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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
二章

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流れて消えた

「かっ、かわ……!?」

「うん、可愛い」


 ルドフィルは、まるでそうであることが、当然のように頷いた。

「……そう、でしょうか?」


 以前の私と最近の私。果たして何が違うのか。思い当たるならば、そう。


「うん。恋をしたからかな」


 その答えをルドフィルに言い当てられて、頬が熱くなる。

「その原因が僕じゃないのは悔しいけれど。でも」


 ルドフィルは長い睫をそっと伏せ、それから瞬きした。

「もっと可愛いブレンダを、見られるのは良いことだね。それに、いつかはブレンダに僕が好きって言わせて見せるよ」


 まるで、絵本の中にでてくる王子様みたいに、笑う。


「だから、覚悟しててね」


◇◇◇


 ルドフィルと別れ、図書室に向かった。

 ……いつもの席は空いているかな?

 今日はいつもより少し遅かったので、どきどきしながら、図書室の扉を開ける。


 紙とインクの香りを胸一杯に吸い込んだ。

 うん、落ち着く。それで、肝心の席は──。


 空いてた!


 思わずスキップしそうになりながら、いつものジルバルトの横の席に座る。


「おはようございます」

「……おはよ」


 小声でジルバルトに挨拶すると、ジルバルトも挨拶を返してくれた。……そういえば、ジルバルトにも恋をしたことは伝えていない。


 アレクシス殿下に恋をしたことは知られてはいけないけれど。


 でも、恋をしたことだけは、私の味方だっていってくれたジルバルトには伝えたいな。


 そう思いながら、勉強しながら隣のジルバルトをちらりと見ていると、ジルバルトは苦笑した。

「?」

 そして、いつもは予鈴のぎりぎりまで勉強しているのに、勉強道具を片付けると私の机の前に立った。


「ほら、ブレンダも片付けて」

「えっ?」

「話、あるんでしょ」


 鋭い! って、私が見すぎたからだよね。

 ジルバルトに気を遣わせてしまって申し訳なく思いながら、頷いて、私も勉強道具を片付けた。


 ジルバルトから提案があり、図書室から出て、テラスに向かう。


 テラスは心地よい風が吹き抜けていた。

「それで?」

 ジルバルトはテラスに設けられた椅子には腰かけずに、壁によりかかるようにして、首を傾げた。


 なので、私も椅子には座らず、立ったままジルバルトに話すことにする。


 私はジルバルトの瞳をまっすぐ見つめ、ゆっくりと言った。

「ジルバルト様、私、恋をしました」


 ジルバルトは、私の言葉に驚くでもなく、ただ一度だけ目を閉じて、それから頷いた。

「……そっか」


 そして、それから目を細めて、何かを呟いた。

「──」

「?」


 今、何て言ったんだろう。

 風に流されて良く聞こえなかった。


「ジルバルト様?」

「ううん、何でもないよ。……良かったね、ブレンダ」


 柔らかい表情でジルバルトは笑うと、二枚の紙を差し出した。

「お祝いに、これ、あげる」



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― 新着の感想 ―
[一言] うわ〜マジでどうなるんだろ… とりあえず、洗脳は解けないとなぁ…
[良い点] ジルはいい男だなあ [気になる点] 何渡したの?アホクシスのかけた呪い解けるのかな?
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