenemy……たぶん敵だな。黄色がtreasure……トレジャー? お宝のことか?
現在の表示は10km。範囲が広くて見づらいな……。5kmをタップ。お、ちょうどいいくらいになった。
青の光点を探してみれば、だいたい一直線に並んでいて、俺が一番端のようだった。近い順に行けば良さそうだから、なんとかなりそうだ。
「『魔法の地図』があって助かったな。下手すると、進む方向を間違えて誰にも会えないってシャレにならない展開もあり得たか」
そばに控える『土のゴーレム』を見上げ、
「今は、お前が頼りだ。頼んだぞ、『土のゴーレム』」
ゴーレムの顔と思われる部分が上下したのを見て、慎重に、しかし、手遅れにならないようにと走り出した。
※カード概要
※カード名 : 消費属性エネルギー/攻撃力/耐久力
: レアリティ
: カードの種類
: 種族や所属勢力
: 所持スキル/特殊能力
※使用したカード
・土のゴーレム : 火1/1/1
: ☆
: モンスター
: ゴーレム
: 防御
・魔法の地図 : 1
: ☆☆☆
: 秘宝
: 手札の制限がなくなる。