第十七話:勝利
神の力を借りて、3人と一柱で力を合わせて、ついに勝利を掴んだ。
「俺の、俺たちの勝ちだっ!」
拳を突き上げ、勝利を宣言する。
この様子を見ているであろう、くそったれな神々に届けとばかりに。
『…………見事だ、少年』
「だから、少年はやめてくれって」
彼が最初から全力なら、きっと。
殴り飛ばしたりせず連撃を撃ち込んできたなら、きっと。
……最初から拘束してきたら、きっと。
俺たちは、なす術なく蹂躙されていただろうから。
だから俺は、彼の優しさに、感謝と敬意を抱かずにはいられない。
『……ふふ……。私にしてみれば、きみたち3人とも子どもと変わらないさ……』
倒れたまま、満足そうに言う彼は、言い終えると、ごほっ、と湿った咳を1つした。
……それはまるで、血を吐いたような、聞いた者の心をざわつかせる咳だった。
『やあやあ、おつかれさん。負けた気分はどうだい?』
そんな彼に対して、変わらず明るく話しかけるダイス。何かハラハラしてしまう。
『これは、遊戯神ダイス様。このような無様を晒し、また、挨拶が遅れましたこと、誠に……』
『やめやめ、そういうのよりさ、あまり時間ないんだから、言いたいことを言いなよ。ボクのことは後でいいからさ』
へらへら笑いながら、手を振るダイス。それより、時間がない? まさかそれは……。
『ダイスケくん』
「は、はい。なんでしょう?」
改まった様子の彼に、ひざをついて寝転がりたい気持ちを抑えて、背筋を伸ばし目を合わせる。
『きみは、きみたちは、私の同僚たる腐敗神ネクロビュの眷属をあと6柱討ち倒さなくてはならない。そうやってこの世界を救わなければ、きみたちは先に進むことはできないのだ』
これほどの、死を感じ生を諦めたほどの激闘を、あと6度。
……無意識に、唾を飲み込んだ。
『これからも、決して折れることなく力を合わせて戦い抜くのだ』
「……はい」
マリとレイが寄り添う。
ごく自然に、2人の手を握った。
『その力は、きみ一人のものではない。決して1人で戦おうとしないことだ。その子たちは、きみが1人で守ってあげなければならないほど弱くはない』
「はい。2人の力がなければ、そして、ダイスの助力がなければ、俺は間違いなく負けていました」
マリとレイが、静かに肩を寄せてくる。
両手から伝わる2人の温かさに、胸まで温かくなりそうだ。
『あと、3人か。早めに見つけてあげなさい。あと1人は……。いずれ、会えるだろう』
「はい。……はい」
『では、名残惜しいがそろそろお別れだ……。心強きものたちに、大いなる祝福あらんことを』
どこまでも優しかった彼は、そう言って、消えてしまった。
そして、彼が横たわっていたところには、闇色に、ドクロの印章のカードデッキが残されていた。
こんなときに、と、腹立たしく思い。しかしこれで、彼の意思と共に進むことができると、このスキル『カードゲーム』に感謝した。
『ありがとう、ございました……っ!!』
「「ありがとうございました!」」
自分自身を踏み台にしてまで、他人のことを思える者が、はたして、どれほどいるのだろう?
最初に彼と会えた幸運に、
強敵と戦う経験を積ませてくれた彼に、
言葉に尽くせないほどの感謝を。
○カードデッキを1つ手に入れました。
○神っションコンプリート
・1日生存する。
・『購入』を使用し、カードパックを購入する。
☆カードデッキを構築する。
・報酬 : レアカード入手
・内容 : 魔力譲渡×1
☆カードデッキを1回リセットする。
・報酬 : レアカード入手
・内容 : 不死鳥フェニックス×1
☆邪神の眷属を討伐する。
・報酬 : サブデッキの解放
・内容 : サブデッキの解放1枠
・かみんぐすーん♪
・入手したカード
・魔力譲渡 : 水1X
: ☆☆☆
: 補助
: 対象のプレイヤーは、Xを支払った分MPが回復する。
: Xは無属性エネルギーでは支払うことができない
・不死鳥フェニックス : 火火光1/2/4
: ☆☆☆☆
: モンスター
: 飛行、先制攻撃
: このカードは無効化されない
: このモンスターが墓地に置かれる際、自陣に戻してもよい
: このモンスターが魔法や特殊能力の影響を受けるたび、自プレイヤーは1LP回復