表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/150

ペア決め

そんなこと……、そんなのって。

「……ルドフィルは、優しすぎるわ」

「そうかな。あの日君に貰った優しさに比べたら、なんてことないよ」


 ルドフィルは、そう言うけれど。私が、あの日ルドフィルに言った言葉は、大したものじゃない。ルドフィルを知っている人なら、誰しもがかけただろう言葉だ。


 私がそう言うと、ルドフィルは首を振った。

「ううん。それでも、誰も言ってくれなかった。僕に伝えてくれたのは、君だ」

 まっすぐに私を見つめながら、柔らかに微笑む。その笑みを見ると、胸の奥が熱くなった。

「大好きだよ、ブレンダ」

◇◇◇


 学園に着いたのでルドフィルと別れ、図書室に向かった。ジルバルトに小声で挨拶をして、ジルバルトの隣の席で勉強する。勉強をしていると、ふとジルバルトが気になり、横を向いた。ジルバルトは、集中して勉強をしていた。私も負けないように頑張ろう。


 しばらく問題を解いていると、予鈴がなった。急いで勉強道具を片付ける。片付け終わったとき、丁度ジルバルトも立ち上がったので、一緒に図書室を出て、教室に向かう。


 ――ジルバルトだったら、何を願うんだろう。

 ふと疑問に思い、まだ本鈴まで余裕があったので、ジルバルトに聞いてみる。


「ジルバルト様」

「ん?」

「ジルバルト様は、星集め祭で一位になったら何をお願いしますか?」

「お願い事?」


 瞬きした後、噂のことだと気づいたようで、ああ、と頷いた。

「……そうだな。前だったら、この厄介な目を普通の目にして下さい、だっただろうけど……」

 今は、特にお願い事が思いつかない、とジルバルトは続けた。


「だって、今のボクが一番望んでいることは――何かに力を借りるんじゃなく、自分で叶えるべきことだから」

「ジルバルト様は、すごいですね! きっと、叶いますよ」

 素直に思った感想を言うと、ジルバルトは苦笑した。

「叶うと、いいんだけどね」


 午前、午後の授業は穏やかに過ぎ、放課後になったので、張り切って飾り付けをする。大小様々な星型の飾りを完成された図面通りに、飾る。飾りにもわずかに塗料が塗られているけれど、集めるプレートとは違う材質なので、勘違いして剝がされることはなさそうだ。


 一つ一つ丁寧に学園中に飾ると、なかなか素敵な校舎になった。

 みんなが頑張ったおかげで、日が落ちる前には終わらせることが出来た。飾りを作ったり、プレートに塗料を塗ったりするのは大変だったけれど、こうして完成した景色を見ると、関われたことを嬉しく思った。


 ――そして飾りつけも無事終わり、一安心かと思ったが、解散前にクライヴから説明があった。

「くじは用意したんだが、上級生と下級生の数が合わないので申し訳ないが、一年生同士で一組ペアを作ってくれないだろうか。せっかくの上級生との交流イベントなのに、すまないな」


 一年生の生徒会役員は、私、ミラン、そして――アレクシス殿下だ。

 本来ペアはくじで決めるので、私たちも話し合いではなく公平にくじで決めることにした。

 くじは三つ。その中で七と書かれた紙を引いた人同士が一年生でペアを組み、そうでなかった人は当日にみんなと同じように、当日のくじでペアが決まる。


 くじを引く順番は、ミラン、私、アレクシス殿下の順になった。

 まず、ミランが引く。そして、私の番になった。ちょっとだけ、どきどきしながら、くじの箱に手を入れる。選択肢は二つ。右か、左か。どっちにしよう。


 少しだけ迷った。でも、昔、母から他国では幸運は右だと言われていたらしいことを思い出し、右側のくじを選んだ。

 そして、最後にアレクシス殿下が残りのくじを引き、三人で同時に折りたたまれた紙を開く。


 私の選んだくじは――。

「七です」

「あら、ブレンダさん、私も七よ」


 嬉しそうに微笑んだミランにつられて、私も笑顔になる。上級生の新たな知り合いが出来なかったのは残念だ。でも、ミランとあまり話せていなかったので、一緒に参加できるのは嬉しい。


「よろしくね」


「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

 アレクシス殿下は、何も書かれていない紙をじっと見つめていた。……どうしたんだろう。


 頭に浮かんだ疑問は、クライヴの言葉で霧散する。

「よし、決まったな。では、解散しよう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ