第十一話:抜刀
レイのスキルを確認したダイスケは、レイのLPが減っていることに驚いた。
色々確認しながら、しばし、和やかな時間を過ごす。
「じゃあレイ、スキル『カードゲーム』を使ってみようか。それがどういうものかは、意識してみると分かると思うから」
「…………はい。たしかに、分かります」
しばし目を閉じていたレイは、スキル『カードゲーム』の感覚を探っていたようだ。
ゆっくりと目を開けたあと、左手を前に伸ばし、
「抜刀」
レイの足元に青色の魔法陣が描かれ、回転する魔法陣から渦潮のような水のオーラがレイの周囲を舞い、霧のように消えたあとは、左手に滴型の水の紋章の刻まれたカードデッキが握られていた。
そして、右手でカードデッキに触れれば、鞘から刀を抜くようにカードを引いていた。
……うーん、マリの時も思ったけど、演出がめちゃくちゃカッコいいな……。
レイは髪が長い分、水のオーラの動きに合わせるように髪がなびいていて、見映えがさらに良くなっている気がした。
……俺のはどうだったんだろう?
「使い方は感覚で分かると思うけれど、試しになにか使ってみようか。手札を教えてくれるかい?」
「はい。『川魚』『遡上する鮭』『にわか雨』『濃霧』『水の鎖』『魚籠』の6枚です」
………………なんか、覚えがあるぞ? まさか、これも構築済みデッキか?
「あ、あの、なにかまずかったですか?」
まずいと言うか、雑魚いと言うか。
「魚、魚かあ……。うーん? 『びく』って言った?」
「あ、はい。魚のかごと書いて、魚籠です」
「うん、なら、『遡上する鮭』と『魚籠』を使ってみようか」
「分かりました。……いでよ、『遡上する鮭』、『魚籠』!」
※※※
・遡上する鮭 : 水1/0/1
: ☆☆
: モンスター
: 魚
: 遡上する鮭が場に出た際、カードを一枚引く。
・魚籠 : 水1
: ☆
: 秘宝
: (水1) 自陣の種族『魚』のカード1枚を『ゴミ箱』に配置。カードを1枚引く。このカードを『ゴミ箱』に配置。
※※※
……で、レイの目の前に青色の大きな水滴の形をしたオーラが落ちると、そこには……。
「あ、あの、ダイスケさん、これは……?」
びちびちと元気良く跳ねる鮭と、竹かなんかを編んで作られたかご……魚籠が、レイの足元にあった。
「……えっとな、『魚籠』のカードの効果を使ってみようか」
「……はい。えっと、『魚籠』、起動。」
びちびちと跳ねる鮭が大きく跳ねて、自分から魚籠の中に飛び込んで、魚籠がどこかへ消えてしまう。
結果的に、レイはMPを6と手札を2枚消費して、新たに手札を2枚手に入れることができた。
※使用したカード
・遡上する鮭 : 水1/0/1
: ☆☆
: モンスター
: 魚
: 遡上する鮭が場に出た際、カードを一枚引く。
・魚籠 : 水1
: ☆
: 秘宝
: (水1) 自陣の種族『魚』のカード1枚を『ゴミ箱』に配置。カードを1枚引く。このカードを『ゴミ箱』に配置。