第十四話:一気呵成(いっきかせい)
見た目はともかく心根は優しい彼との戦いは避けられない。
負けられない戦いが始まった。
「推して参ります」
静かなひと言の後、駆け出すレイ。
一般人の俺からはすさまじい速さに思えるが、それでも『彼』は動揺を見せず、
『ふむ、これはどうだ?』
ひと言呟き片手を振る。
彼の前に4つの魔法陣。そこから現れたのは、
※
・飛び回るインプ : 闇1/1/1
: ☆
: モンスター
: 悪魔、インプ
: 飛行
※
紫色の体とコウモリのような羽、先端が矢じりのような尾を持つ小悪魔、インプが4体。
レイを迎撃するべく、空から襲いかかるが、
「3つは任せろ。『火弾連射』」
※
・火弾連射 : 火2
: ☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスターに、3ダメージを振り分ける。
※
3体のインプに1ダメージずつ振り分けるつもりで撃てば、3つの火弾が3体のインプを焼き尽くした。
「はぁっ!」
残りの1体は、レイの持つ氷の槍で貫かれ、一瞬で氷漬けになったあと、砕けて消滅した。
『ふむ、ならば、これはどうだ?』
彼の前に、2つの紫色の大きな魔法陣。
※
・レッサーデーモン : 闇2/2/2
: ☆☆
: モンスター
: 悪魔
: 貫通
※
※
・アンデッドオーガ : 闇闇2/2/2
: ☆☆
: モンスター
: オーガ、ゾンビ
: 貫通、再生(闇1)
※
今度は、山羊頭の巨体と鬼のゾンビだった。
「『天使の弓兵』、レッサーデーモンを攻撃。『落雷』」
※
・落雷 : 火1
: ☆
: 攻撃
: 対象のモンスター1体に2ダメージ。別の対象のモンスター1体に、1ダメージ。
※
『落雷』でアンデッドオーガを撃破し、その余波と『天使の弓兵』の撃った矢とで、レッサーデーモンも撃破した。
もう、道を遮るものはなく、水の剣と氷の槍による一撃を撃ち込むレイ。
??? : LP39/40 → 37/40
なにか情報は見えないものかと、ずっと彼を見ていたが、ここで初めて彼のライフが表示された。
その数値は、俺たちの倍。
1減っているのは、氷の槍でインプを倒した時の追加効果だろうか。
『むっ? 防いだと思ったが……。剣術より、その武器か?』
彼は両手を使い防御したようだが、ダメージが通ったのは感じたのだろうか。少し、表情が曇っていた。しかし、まだまだ余裕はありそうで、
『ぬんっ!』
気合いと共に腕を横薙ぎに振るう。
その一撃は身を低くして躱すレイ。しかし、直後に蹴りを受けるが、無理な姿勢から後ろに飛びつつ、水の剣と氷の槍をクロスして防御していた。
レイ : LP20/20 → 18/20
??? : LP37/40 → 36/40
「マリ、モンスターカードを引いたら召喚して。レイ、武器引いたら俺に。『石のゴーレム』召喚! 突撃!」
※
・石のゴーレム : 火2/2/2
: ☆
: モンスター
: ゴーレム
: 防御
※
赤い魔法陣から燃え上がる炎のオーラが生まれ、出てきたのは、大きな石が集まってできた不細工なヒトガタ。しかし、その大きさは5メートル級。大人の背丈の3倍ほどになる巨体だ。
俺の命令に従い、両腕を振り上げて地面を揺るがし突撃する石のゴーレム。
『む? なかなか大きいな……。ならば』
ゴーレムの存在感を無視できない彼は、左手をゴーレムに向けて魔法を放った。
『これでどうだ?』
※
・闇弾連射 : 闇2
: ☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスターに、3ダメージを振り分ける。
※
彼の左手に展開された魔法陣から、10を越す闇色の魔力弾が発射される。それらを、歩みを止めずに両腕を盾にして防ぎきるゴーレム。
『ふむ、さすがに強い。ならばこうだ』
今度は右手をゴーレムに向けて魔法陣を展開。闇色の槍が生み出される。そして、
『ぬぅんっ!』
生み出された槍を掴み、大きく振りかぶり、気迫と共に投擲した。
※
・闇槍投擲 : 闇闇
: ☆☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスターに、3ダメージを与える。
※
ゴーレムの持つ『防御』のスキルが発動して軽減されていても、耐久値を上回るダメージを受けてしまえば、さすがに撃破されていた。
……だが、俺が接近する時間は稼げた。
レイの援護を受けた俺と、その俺のすぐ上を飛ぶ2体の天使と共に、彼へと斬りかかった。
※
・天使の尖兵 : 光1/1/1
: ☆
: モンスター
: 天使、兵士
: 飛行
※
※
・天使の槍兵 : 光1/1/1
: ☆
: モンスター
: 天使、兵士
: 飛行、先制攻撃
※
※
・氷の剣 : 水水
: ☆☆
: 装備
: +1/+0
: 『戦闘』でモンスターにダメージを与える度、敵プレイヤーに1ダメージ。
※
??? : LP36/40 → 33/40
さらに、彼の死角から斬り込んだレイの一撃と、『天使の弓兵』の放つ矢による追撃で、さらにダメージを重ねた。
??? : LP33/40 → 30/40
『やるな、少年。しかし、私を倒すにはまだまだだぞ!』
彼からの反撃で、2体の天使は一撃で倒された。だが、
「これでも大人だよ。少年扱いはやめてくれ。『炎の矢』『雷の矢』『火弾連射』、もう一丁!」
・炎の矢 : 火
: ☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスター1体に、2ダメージ
・雷の矢 : 火
: ☆
: 攻撃
: 対象のモンスター1体に1ダメージ+『麻痺1』付与。
・火弾連射 : 火2
: ☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスターに、3ダメージを振り分ける。
??? : LP30/40 → 23/40
現在の手札を全部使いきる猛攻に加えて、
「はぁっ!」
気合いのこもったレイの追撃が加わり、一気に半分近くまでのダメージを彼に与えることができた。
??? : LP23/40 → 21/40
……そのせいだろうか?
いけるか? と、そう、思ってしまった。
・使用したカード
・炎の矢 : 火
: ☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスター1体に、2ダメージ
・雷の矢 : 火
: ☆
: 攻撃
: 対象のモンスター1体に1ダメージ+『麻痺1』付与。
・火弾連射 : 火2
: ☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスターに、3ダメージを振り分ける。
・落雷 : 火1
: ☆
: 攻撃
: 対象のモンスター1体に2ダメージ。別の対象のモンスター1体に、1ダメージ。
・氷の剣 : 水水
: ☆☆
: 装備
: +1/+0
: 『戦闘』でモンスターにダメージを与える度、敵プレイヤーに1ダメージ。
・天使の尖兵 : 光1/1/1
: ☆
: モンスター
: 天使、兵士
: 飛行
・天使の槍兵 : 光1/1/1
: ☆
: モンスター
: 天使、兵士
: 飛行、先制攻撃
・飛び回るインプ : 闇1/1/1
: ☆
: モンスター
: 悪魔、インプ
: 飛行
・レッサーデーモン : 闇2/2/2
: ☆☆
: モンスター
: 悪魔
: 貫通
・アンデッドオーガ : 闇闇2/2/2
: ☆☆
: モンスター
: オーガ、ゾンビ
: 貫通、再生(闇1)
・闇弾連射 : 闇2
: ☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスターに、3ダメージを振り分ける。
・闇槍投擲 : 闇闇
: ☆☆
: 攻撃
: 対象のプレイヤーかモンスターに、3ダメージを与える。
※氷の槍の追加効果
・氷の槍 : 水水
: ☆☆
: 装備
: +1/+0
: 先制攻撃
: 『戦闘』でモンスターにダメージを与える度、敵プレイヤーに1ダメージ。
※十三話時点 → 十四話
ダイスケ : MP34/36 → MP21/36
マリ : MP32/36 → MP28/36
レイ : MP33/36 → MP31/36
??? : LP21/40 MP256+/256+